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小説家を志す以上、ジャンルは違えど世界でもっとも偉大な作家の作品を読まないわけにはゆかないだろう。そういうわけで、シェイクスピア作品を順次読んでゆこうと考えているのだが、そのトップ・バッターがこの『ハムレット』。以前英語の授業のサブテキストとして、ちょっとだけ読んだことがあるのだが、日本語の文章としてちゃんと読むのははじめてである。――さて、感想としては、まず率直に面白かった。じつはシェイクスピアどころか、戯曲を読むのもはじめてであり、いろいろと不安もあったが、読み始めればなんのことはない、ふつうの小説と同様に、楽しく読むことができた。そして、その小説と比較すると、文章がスッキリしていて、展開もスムースである。そのいっぽうで、謎というか余韻というか、とにかく「行間」に含まれているものも多い。たとえば、シェイクスピアは狂人を演じているだけだとばかり思っていたが、解説に「本当に気が狂っているのか」と疑問が書かれており、はじめてそのような見方もできるのだと思った。また、ガートルードの人物像についても、おなじように多面的な見方ができる。私自身の感想として、シェイクスピアが言っているような愚かで醜い人物であるように思えたが、考えてみればこの見方を示すような証拠はなにもない。証拠がないという点でいえば、先王の死じたい謎めいているし、そのほかどの人物をとってみても謎が多い。以前、『罪と罰』を読んだときに、これはミステリ「でもある」と感じたのだが、『ハムレット』も同様の見方ができるだろう。このような見方ができるため、謎が謎を呼んで、読者(あるいは観劇者)に好奇心を与えて面白さが広がってゆくのである。世界的に読み継がれている理由が一読してわかるあたり、やはりシェイクスピアは偉大であると感じた。
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今より簡単に人が死ぬんだなぁと感じます。絶妙なプロットがすべて悲劇に繋がっているのですが…
不謹慎にも現代に置き換えたら、悲劇は起きないだろうな、などと考えてしまいました…
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シェイクスピア「ハムレット」を
小学生のとき以来読み返そうと図書館へ。
さすがシェイクスピア作品だけあって、翻訳の数が多い。。
まずは現在出回っている翻訳全てと
原書を揃えてじっくり比較してみたが、
ちくま文庫の松岡和子さんの翻訳がずば抜けて素晴らしく、他はゴミ。
翻訳という行為も立派な表現の一つ。
原作への愛情と日本語のセンス、どちらが欠けていても成立しない。
さて、20年ぶりに読み返した「ハムレット」、あまりに素晴らしく
去年マルケス「孤独の百年」を読んだとき以来の放心状態に。
読むものを引き込んで放さない言葉の魔力。
元々演劇の台本だけあって、所々、
会話のつながりや場面展開に不自然なぶつ切り感があるのだが、
それらが醸し出す妙な神話感もたまらなく魅力的。
疑問を残すような無駄な場面の挿入も含めて、
文学的に「無駄がない」。完璧すぎる程に完璧。
そして、その魅力の多くは
やはり主人公である王子ハムレットの台詞に凝縮されている。
1600年代初頭に書かれ、以後も400年以上続く、
文学のあらゆる表現手法のプロトタイプが、
ここで既に出揃っているかのようだ。
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台本というのは以外と読みやすいもので(逆だと思っていた)、あっという間に読み終わった。
それにしても、なんという結末。まさに、悲劇というに相応しいお話。
人間ってやつは…と思わせる。
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ハムレットは戯曲で、役者が声を出すことを前提に書かれています。よって僕はWシェイクスピアが遺した通り一人活劇をして「世界の関節が外れてしまった!」と叫んだりしながら読みすすめたわけです。
音読してわかるのですが、これ、口当たりが良いように描かれていますね。読むのが面白いです。特にハムレットの自己言及を悩ましげに読み上げていると、まるで僕が凄いインテリになってしまったかのような錯覚を覚えて愉快愉快。
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とても有名な作品だけど「シェイクスピアの四大悲劇」「デンマークの復讐劇」「to be or not ti be」ぐらいしか知らなかった。ので読みました。
こんなにたくさんの人が死ぬんだねぇ。死ななくてもいい人まで死んで、それがそのあとの伏線かなぁ、と思ったら、やっぱりそうで。セリフは詩的で難解。でも、クライマックスは圧巻ですね。
それにしても、なぜハムレットはちゃっちゃっと復習しないのかねぇ。絶好の機会もあるのにやらないもんなぁ。それなのに最後は一気呵成にことが進んで、そのスピード時間の差が印象的。
それにしてもオフィーリアはなぜ死ななくちゃいけないのか、よくわからないね。あれは自殺かな。事故死かな。
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昔小田島訳と福田訳で読んだと思うし、何回か映画や舞台で観ているのだが、細かいところを意外と忘れていてああ、ここでその名台詞なのか、そうだったっけねえ、なんて思いながら読んだ。こんな有名な戯曲なのにすみません。
読了直後にNTLでローリー・キニア主演の舞台を映像で観たのだが、それが素晴らしかっただけに翻訳の限界も感じた。
英語でシェイクスピア演じる場合、順番を変えたり省略したりすることはあっても、根本的にセリフを変えることは許されない。だからこそ、演出や、それこそちょっとしたセリフの言い方(どこで区切るか?ぽろっというのか朗々と歌い上げるのか?)で全然印象が変わってくるところに面白さがある。日本語訳には翻訳者の解釈を入れられて現代的な言葉にできる代わり、役者本人が原テキストを読み込んで読み込んで解釈を打ち出す・選ぶ、というのはある程度以上は難しいだろう、という多分当たり前のことが急に腑に落ちた。だからこそ松岡先生も蜷川さんも翻訳者が稽古に立ち会うことにこだわるんだろうけど。
