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紙の本
教材を買う前に知っておいたほうが良い話
2002/01/14 10:06
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投稿者:みみんが - この投稿者のレビュー一覧を見る
「子供の能力は無限」「どんな子供でもIQ200になれる」と聞かされ、数々の実例を目にしたら、親としては「自分の子にも」と早期教育に心動かされるのは当然だろう。バブル崩壊後の現在、日本では偏差値至上主義は鳴りを潜めてはいるものの、より困難な社会状況において勝ち組として生き残るためには、従来よりもより高度な洗練された教育が必要と、以前にも増して焦燥にかられている親は多いに違いない。
本書はタイトルからわかるように、公文式とか七田式といった0歳からの早期教育を否定的に論ずるものである。まず早期教育プログラムの生んだ弊害の実例を、数々のインタビューから明らかにしている。冒頭では、公文式のノルマをこなすために、子供をほとんど虐待している母親の実態がその夫の口から紹介されている。また別の完璧主義的なシングルマザーは、早期教育マニュアル通りの育児を完璧にこなして来たが、我が子の反抗からマニュアルに疑問を持ちはじめ、新たな方法を模索しながら懸命に教育を完成させようとする。著者のインタビューは、そのような母親達の生い立ちまでも聞き出し、彼女たち自身が子供の頃に自分の母親からどのように扱われてきたか興味深い共通点を見出し、悲劇におちいる人間像を浮かび上がらせようとしている。
わたしにも現在1歳になる子供がおり、早期教育は非常に大きな関心事である。本書で述べてある早期教育によって生じた弊害については知っておかねばなるまい。一方、早期教育もやり方しだいでは絶大な効果を発揮し、子供の能力を見事に引き出すことができることも事実であろう。たとえば外国語教育。人間の脳のいろんな音を聞き分ける能力は、だいたい2歳までで固定してしまい、脳の発達期に聞いたことのない音に対しては、脳の感度は著しく劣ってしまうらしい。このことから、意味はわからずとも、様々な言語を赤ん坊に聞かせておくことにはそれなりの効果が期待できるはずである。本書で槍玉にあがっている七田式に限らず、これまでの育児法、教育法は経験的に作り上げられたもので、時代とともに大きく変遷してきたが、脳の発生学からみた科学的に“正しい”早期教育方法が必ずあるに違いない。
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