サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

深海生物学への招待 みんなのレビュー

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー10件

みんなの評価4.1

評価内訳

  • 星 5 (1件)
  • 星 4 (9件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
10 件中 1 件~ 10 件を表示

紙の本

自然史における二〇世紀最大の発見

2010/01/17 20:34

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る

奇怪な生き物が多い深海生物のことを探していたら、熱水噴出孔生物群集なる聞き慣れないものがあることを知った。口も消化管もない生物が、深海の真っ暗闇のなかで密生しているらしい。

これらの生物は、消化器官を持たない代わりに、体内にバクテリアを飼っている。それらの共生バクテリアは海底から噴出するチムニーに含まれている硫化水素やメタンを摂取し、化学合成を行い有機物を生産している。ハオリムシやシンカイヒバリガイといった熱水噴出孔生物群集は、そうしたバクテリアが産出する有機物を栄養にして生きている。

私たちは普通、光合成を行う植物を起点とした生態系に暮らしている。深海生物の多くも、海の表層から降りてくるものに依存しており、つまり生物はすべて太陽の恩恵によって生きていると思われていた。けれども1969年に行われた深海調査において、太陽の光に依存せず、地中から吹き出すチムニーからの硫化水素やメタンを栄養源とする生物が発見されたことで、その視点は大きく転換を迫られた。

私たちが属する光合成生態系とは異なる化学合成生態系の発見は「自然史における二〇世紀最大の発見」とまで言われている。

というわけで、こんな面白い発見がされていたのか、と生物学とかにはとんと疎かったので、非常に新鮮な驚きを味わった。これは面白い、とネットで見られる資料だけではもの足りず、よりじっくりとこのハオリムシとか熱水噴出孔生物群集について紹介したものはないかなと探して見つけたのが本書。

ハオリムシ(チューブワーム)をはじめとした熱水噴出孔生物群集を核に記述したもののなかで、たぶんもっとも手頃なものがこれだろう。他は深海生物全体について概説したものぐらいしか見つからず、この独特な生態系の意味を論じた本が他に見つからなかった。

本書は深海探査挺の乗組員として実際に深海調査をしている著者の経験を交えながら、ことに熱水噴出孔生物群集について丁寧に説明をしていて、非常に面白く読めた。本の流れも考えられていて、探査挺でだんだん海底に近づいていく経緯を語りつつ、その時々で出てくる海洋知識についての解説や、海底探査の逸話、またSF小説、文学、詩などの引用を縦横に挟み込みながらの叙述は引き込まれる。

チューブワームについても結構満足のいく解説が読めるけれど、この本で面白いのは、光合成に依存しない(というわけではないらしいという説もあるとのこと)生態系というものが意味する事態についての試論だ。

生命の起源について、従来は栄養を自前で作り出すのではない、従属栄養生物が起源だという「従属栄養仮説」が主流の説だった。けれども、「パイライト仮説」という化学合成独立栄養生物が生命の起源だったのではないかという説が新たに出されているらしい。パイライト仮説に従うなら、最初の生物はハオリムシなどに共生しているイオウ酸化バクテリアだったという可能性を著者は指摘している。また、光合成の起源は、熱水を噴出するチムニーを発見するための赤外線センサーにあったのではないか、という新説も紹介している。

地球生命の起源について、この奇妙な生態系は興味深い仮説の土台となっているようだ。

また、著者はこの太陽光に依存せず、海底地殻運動の産物である熱水噴出から糧を得る生物群の存在から、地球外生命の可能性を指摘している。火山活動のある木星の衛星イオ、同じく表面が氷に覆われているものの海水の存在が指摘されているエウロパには、海底熱水活動があるのではないかという。そして、海底熱水活動があるならば、そこには地球の熱水噴出孔生物群集のような、化学合成生態系が存在しているのではないか、と著者は考える。

これは面白い。結構可能性があるんじゃないかと思わされる。なにしろ、光の届かない海底に、熱水を栄養としている生物が現に居るわけで、なかなかの説得力。このことについては同著者のこれも非常に面白い「生命の星 エウロパ」に詳しい。

海にはまだまだ謎がいっぱいだなと楽しくなってきた一冊だった。

ちなみに江ノ島水族館にはハオリムシ等この種の生物を集めた化学合成生態系水槽があるので必見。深海生物のなかでもよく知られている体長45cmにもなるダンゴムシの仲間、ダイオウグソクムシとかもいる。私も何年か前に見に行ったのだけれど、これは面白かった。
http://www.enosui.com/exhibition_deepsea.php

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2004/12/01 00:05

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2004/12/05 02:26

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2005/03/01 13:27

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2006/07/28 17:48

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/06/12 08:15

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/08/09 16:00

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2013/01/28 21:49

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2013/02/28 15:26

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2018/11/05 06:50

投稿元:ブクログ

レビューを見る

10 件中 1 件~ 10 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。