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「デンマークの王子ハムレットは、父王の亡霊から、叔父と母の計略により殺されたことを知らされ、固い復讐を誓った。悩み苦しみながらも、狂気を装い、ついに復讐を遂げるが自らも毒刃に倒れる。美しい恋人オフィーリアは、彼の変貌に狂死する。数々の名セリフを残したシェイクスピア悲劇の最高傑作の新訳。脚注・解説・日本での上演年表付き。」
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とても読みやすく、物語の流れも分かりやすい。シェイクスピアといえば多くの登場人物に、複雑な人間模様……という感じだが、その源流こそ見えども登場人物たちの動きが(他のシェイクスピア作品と比較して)認識に容易いな、という印象。
主人公ハムレットは、父王を殺し、父王の妻(ハムレットにとっての母、そして女王)と再婚して王冠を手にした叔父(父王の兄弟)に復讐を企てる、という物語。
ハムレットといえば「狂乱」という言葉がついて回る。ハムレットは父王の亡霊に暗殺の真実を伝えられて復讐を決意するが、周囲の目を欺くためか自身は狂乱を演じる。果たしてハムレットはその言葉通りに狂気を演じていたのか、はたまた本当に狂っていたのか、という議論が起こったりするが、側から見れば演じられた狂気も本当の狂気も大差のないものだと思う。
この物語において、父王の死や女王の再婚についてハムレットただひとりだけが騒ぎ、その行為を糾弾し、復讐のために行動する。この様相は側から見ると狂気そのものであるように思えるし、ハムレットとハムレット以外の人物たちの思考や行動について不思議にも思った。
この疑問については中野春夫氏の『「不思議の国」のハムレット』を読むとうんと納得できた。曰く、ハムレットとハムレット以外の人物たちは違う価値観と常識のもと物語の中に存在しているという。ハムレットが上演された時代の背景もふまえて、ハムレットを除いた登場人物たちが持つ常識に対して、観客たちが持つ常識とそこから生じる思考の代弁者がハムレットである、という。
しかしハムレットに関する研究論文の全てに目を通そうとすると本編を読む時間がない、という言葉にある通り、この解釈を得た状態で再びハムレットという物語をまた見つめ直すと解釈の余地が生まれ、さらに違った疑問を持つのではないかと思う。舞台で演じられるハムレットもいつか見てみたい。
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『オセロー』『リア王』『マクベス』と共にウィリアム・シェイクスピアの四大悲劇を構成する。ハムレットは父王の急死と母親の再婚を受け入れられなかった。そこに父の霊魂が現れた。彼の心の中には、父王の死の真相と母親の行動に対する混乱と怒りが渦巻いている。権力、倫理、復讐、狂気などのテーマを扱っており、文学史上最も重要な作品の一つである。
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#図書館
#評価の背景
観劇の予習のために手に取りました。
シェークスピアは中学くらいの時に挫折したのでビビってましたが、松岡さんの訳が読みやすくて安心しました。
いろいろな解釈がされながら、こんなに長く読みつがれているお話って本当にすごいなと思います。人間が内に抱える普遍的な矛盾のようなものとか、若さゆえのピュアさであるとか、織り込まれているからなのだろうな、と感じました。
そしてセリフのチカラってすごいな、と。
#本から受け取ったメッセージ
「あなたは、なんのためにどう生きますか?」と問われているような気持ちになりました。
#Action
古典は読むべきなのだろうけど、どうしても自分からは手が伸びないので観劇し続けることで、こうやって少しずつ世界を広げていきたい。
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ハムレットの孤独と悲劇が胸に苦しく残る。
とにかく、ハムレットがずっと一人ぼっちなのが気になった。父親の亡霊から復讐をとげろと命じられるのも辛いし、母親はその場の空気に流されやすくハムレットのことをあまり考えていないように見える。叔父のクローディアスはハムレットの暗殺を命じ、学友とされるローゼンクランツとギルデンスターンも、友とは名ばかりであっさり暗殺の命を実行にうつそうとする。孤独は深まり続け、最終的には唯一の友であるホレイショーの制止も振り切って悲劇の試合に身を投じていく。
「前兆なんか気にしてはいられない。雀一羽落ちるにも天の摂理が働いている。いま来るなら、あとには来ない。あとで来ないなら、いま来るだろう。いま来なくても、いずれは来る。覚悟がすべてだ。生き残した人生のことなど誰に何が分かる。」
と述べて復讐の実行を決断し行動にうつしたハムレット。その結果により死を迎えてはじめて、ホレイショーとも、レアティーズとも、フォーティンブラスとも距離が近づいていると感じられるのが皮肉だなあ。
途中まで、ハムレットは正気でありつつ狂ったふりをしていると解釈して読んでいたけど、読み終わって改めて振り返ると、「正気でありつつ狂ったふりをしていると思い込む形で狂っている」のでは?という気がしてきている。謎めいた光をはなつ黒い宝石のような作品だった。いつか舞台も観てみたいなあ。
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戯曲は読みづらくて苦手意識がずっとあった。
しかし、松岡さんのこの訳はとても読みやすかった。
舞台を見ているかのように惹き込まれて、あっという間に読了。
なにより、同じページに脚注があるのは嬉しい。
それが、こういう訳になるのだ、と、もう一度楽しめる。
ストーリーとしても面白さもあるが、
ほんの少し、英語に再会し、学んでいるような
気持ちになるのも楽しかった。