紙の本
イギリス人の考え方を学ぶ
2002/01/30 11:39
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投稿者:Lady - この投稿者のレビュー一覧を見る
この謎めいたタイトルのおかげで、「イギリス本じゃないのか?」「小説か?」などと思って、いままで買わなかったのですが、いざ読んでみると、これが実にすぐれたイギリス人と日本人の比較文化論で、読まずにいた自分が信じられません。たとえば、イギリスと日本の交通システム、はたまたトイレの事情を比較しつつ、それぞれの欠点、美点から、イギリス人の精神、日本人の精神の違いを浮き上がらせることで、イギリスばかりでなく、日本というものが理解できるように描かれています。また、源氏物語の一節についての解説から、本当の読書はどのようなものか、と教えてくれます。
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話は英国の奇妙な館に始まる。日英の地図の描き方の違いに筆は及び、便器についての卓抜なる考察を経て、はては源氏物語をめぐる色恋論へ―。独立したハズの12篇のエッセイが、何故か不思議に連環しあう…。
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まるでミステリー小説のようなタイトルと装丁の、リンボウ先生こと林望氏のエッセイ。
タイトルは最初のエピソードに登場するイギリス郊外のホテルの名前から。
デビュー作である「イギリスはおいしい」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した林氏の二作目に当たるエッセイで、本書では「イギリス~」で触れられなかった英国の交通事情や生活習俗に関するエピソードが納められている。
特に面白かったのは、イギリスの公衆トイレ事情に関する考察。
著者によれば、なにかにつけてフランスと張り合って対抗意識を燃やすことの多いイギリス人だけれども、こと公衆トイレ事情に関してはイギリスこそ世界に冠たる先進国であり、フランスは後進国なのだそう。
なんでも、イギリスの公衆トイレの多くは地下に作られ、清潔で管理も行き届いているが、フランスでは目抜き通りに有っても吹きっさらしで床が水浸しのトイレが普通なのだとか。
本書にはイギリスに関するエッセイの他にも、ロシアの話や、著者の専門であり一般には馴染みの薄い書誌学に関する話、はたまた和歌の源氏物語に関する至って真面目な考察など種々多様なエピソードが収録されている。
それぞれのエピソードには一見全く関連性が無いのだけど、全体としてはある種の調和をなしている不思議な一冊。
P.S.
本書を読んで知ったのだけど、イギリスでは"public convenience"と書いて公衆トイレを意味するのだそう。
日本語でも元々は大小便利をなすところで便所と呼び習わしたわけで、日英ともに同じような婉曲表現があるのは面白い。
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トイレの話が面白いと進められたのだが、自分はロシアの話がとても面白かった。軽妙な語り口でイギリス大好き〜っという気持ちがとてもよく伝わる文章だった
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うーん、普通ですな、名エッセイとか銘打つので期待したが特に可もなく不可もなく。
歩道橋の話とか共感するところもあるのだが、何か面白くない。抱腹絶倒な訳でもなく、スリリングな訳でもなく、人情味溢れる訳でもない。こういうのを小粋というのかもしれないが、あまりお呼びでないようで、当方にとっては。
多分当方が大人じゃないんだろうとしておきます。
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著者のイギリスにかんするエッセイをまとめた本です。
イギリスの「ホルムヘッド」というホテルを探しまわったエピソードからはじまって、日本人とイギリス人の地図の描き方の比較、イギリスのラウンド・アバウトの合理性を論じたもの、世界各国のトイレ事情など、さまざまな話題がとりあげられています。
ほかに、著者の専門である国文学・書誌学についてのエッセイも収められており、アーネスト・サトウの蔵書や、『源氏物語』の頭中将と夕顔の関係、築地塀が崩れた荒れ屋敷にひっそりと暮らす美女という日本の古典にたびたび現われる幻想についての考察などがあります。
何よりも著者の典雅な文章に惹きつけられます。
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ラウンドアバウトや横断歩道は、さすが英国という感じで憧れるし、著者の言うように日本にも導入してほしい!信号にコントロールされるのは昔から苦痛だった
大英図書館の司書の対応は、イギリスらしくて面白かった。昨日閲覧した資料、次の日には“空襲で焼失しました”と出してきてくれない。最高。
愛書家のアーネスト・メイソン・サトウについてはもっと知りたい。
ケンブリッジ大学図書館のトイレ、閲覧者用はジェントルマン、レディースの表示、職員用はMEN、WOMENの表示で、階級差がある、大英図書館のトイレットペーパーにはgovernment propertyと印刷されている、とのこと。確認したい。
著者の大作『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』を一度拝見したい。
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交通事情やロシアの憂鬱、あばらやの姫たちの話が印象深い。イギリス話だけじゃなくて古文に対する見解なんかも興味深い。