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「神の火」と名づけて操ったと思いきや、地震・津波でもろくも拡散した放射能。
そんな時にどうしても「再読したい」と思い、手に入れなおしました。
ニュースで盛んに聞いた「タービン建屋」などの聞きなれない単語が、この作品ではバンバン出てきました。
主人公よりもロシア人の「良」や日野草介が印象に残ります。
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冷戦時代の終わり、日本を舞台にしたスパイ物です。男前3人の関係が微妙だけど、それはさておき、精密に描写されている話は好きなので、じっくり読めて楽しかったです。暴力と孤独。平穏な日常から狂気へと加速してく物語。結末がとても寂しい。
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高村薫さんの本はディテールが細かい。時にそれが苦痛になって読み飛ばしてしまうときが多い。
しかし、この人の書く大きな流れが好きでお気に入りの作家の一人だ。
この本はなぜか手を出していなかったのだが、
多くの人が書いているように 福島第一原発の事故がおこって 読まなきゃと思った。
『純粋な理論と人間の良心を信じた原発の存在が、現実世界の悪意と暴力の前でどれほど矛盾に満ちているかを、見つめるべきだ』
この本の本質を一行で描くとすればこの文章になるだろう。
911テロ・第一原発事故をみれば、人間が“神の火”を完全に制御できるわけなど無いのだ。仮に津波から完璧に防御できたとしても911のようなテロも前にはなすすべもない。
そうした人間のおごりを今回の地震で万人がかんじたことであろうが、
広瀬隆「東京に原発を! 」ほど理屈っぽくなく
エンターテイメントの枠組みの中で、それを理解させてくれる小説だ。
それにしても、一流の作家の取材力には舌を巻く。
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原発問題の話と聞いて読んでみたら、それとは別に面白い。スパイ・原子力技術・様々な国を取り巻く特殊な環境を設定されたときはなんなんだと思ったけれど、主人公島田の醒めた視点と専門用語をふんだんに使った具体的な描写にぐいぐいと引き込まれていたのだった。
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冷戦構造下でのスパイだった者たちの行き場のない物語です。ソ連の崩壊により時代が変わったことで役割を失った主人公島田が偽りの日常を過ごしているところに、きっかけとなる若者との出会いが訪れます。島田の過去を匂わせつつ、まだ物語は動き始めたばかり。
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スパイとか北朝鮮とか原子力発電所テロとか。それがまた無理なく描かれていてたまらない。もう一度読みたくなった。2003年5月読
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面白かった。とても面白かったのだが、最後、何が何でも原発を襲う必然性があったのかと考えると、ちょっと疑問が残る。それで★1つマイナス。
しかし、高村薫好きの友人の言葉通り、この人の作品では、登場人物の設定や内面、それに登場人物同士のつながりなどといった人物描写が、ものすごく細かく丁寧に描かれている。
この作品でも、主人公の島田や、幼なじみの日野、そして謎のロシア人パーヴェレ、スパイの江口と、登場人物はどれも一癖あるけど魅力的。そしてポイントなのは、どの作品でも、こうした重要人物はほとんど男性で、しかもどういうわけかゲイゲイしい雰囲気がうっすら漂うところ。
ロシア人とのハーフである島田は、優秀な原子力技術者でありながら、スパイだったことを苦悩するのだが、スパイが華やかでもカッコよくもないという設定が私好み。情報をこっそり他に流す仕事が、精神的にダメージを与えないわけがない。そしてそうした設定は、ほかの作家の、わたしの好きな作品に出てくるスパイの設定と重なっているのも、個人的に興味深かった。
それから、大阪の町で、英語やロシア語や中国語や韓国語が飛び交うのが、なんとも妙に生々しいのも、個人的な感覚だ。
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ちょと前の小説だけど、原子力を扱っている偶然にもタイムリーな作品。原子力を巡る国際謀略の話なんだけど、意外と人間臭い。苛烈なスパイ合戦の果てに抹殺されてしまう工作員の哀しみが伝わってくる。髙村薫という作家は、巨大で無機質なシステムの中にも人情を見つける才能があるのだと思う。
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原発襲撃の話なので、今タイムリーなのかもしれない。時代設定は東西冷戦時代なので、少し古いが。
文章が、台詞が極めて少なく、また説明的な文が多いこともあって、読みづらい。
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内容(「BOOK」データベースより)
原発技術者だったかつて、極秘情報をソヴィエトに流していた島田。
謀略の日々に訣別し、全てを捨て平穏な日々を選んだ彼は
、己れをスパイに仕立てた男と再会した時から、幼馴染みの日野と共に、
謎に包まれた原発襲撃プラン〈トロイ計画〉を巡る、
苛烈な諜報戦に巻き込まれることになった…。
国際政治の激流に翻弄される男達の熱いドラマ。
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やはり、髙村薫の著作だけあって、描写が細かい。
原子力に関する、あまりにも雑多な専門用語は、
はっきりいって、ちんぷんかんぷんなのだが、
かえって、リアリティが増す要素になっている。
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まだ、前半なので何ともいえない部分はありますが、とにかく描写がしっかりとしていて、リアリティを感じさせます(知識が無いので、本当かどうかもよく分からないながら)。北の原子力開発、どうなってしまうのか・・。
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神の火読了。福島原発事故後に読んだので、確かに原発の怖さを逆説的に描いてある。時代背景は米ソ冷戦の頃で国際政治と絡めてあるのも面白い。
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他の本とはちょっと一線を画してますが、この棚に。高村薫の硬派な小説です。スパイ、ロシア、北朝鮮、原発など女性はちょっと苦手な内容かもしれません。主人公・島田の生い立ちから、ラストへ至る心の軌跡は男性でなければ納得できないものかもしれませんが、震災後、原発を巡って行われている駆け引きを頭に置きながら、国とは?科学とは?原子力とは?と少しずつ読み進めるといいかもしれません。作中、大阪の十三の中華屋でレバニラ炒めを食べるシーンが出てきます。どんな時でも人間は食べるんです。生きるために。梅田、天王寺、十三、新世界と実在の地名が出てくるので、関西在住のワタシにはとても空気感がイメージしやすかったのもよかったです。
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かつてソ連のスパイとして活動していた原子力技術者が、引退してまっとうな生活を送ろうとしていたところ、原子力に関する新たな諜報戦に巻き込まれていく話。
昨今のミステリ小説にはない重厚さがあるが、ちょっと文字数多すぎ。