ギルデンスターンとローゼンクランツは死んだ、をもう一回見たくなった。
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注釈と中身が違うから理解するために何度も止まった。
レアティーズが生瀬でホレイショーが松重豊だと…!!?一気にイメージが崩れて軽く混乱…うーん。。
癩 らい ハンセン病
傍白 舞台で、相手には聞こえないことにして、観客にだけ自分の考えを知らせる形で述べるせりふ。
行状 人の日々の行い。品行。身持ち
深謀遠慮 深く考えを巡らし、のちのちの遠い先のことまで見通した周到綿密な計画を立てること
空費 時間、労力などを無駄に使うこと
冗漫 表現に締まりがなくて無駄が多いこと
寛恕 心が広くて思いやりのあること
malapropism 言葉の誤用
頓馬 とんま 間が抜けていること
棕櫚 シュロ
宥和 敵対的な態度を大目に見て許し、仲よくすること
国璽 国家のしるしとして押す印
飼葉桶 かいばおけ 農機具の種類、飼い葉を入れる桶。まぐさおけ
経帷子 きょうかたびら 仏式で死者を葬る時、死者に着せる白い着物
油薬 軟膏
悖る もとる 道理などに背く、反する。
エディプスコンプレックス 男子が母親に性愛感情を抱き、父親に嫉妬する無意識の葛藤感情
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言わずと知れたシェイクスピア、4大悲劇のひとつ。改めて読むと多様な読みをしたくなるハムレットの懐の深さがわかる。全てのセリフが重要で意味がある。それでいてグイグイ読ませる。シェイクスピアの他の作品と比べても完成度は段違いで最高傑作のひとつだろう。マクベス、リア王も再読したくなる。
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やはりハムレットがシェイクスピアの最高傑作なんだろう、そう思わせる作品だった。
内容はかなり不思議で理解しがたい部分があり色々と想像することが必要。
巻末の解説が充実している。
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これは嘗て読んでいたはずなんだけど…
内容をすっかり忘れていた。と言うより最初に読んだ時は頭に入らなかったのかもしれない。
松岡和子訳は読みやすかったが、やはり登場人物の冗長なセリフを読み進むのは疲れた。疲れるけど、所々印象に残るセリフはある。例のセリフは
「生きてとどまるか、消えてなくなるか、それが問題だ」
上手い訳だと思う。でも
「生きるべきか死ぬべきかそれが問題だ」
のインパクトが強すぎて、それを超えるのが難しいのだろう
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いつか読もうと思っていたシェイクスピア悲劇。主要人物が皆倒れるという終わり方には少なからず驚いたが、目的のために狂気を装うハムレットのしたたかさや、頭の回転のよさと同時に会話の筋をそらす応答などは面白く感じた。加えて、慎重なのか抜けてるのか紙一重な登場人物たちが、悲劇的なストーリーの中でアクセントのようで、通して楽しめた。
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悲劇ということで主要人物がばたばたと死んでいくが、ロミオとジュリエットほど死ぬ因果が理解できなかった。周囲の巻き込まれた人までが命を落とす理由が不十分に感じた。もうひとつは、行動が停滞する局面と、鮮やかな決断力とスピードで進行する場面の違いがどこからくるのかということが不思議だった。劇の脚本を改変して演じさせたり、イギリス王への手紙の差し替えなんかは非常に見事な流れでできてしまうハムレットなのに、気違いを演じているとはいえ、屁理屈をこねたり、見方によっては周囲へのただのやつあたりにしか思えないことをして行動が進まない時があって、そのもどかしさが何故生じているかがよくわからなかった。自分の読解力が成長したら、またいつか未来に読んでみよう・・。
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この前読んだ「夏の夜の夢」と同じ動機、河合隼雄先生とシェークスピアの翻訳家松岡和子さん対談本「快読シェークスピア」をより面白く読みたいという衝動から読んだシェークスピアの2作め。
あまりにも有名な本書だが、これまでは読もうという気持ちはゼロだった。きっかけはどうあれ、こうして名作を体験できたのだから良かった。
4大悲劇の一つだというのだが、正直のところ悲惨さはあまり伝わってこなかった。登場人物全員が次々と死んでいく。
話の筋としては、主人公のハムレットの復讐劇だが、ハムレットが次々と殺していくというのではない。登場人物は、それぞれに、予想外の形で死んでいく。
皆あまりにあっけなく死んでしまう。その死を悼むとか悲しむとかの暇もなく、また次の死が訪れる。最後は死のラッシュだ。そしてハムレットの死などは、潔さとか爽快さのようなものまで感じられた。
ハムレットの復讐がどのように為し遂げられるのか、そういう観劇者の初期の期待が、登場人物の全員の死となって幕がとじる。なんという凄まじいストーリー展開。
シェークスピアのプロデュースの凄みを少しでも体験できたようか気がする。
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ハムレットは三訳目なのですが、拗らせたものでわたしはハムレットとホレイショーの友情物語だと思って読みました。オフィーリアも確かに悲劇のヒロインなんですが、初っ端の「なぜデンマークに」「いつものサボり癖が」「お前に限ってそれは無い」的なくだりからして二人の信頼関係透けて見えすぎ。そんな二人ですが死に別れ、ホレイショーも後追いを考えたものの「正しく歴史を語り継ぐ」使命を与えられて一人生き残る。ヒロインムーヴが凄い。このテーマだけで読書感想文10枚かける。解釈違い上等ですがこの二人の信頼関係だけで翻訳者ローラーする価値あるよなーと思って今後も読み漁る所存です。