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ジェインのもうふ アメリカのどうわ みんなのレビュー
- アーサー=ミラー (作), アル=パーカー (絵), 厨川 圭子 (訳)
- 税込価格:1,320円(12pt)
- 出版社:偕成社
- 発売日:1971/03/01
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高い評価の役に立ったレビュー
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2001/04/12 22:47
「セイフティ・ブランケット」って知っていますか。大人になった私のセイフティ・ブランケットはいったい何だろう?SLA基本図書。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界で一番有名なセイフティ・ブランケットといえば、スヌーピーでおなじみ漫画「ピーナッツ」シリーズに登場するライナス君のものだろうか。
彼は赤ちゃんのころから愛用している毛布を肌身離さずに持っている。持っていないと安心できないのだ。
この『ジェインのもうふ』は、幼い子どもの存在にとって大きな意味を持つセイフティ・ブランケットを、子どもの成長の中に見つめた絶品童話である。
私自身にはセイフティ・ブランケットの記憶がない。
しかし、6歳になった息子にはお気に入りのバスタオルがあって、眠ろうとする時になってそれが見当たらないと「青いタオルは?」とさがそうとする。実際には水色のそのバスタオルは、すみの方が模様織りになっていて、触ると何とも言えない手ざわりがある。
今まさに眠りに落ちようというとき、寝起きの半覚醒状態にあるとき、その模様の部分を指でなで回して安心している様子を私は毎日観察している。
赤ん坊は、何枚もタオルやガーゼを使う。その何枚も何枚もある中から、いつしか選ばれていたのが、その青いタオルなのであった。
そのような息子の様子を眺めていて思い出したのが、昔読んだ本書なのだが、再読してみると、実にあざといほどに、子どもの成長とブランケットとの関わりが描かれている。
お話の前半は、ジェインともうふの蜜月時代である。しかし、後半は、別れに至るまでのジェインの成長の歩みになっている。
大人になれば、次から次へと、てのひらの砂がこぼれ落ちるように物や人との別れを経験する。それがさして大きな意味も持たず、ごく当たり前のこととして受け止められるようになるのは、子ども時代からおびただしい別れを経験として積んだ結果であることを私たちは忘れてしまっている。
身をひきさかれるような子ども時代の対象との決別が、静かに深く描かれている。
ジェインの背はどんどん伸びていくのに、大切なもうふは洗濯を何度もくりかえしたのち、ぼろぼろになり、穴があいて小さくなってしまう。母親がぼろきれとして、とうに雑巾か何かへの再利用を考えているのに、ジェインはそれを押入れから取り出してはほっぺたに当ててみる。
もうふのことを突然思い出したある日、出してもらったそれはハンドタオルぐらいの大きさで穴があいており、何に使ったらいいのか思い浮ばない。
うっちゃって置いておくと、鳥がいたずらしている。巣づくりのため、糸を一本ずつ抜いているのだった。
鳥の赤ちゃんの「しとね」として生まれ変わるジェインのもうふ!
この見事な展開に安心するのは、お話の中のジェイン以上に、ジェインの成長を見守った読者なのだと思う。
子どもの生活に何より保証したい「安心」を、このお話のラストシーンは鮮やかに見せてくれる。読み継がれるロングセラーの理由がそこにある。
低い評価の役に立ったレビュー
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2001/05/25 19:26
いままでありがとう!心のともだち
投稿者:渡辺順子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「セールスマンの死」など、劇作家として有名なアーサー・ミラー。この作品は彼がはじめて子どもむけに書いたお話です。
だれもが子どもだったころ、親以外にいつも自分のそばにおいておきたい心のかよえる「物」があったのではないでしょうか。それは人によってクマのぬいぐるみであったり、うさぎの枕だったりします。さびしいときや悲しいときにそれをぎゅっと抱きしめると、なぜかほっとできる。そんな安心できる存在をみなさんもお持ちではありませんでしたか?
