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中国春秋時代の晋の文公である重耳の物語。描写の濃やかさと人物の熱さで、宮城谷先生の歴史小説には毎回楽しませてもらっている上に、歴史の勉強にもなる。
上巻では、晋が周によって封じられてより、翼の本家と曲沃の分家の二つに分立し、重耳の祖父である称が粘り強く宮廷工作を進めて本家の翼城を落として統一すると共に、これに乗じて曲沃を取ろうとする虢の国との戦いまでを描いている。重耳は初陣を果たして、翼攻めで軍功を挙げた駆け出しの状況。
まだ先は分からないが、祖父ほどの器ではない詭諸の治世が暗雲のように漂い、いずれも大人物である異母兄の申生と同母弟の夷吾とのライバル関係も想起させるようなそれぞれの切磋琢磨が描かれている。