投稿元:
レビューを見る
『日本精神と平和国家』という題と本居宣長とに何の関係性があるのかわからんままに退屈な冒頭を読み進めたら、
p.35
「眞の宗敎の缼乏、眞の學問の缼乏を我々は最近數年間にいやといふほど自分でも經驗し、又他人の受難をも目擊して來たものでありますが、その根は遺憾ながら宣長翁自身の思想の中にあるのです。」
なるほど、戦時中に国威発揚すべくその方面の団体が利用したのが本居宣長の説いた「神ながら」の思想だったからと筆者は考えたかららしい。
p.38
「宣長や、その門下である平田篤胤や、又その弟子たちの思想が推進力となつて明治維新の仕事が成し遂げられました。それと共に今日に到るまで八十年間の文化の歷史、精神生活の歷史の骨組をなして來たものが所謂日本精神であります。その功罪共に宣長の思想の中から出てをるのでありまして、之を凡て總決算してしまつたのがこの度の戰爭と、その結果とである。」
実際にそうだったかどうかはしらんが、それだけで本居宣長を戦犯の如くに批判するのはどうかと思う。ゆうたら悪いが、戦争で頭おかしくなったんではないか。
p.95
「平和國家といふ語は新しい語でありまして、何が平和國家であるかといふことを考へなければならない。先づ第一に、平和國家は平和人の國でなければならないと思ふのであります。……平和國家を組織する者は、その國民各自が平和人でなければならない。……鬭爭を本義とせず平和を本旨として生きる者が平和人なんです。平和を本旨とするといふことは、別な言葉で言ひますと愛の人である。」
ここにいたってはもはや痛々しくて読み進められない。これで800円もするのか。