紙の本
貴種流離譚のはじまり。
2017/06/10 18:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一般に罪もなく流される貴種流離譚とは異なり、どう考えても光源氏の自業自得。
しかも、その先であっさり子どもまで作るとか。
それを考えると源氏から逃げ出した空蝉が再登場する「関屋」がいい感じに効いている。
投稿元:
レビューを見る
源氏の君のナルシストと自己憐憫っぷりに磨きがかかる都落ちの辺り。自分に本当に何の罪もないと思ってる辺りは潔いほどだと思いました。
まぁ時代的に人の家に勝手に侵入して娘さん誑かすのは罪にならないのかもしれませんが、帝のお手つきによくもまぁと呆れます。
一番驚きなのはそんな男の味方を皆がするということ。幾ら何でも朱雀帝が気の毒じゃなかろうか。前斎宮の件も。
歳だからかと思ったけど、よく考えたらそれほどの年齢でもないんだから前斎宮の方が年齢的に合ってるのに。
投稿元:
レビューを見る
須磨から明石で源氏に変化か。ずるい、マメ、打算計算か。巻末の寂聴さんの源氏のしおりが言いたいこともいい、コンパクトにまとまっていてわかりやすい。
投稿元:
レビューを見る
好き放題やってきた光源氏でしたが、雲行きが怪しくなり、神戸の辺りに都落ちします。
しかし、めげない光源氏は、明石で出会った女性との間に娘をもうけます。
しばらくして、都に戻ってからは、今まで以上に華やかな生活を送ります。
今回は、女性への想いよりも、自分の子供への愛情が多く描かれていました。
投稿元:
レビューを見る
二巻まで新装版を読んでいましたが、貸し出し中なので、こちらを読むことに。
字が大きいので読みやすく、絵も綺麗なのがついていて、参考図録もある。良いです。
須磨に流れいろいろと大変な目に遭って、光源氏も落ち着いたのか。第二巻までのように次々に新たな女性が出てくるわけではないですが、明石の君が登場し、帰京に伴う別れ、姫君の誕生、明石の君母子を都に迎える、という物語が中心になっています。そこに、六条の御息所の娘の前斎宮の入内や後宮の様子、末摘花や空蝉との関わり、朱雀院と朧月夜のやりとりなどが書かれていました。
気に入って読んだのは、蓬生の帖。どうにも末摘花が私のお気に入りらしく、強情に父君の邸を守って源氏を信じて待っている様子が、この巻のなかで一番浮世離れして、物語らしい感じがします。これで末摘花が可愛い娘だったら、話が成り立たないでしょうが。結果、源氏が末摘花を思い出してくれて良かった~、分かってはいたもののはらはらしました。
前斎宮の入内などが書かれた帖は、政治的なにおいのする生々しいところを感じます。藤壺と源氏の密議や、源氏の野心や下心や朱雀院への後ろめたさなどいろいろな感情の交錯するところでした。前斎宮は、いろいろと思うところはあっても、身近に後ろ楯がないので、どうしようもない。かわいそう。
紫の上は、源氏の浮気にご機嫌を損ねたときにちょこちょこ登場。最後の松風の帖で、明石の姫君を引き取って育ててみない?と源氏に提案をされるのですが、その時の会話で、源氏が紫の上に明石の上のことについて
「比べものにもならぬ相手を、対等にお考えになるのはつまらないことですよ。自分は自分だと平気で無視していればいいのです。」
明石の上にも、紫の上にも、あんまりにも失礼…。
明石の上からきた手紙を
「この手紙は、あなたが捨ててください。あぁ、わずらわしい。…」
なんて白々しい上に、やっぱり失礼…。
平安時代の読者がこの辺を読んで、どんな風に感想を言い合っていたかな?と、思うと面白いです。男性は源氏の立場になって言い訳してみたり、それに女性がいろいろ言ってみたり、なんてことはなかったかな~。
ところで、朱雀院は朧月夜を一途に思ってる設定ですが、前斎宮にもご執心で自分のもとに引き寄せようとします。あれれ。一途に思うって、同時に二人はアリなの?平安男子の一途は当てにならない。