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この直前に読んだ著者のエッセイ集よりは面白かったが、何か物足りない。イギリスに住んでみたくなるような素敵なエッセイであるのにどうしてだろうかと、本書を読み終えた直後にふと思った。
「パブとビールの話がない」
もしかして第1作目のエッセイに既に書かれていたりするのだろうか?いずれにせよ要は当方が美味くて安い食べ物・飲み物の話も(だけじゃないですよ)読みたかっただけですかな。
ちなみにパブの食事はいけます、イギリスの食事は不味いという意見は誤りであるというのが個人的見解です。
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日本では飲みニケーション、っつーくらいですから酒で親睦を深める慣わしがあるんだと思いますが、イギリスは茶の方が酒より上位に来るんだとか。といっても茶の全体で見れば上位ではないようで、気楽に仲良い人と過ごしましょうや、的なもんなんでしょうか。イギリスの庶民生活を描くバンド、キンクスにも酒や茶と名前のつく曲がありますが、この辺りの潜在的な使い分けを知ると、また歌詞の理解が深まるのかもしれません。
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林望さんのエッセイが面白いのは、イギリス人のものの考え方、文化、気候風土から不思議な伝統や習慣など卑近なテーマを取り上げていて、林望さん流に観察・分析している点である。時には辛辣なイギリス批判のようであっても、イギリスを理解し深く愛していることが伝わってくる。そのうえ、独特のウィットに富んだユーモアが散りばめられているから、面白さは加速する。
このエッセイ集は、ケンブリッジの北西、ヘミングフォード・グレイのマナーハウス(荘園領主の館で、1120年築!)に8か月近く滞在していた経験が中心に描かれている。滞在先が見つからず、たまたま残っていた物件が、ルーシー・マリア・ボストン夫人(『グリーンノウ物語』の著者)が住むこの家だった訳だ。この不思議な「導き」により、「イギリス中で一番幸せな日本人」となるのである。
ボストン夫人の豪快で優しい人柄が、随所に描かれている一方、最終章では足を挫いたのが原因で、闊達な大股歩きは影を潜め toddling しかできないほど弱々しくなり、そして亡骸となる夫人。人生の悲哀すら感じるのである。
この書を通して、イギリスの美しい自然や白人の上流階級の人たちの生活を、軽妙洒脱な筆致を通して体感できる。まことに「愉快」である。
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「イギリスはおいしい」の後に少しずつ読んでやっと読了。前作は食事について、今作はイギリスの生活や文化について面白くかつリアルに描かれていて面白かった。
ボストン夫人とのお話が特に好き。優しくてお茶目なところもあって、林さんのお話からも素敵な人だと伝わってきた。梨木果歩さんの「西の魔女が死んだ」が大好きなので、あのおばあちゃんのようだなぁと思った。自然と一緒に暮らしている様子も本当に似てる。ボストン夫人のように年を重ねていきたいなぁ。
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古い本だがイギリスにいきたくなる。
欧米と十把一絡げに言う日本においてこのように本来の国の姿が、庶民目線でかかれたものにであうとほっとする。グリーンノウの屋敷に間借りする話などうらやましさも満載。
昔ながらのイギリスに出会いたいかたにはおすすめする。
クリスマスの話なども興味深い。また著者の日本語の扱いがけっこうきにいった。
なかなかこういう書き物らしい文体がないこの頃なので書物に出会った感がえられた。
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『イギリスはおいしい』(文春文庫)につづく、著者のイギリス滞在記第二弾です。
前作がもっぱらイギリスの料理事情にかんするエッセイが中心だったのに対して、本書では著者のイギリスでの暮らしが語られています。彼が暮らしていたのは、「グリーン・ノウ物語」シリーズの著者であるルーシー・マリア・ボストン夫人の暮らす古館で、彼女のひととなりをはじめ、著者が出会ったイギリス人とイギリス文化の諸相がユーモラスに語られています。
最後は、ボストン夫人との別れのエピソードが収められており、とりわけ強い象的がのこりました。
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「甘いクリスマス、辛いクリスマス」「勇気とは何か」が何回読んでもいい。ボストン夫人にマナーハウス。グリーンノウ物語もいつか読みたい。フセインに対するイギリス少年の話、豚の個人主義。
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前作の「イギリスはおいしい」は、不味いとされるイギリス料理にフォーカスを当てたもの。ある意味、際物であった。本書はある意味では王道である、イギリスの文化・風習について述べているので読んでいて楽しい。特にイギリスでも最古の建物でホームステイしたことを述べているところは、イギリスの良き階級(あえてそういう)を描いていて秀逸である。