主人公のジェインにとってはピンクの赤ちゃんもうふ、「もーも」は生まれたときからの友達。はじめはふんわりしてあったかいもうふも、ジェインの成長とともに古くてぼろぼろになってしまいます。それでも大きくなったジェインは、新しいもうふになじむことができません。小さくなって体にかけることもできなくなり、窓辺においておいたもうふから、ある日ことりが糸をひきぬき巣穴にもっていってしまいます。
その姿にジェインは一瞬かっとなりますが、もうふをことりの赤ちゃんのためにゆずってあげたのだ、と思うと心もはればれしてくるのでした。
子どもが成長する過程で経験する、大切なものとの別れ。「ジェインが心の中でもうふのことを思い出すと、もうふはまたジェインのものになるんだよ。」というお父さんとの話も心に残ります。子どもが大切に使っていたものは、古くなったからといって「もう、これは汚いから燃えるごみにしましょ!」などとはきっと言えなくなりますよ。
紙の本
「セイフティ・ブランケット」って知っていますか。大人になった私のセイフティ・ブランケットはいったい何だろう?SLA基本図書。
2001/04/12 22:47
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界で一番有名なセイフティ・ブランケットといえば、スヌーピーでおなじみ漫画「ピーナッツ」シリーズに登場するライナス君のものだろうか。
彼は赤ちゃんのころから愛用している毛布を肌身離さずに持っている。持っていないと安心できないのだ。
この『ジェインのもうふ』は、幼い子どもの存在にとって大きな意味を持つセイフティ・ブランケットを、子どもの成長の中に見つめた絶品童話である。
私自身にはセイフティ・ブランケットの記憶がない。
しかし、6歳になった息子にはお気に入りのバスタオルがあって、眠ろうとする時になってそれが見当たらないと「青いタオルは?」とさがそうとする。実際には水色のそのバスタオルは、すみの方が模様織りになっていて、触ると何とも言えない手ざわりがある。
今まさに眠りに落ちようというとき、寝起きの半覚醒状態にあるとき、その模様の部分を指でなで回して安心している様子を私は毎日観察している。
赤ん坊は、何枚もタオルやガーゼを使う。その何枚も何枚もある中から、いつしか選ばれていたのが、その青いタオルなのであった。
そのような息子の様子を眺めていて思い出したのが、昔読んだ本書なのだが、再読してみると、実にあざといほどに、子どもの成長とブランケットとの関わりが描かれている。
お話の前半は、ジェインともうふの蜜月時代である。しかし、後半は、別れに至るまでのジェインの成長の歩みになっている。
大人になれば、次から次へと、てのひらの砂がこぼれ落ちるように物や人との別れを経験する。それがさして大きな意味も持たず、ごく当たり前のこととして受け止められるようになるのは、子ども時代からおびただしい別れを経験として積んだ結果であることを私たちは忘れてしまっている。
身をひきさかれるような子ども時代の対象との決別が、静かに深く描かれている。
ジェインの背はどんどん伸びていくのに、大切なもうふは洗濯を何度もくりかえしたのち、ぼろぼろになり、穴があいて小さくなってしまう。母親がぼろきれとして、とうに雑巾か何かへの再利用を考えているのに、ジェインはそれを押入れから取り出してはほっぺたに当ててみる。
もうふのことを突然思い出したある日、出してもらったそれはハンドタオルぐらいの大きさで穴があいており、何に使ったらいいのか思い浮ばない。
うっちゃって置いておくと、鳥がいたずらしている。巣づくりのため、糸を一本ずつ抜いているのだった。
鳥の赤ちゃんの「しとね」として生まれ変わるジェインのもうふ!
この見事な展開に安心するのは、お話の中のジェイン以上に、ジェインの成長を見守った読者なのだと思う。
子どもの生活に何より保証したい「安心」を、このお話のラストシーンは鮮やかに見せてくれる。読み継がれるロングセラーの理由がそこにある。
紙の本
毛布
2016/09/25 01:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぺろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は表紙に見覚えがあったので小学生の時に図書室にあった本だと思います。懐かしくなり購入しました。子供の頃に自分のお気に入りのものってなかなか手放せないという気持ち今でもわかります。少女が成長していく姿が描かれてるストーリーで共感できました。
紙の本
ジェインと同い年に引き戻される。
2016/11/29 19:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読むたびに、最初に読んだころを思い返す本の一つ。
ジェインの成長とともにちいさくなっていく「もーも」。
大切で、姿を失いつつあっても、それでもジェインを支えるもの。
自分もピンクの毛布を持っていたのでなんだかとても印象に残っている。
紙の本
心落ち着くジェインのもーも
2000/09/18 13:13
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かれん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジェインには赤ちゃんの頃からのお気に入りのピンクの毛布があります。
ジェインはもう小学生。毛布はボロボロ、ハンカチ2枚くらいの大きさしかありません。
でも、寝る時は、毛布「もーも」がないと眠れません。
毛布やぬいぐるみ、お人形など 子どもたちは赤ちゃんの頃から使っていたものに
とても愛着をもちます。きっと、その手触り、匂いで赤ちゃんの頃を思い出すのでしょう。
心細い、寂しい時、怖い時、「もーも」があると心が落ち着きます。
私は、無理して子どもから それを取上げなくてもいいと思います。
子どもたちは、自分はいつまでも赤ちゃんではないこと…きちんと分かっています。
その証拠に「もーも」を学校に持っていったりはしません。
赤ちゃんの頃から大切に「もーも」を持っている子どもたちへ、この本を。
紙の本
いままでありがとう!心のともだち
2001/05/25 19:26
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投稿者:渡辺順子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「セールスマンの死」など、劇作家として有名なアーサー・ミラー。この作品は彼がはじめて子どもむけに書いたお話です。
だれもが子どもだったころ、親以外にいつも自分のそばにおいておきたい心のかよえる「物」があったのではないでしょうか。それは人によってクマのぬいぐるみであったり、うさぎの枕だったりします。さびしいときや悲しいときにそれをぎゅっと抱きしめると、なぜかほっとできる。そんな安心できる存在をみなさんもお持ちではありませんでしたか?
主人公のジェインにとってはピンクの赤ちゃんもうふ、「もーも」は生まれたときからの友達。はじめはふんわりしてあったかいもうふも、ジェインの成長とともに古くてぼろぼろになってしまいます。それでも大きくなったジェインは、新しいもうふになじむことができません。小さくなって体にかけることもできなくなり、窓辺においておいたもうふから、ある日ことりが糸をひきぬき巣穴にもっていってしまいます。
その姿にジェインは一瞬かっとなりますが、もうふをことりの赤ちゃんのためにゆずってあげたのだ、と思うと心もはればれしてくるのでした。
子どもが成長する過程で経験する、大切なものとの別れ。「ジェインが心の中でもうふのことを思い出すと、もうふはまたジェインのものになるんだよ。」というお父さんとの話も心に残ります。子どもが大切に使っていたものは、古くなったからといって「もう、これは汚いから燃えるごみにしましょ!」などとはきっと言えなくなりますよ。