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W. ウェストンの「日本アルプス−登山と探検」を読んだ。
大学にいた6年間、夏といえば毎年、日本アルプスへ 山歩きに行っていた。
大体7月の終わりごろにさまざまなコースを取って 北アルプスを縦走して、最後に上高地でキャンプと いうのが、私が所属していたサークルの夏合宿だった。
上高地の雰囲気が好きで、何度行っても良い。
ある意味 第二の故郷的な印象を今でも持ち続けている。
その上高地には、ウェストンのレリーフがある。
また、日本 アルプスのあちこちにには、ウェストンに纏わる話が残され ている。
読んでみると、100年以上も昔に書かれたとは、とても思えない。
自分が知っているルートの景色が頭に浮かんでくる。
意外だったのは、この本の彼が日本アルプスに登っていた いたのは、30才代前半の若いころだったことだ。 写真やレリーフで見て知っている彼は、結構年を召している ようで、中年以降の頃に登ったのだとばかり思っていた。
ともあれ、アプローチのルートも長い、道なき道を開拓した 苦労と喜びがいっぱい書かれていた。 話に出てくる当時の風物や伝説の猟師・ガイドの「嘉門次」の 話なんか、毎年、嘉門次小屋で岩魚の塩焼きなんぞ焼いてもらっ て、食べていたから、涙ものであった。
日本アルプスに登ったことのある人に、 おすすめ度:★★★★★ である。
2006年9月8日 読了。
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NHKのテレビ番組「鶴瓶の家族に乾杯」は、笑福亭鶴瓶さんとゲストとが全国各地を訪問し、初対面の家族との飾りの無い会話や、その土地の生活風景が楽しめる番組です。
ところでウェストン氏は明治期に来日、日本アルプスを目にしてその姿の美しさに魅了され、登山家として「自分の足跡を残したい」欲求によって山々を巡る、というのが大まかな本書の内容です。
しかし私にとってこの本の最大の魅力は、ウェストン氏が登山の途中で見た日本の風景と、同氏が出会った当時の日本人とのやり取りとに、多くの文章が割かれているところにあります。
静寂を美徳とする西洋人として、夜更けの宿屋でいつまでも止まらないドンちゃん騒ぎの隣室で苦笑するしかない著者。一方、著者の友人の医者が旅先で好意で診察した後、文字通り十重二十重におじぎをしてお礼をするお年寄り。19世紀後期の日本人の長所短所がとてもよく描けています。
しかも著者は異国の地の風習を「上から見る」あるいは「珍しそうに見る」姿勢は全くありません。だから100年以上たった今読んでも、著者の見方に共感したり、著者がたどった旅にあこがれたりできるのです。
著者の目的は確かに「登山」でしたが、日本人と日本の風景を本当に身近に感じてくれた姿勢と、それを記録として残してくれたことに、日本人として素直に「ありがとう」と言いたいです。
(2007/8/2)
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2018/6/30 ジュンク堂三宮駅前店にて購入。
2020/9/1〜9/7
日本にスポーツ登山を根付かせたウェストンが1891年(明治24年)から1914年(大正3年)にかけて、登ったアルプスの山々と、当時の日本の風俗を描いた古典的名著。今のように登山道や山小屋が無い時代の山の様子や、人々の暮らしが克明に描かれていて、大変興味深い。上高地のウェストンのレリーフは見たことがあるが、今度行った時はじっくり見ながら当時に思いを馳せたい。
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素晴らしい景色の表現、過酷だった時の辛さ、伝わってきます。
また、当日の日本人がどんな様子だったのかが感じられます。早く寝て早く起きる!みたいな勝手なイメージだったのですが割と遅くまでどんちゃんしてました。旅行記的なイメージで読み始めましたが、民俗を学ぶ意味でも読めた気がします。