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収録巻名:少女、玉鬘、初音、胡蝶、蛍、常夏、篝火、野分、行幸、藤袴、真木柱、梅枝、藤裏葉。
底本:伝定家筆本・伝明融筆臨模本・飛鳥井雅康筆本(古代学協会所蔵, 通称「大島本」)等。
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源氏物語第三巻。
少女〜藤裏葉までを収録。
第三巻での読みどころは、中年の域に達した光君が織りなす大人の恋。
特に第三巻では、玉鬘(たまかずら)という女性との物語が中心に語られる。
玉鬘の母は夕顔といい、光の君が愛した女性のひとり。
光の君は、不幸にも亡くなってしまった夕顔を忘れられずにいたが、縁あって夕顔の遺児玉鬘をひきとることになるところから、ふたりの物語が始まる。
光の君は美しく成長した玉鬘にかつて自分が愛した夕顔の面影を見いだし、惹かれていく。。。
一方、玉鬘の方はというと、母の死後九州へ下って育ったため、根は田舎育ちの娘。
男を知らない玉鬘は、常々光の君が向ける恋情の視線を気味悪く感じ、ことあるごとに光の君と距離を取ろうとする。
亡き夕顔への未練。日に々々美しく成長する玉鬘への想い。この二つが光の君の中で交差し、玉鬘への情念を高めて行く。
そのクライマックスというべきシーンが、「胡蝶」。
光の君は、抑えきれない自分の胸のうちを玉鬘に告白するのだが、一方の玉鬘はパニックになる。
ひとつ屋根の下で世話になっている光の一方的な求愛から逃れられない我が身の不遇と、受け入れた際の世間体の悪さを想像して、混乱するのであった。
「自分がこんな目にあうのも、庇護してくれる親がいないからだ」と、己の境遇が原因である事を恨めしく思う。
このとき、光の君の口説き文句が素晴らしい
「赤の他人であったとしても、男女の仲というのは女が身をまかせるものですよ」
「長く親しいつきあいなのですから、いやがらないでくださいよ」
「亡き人(玉鬘の母)を偲ばずにはいられない私の気持ちをなだめたいだけなのですよ」
この男女の赤裸々なやりとり!
これこそが源氏物語の真骨頂なのかと、ここまで読み進めてはじめてこの物語の面白さが少しだけわかったような気がしました。
この他にも、源氏の子息の恋物語や、嫉妬に狂って夫に灰をぶちまける女房の話など、面白エピソード満載の第三巻でした。
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少女・玉鬘・初音・胡蝶・蛍・常夏・篝火・野分・行幸・藤袴・真木柱・梅枝・藤裏葉
源氏ゼミ
2012年秋学期:少女・玉鬘・初音・胡蝶・蛍・常夏・篝火・野分・行幸・藤袴