紙の本
「同窓会」=「懐かしい」という言葉では括れない
2001/06/13 13:13
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投稿者:パンちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
青葉ヶ丘中学3年A組。このクラスは異様だった。何者かによってこのクラスの者に届けられる「恐怖新聞」。そしてこの何者かによって次々と「粛清」の対象が選ばれていく。選ばれた者は恐怖のどん底に突き落とされ、癒えることのない傷を負わされる。やがて卒業から二十年後、同窓会が開かれることとなり準備が進められるが、一方で、復讐を目論む者による大量殺人計画も着々と進行していた。
「同窓会」というと、多くの人は真っ先に懐かしいなあと思うことだろう。あまり仲の良くなかった者同士でも楽しく語り合え、苦い思い出だった事でも笑って話せるようになる。時の流れは人の心を緩和してくれる。だが、全員が全員同じ気持ちだとは限らない。この小説の登場人物のように、嫌な思い出のままずっと心に恨みを抱いている者もいれば、せっかく忘れていたのに「同窓会」の通知によって悪夢を呼び覚まされる者もいるのが普通ではないだろうか。思い出はなぜか美化されがちだが、けして過去のこととして片付けられない思いを抱いている者がいることを忘れてはならない気がする。自分は学生時代を楽しく過ごせなかった一人だ。まだ同窓会が開かれたことはないが、同窓会通知を目にした時いったいどんな気持ちになるのだろうか。懐かしい気持ちになるだろうか、それとも不快に感じるだろうか、本書を読み終えそんなことをぼんやりと思った。
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叙述系で初めて読んだ本だけに、その衝撃たるや。
今読むとちょっと幼い感じがするけど、中学生のときにはヤラシイなーと思ったので対象年齢が微妙。
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連合赤軍事件の記憶も新しい1973年、その現場から程近いある中学の3年のクラスで【粛清】の名のもと 悪質な虐めが横行していた。
さらにその内容を詳しく記した【恐怖新聞】なるものの 無言の圧力は編集者の思いの外生徒達の心を抑圧していた。
加害者は容易に忘れるが 被害者は絶対に忘れない
という言葉の典型とも言えそうである。20年経っても尚 恨みは消えることはないのだ。
真の加害者は一体誰なのか 読み終えてみればなるほどと頷かされることもある。
しかし それほど深く反省しているようにはどうしても見えない。
これでいいのだろうか。この人物はこのままで。
あまりに多くの人生が狂わされたと言うのに。
軽い気持ちでしたこと――もしかすると加害者意識さえもなく――がやられた側には深い傷になることを 人はみな もっと自分に言い聞かせるべきだ。
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「粛清!」正直読んでて怖かったです。引き込まれる楽しさはあるけれど、延ばし過ぎというか途中ですべてが解っちゃいました。
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【2006.11.27.Mon】
青葉ヶ丘中学3年A組。悪魔がすむこのクラスを担任教師は「沈黙の教室」と名づける。何者かによる恐怖新聞の発行。次々と行われる粛清。そして、現在。復讐を計画していた記憶喪失の男が自分探しを始める。過去と現在が同時進行してゆく1部。そして、2部では現在のみで進んでゆく。時間的トリックと思わせておいて、最後には人の心をトリックの仕掛けにしていたことがわかる。いじめた者はすぐ忘れる、いじめられた者は一生忘れない。この原理を中心に据え、人のもろさや残酷さを訴えかけている。おりしも現在、いじめを苦にして自殺する青少年の話題がいつにも増して過熱している。いじめが死につながるという事実。これが私たちには理解できても、現場にいる青少年には見えない。それが若さゆえの過ちと簡単に片付けていいものか…。大人にかかる責任は重大なのは間違いないだろう。
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純粋なミステリー。
折原さんの作品は『冤罪者』ではまったのですが、こういう作風も書けるんだな、と純粋に感動しました。
からくりを知ってしまえば、「あぁ、なるほど・・・」というのが折原さんの特徴?!
恐怖新聞を自分も書いてみたいな^^;
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学園モノミステリー。
クラスメイト達を震い上げさせる『恐怖新聞』の発想は面白いけど、無駄に長い気がした。犯人探しも二転三転あってなかなか。
彼自身の評価は『暗闇の教室』を読んでからにしようかと思う。
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大雨の中、自宅帰る途中いきなり飛び出して来た男を塚本由美は危うく轢きかけた。大事には至らなかったものの男は記憶喪失になる。男の手元に残っていた唯一の手がかりは手帳。その中には『青葉ヶ丘中学校3年A組。同窓会における殺人計画』という文字が書いてあった。二人は少ない手がかりを元に一つ一つ丹念に調べて行き、やがてその男は神崎一郎という名だという事が判明する。が、その名前は二十年前の青葉ヶ丘中学校卒業アルバムの中には明記されていなかった。
二十年前――青葉ヶ丘中学校の3年A組の中では首謀者のハッキリしないいじめが蔓延していた。事細かに書かれクラス全員に配られる「恐怖新聞」。そして何時誰が書いたのか不明な黒板の「粛清」の文字。その渦中の中、一人の自殺者を出してしまう。そんな事を忘れたかのように当時の学級委員長だった秋葉拓磨は二十年ぶりに郷里での同窓会を計画した。
この話は三部構成になっていて、一部が過去の出来事(中学校中心)に書き綴られている。ここらあたりはホラー気があるが、物語全体としてのホラーカラーは薄いので怖くは無い。
二部に入ると現在の同窓会を執り行う様が書かれ、また徐々に謎も核心へ流れ出すので、この辺りは文句無く面白い。何度「こいつか?いや、こいつか?」などと思ったことか・・・(笑)
確かにちゃんと解明してるのだが、なんか物足りない感があるのは何故だろうか?
絡められているこの作家独特の手法は面白いのだが、物語全体のインパクトが薄い。中盤辺りの面白さが最後まで継続してない気がするのは気のせいかしら。。。
人物が判明するまでのスリリングな展開に対してオチが軽すぎるのかなぁ。。まとまり過ぎて期待を裏切らないからインパクトに欠けるのかしら。うーん・・・
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久しぶりの本格ミステリ。本当に楽しかった。
どっぷり謎解きに嵌らせてもらいました。
いじめによる恐怖に支配されていた田舎の中学校のクラス。
20年ぶりに同窓会が開かれることになり、復習劇が始まる…
読後感は楽しかったの一言。それ以上でもそれ以下でもない。
ただ、700頁の量を感じさせないのは流石だ。
一つ腑に落ちないのが、「焼け跡から発見された死体」です。
誰の死体??
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青葉ヶ丘中学3年A組―悪魔のようなこのクラスを、担任教師が名づけて「沈黙の教室」。何者かが不気味な恐怖新聞を発行し、つぎつぎと粛清の対象を指名していく。そして行なわれる残酷ないじめ。やがて20年がたち、クラスの同窓会の告知が新聞に載った時、報復を誓う者による大量殺人計画がひそやかに進行しはじめた!めくるめく多重構造の謎と、じわじわと忍びよる恐怖。日本推理作家協会賞長篇賞に輝くサスペンス。 (「Book」データベースよ)
お初の作家さん。会社の友人に勧められて読みました。
うん。面白かったです。映画になりそうな展開だし、出てくる人もそれなりに個性があって、何か裏がありそうな感じもして、きっと最後にどんでん返しが来るんだろうって思って読んでいたからかな。
でもところどころに、チープな表現が気になりました。とくに、色っぽいことを書くときに、そんな印象を受けました。それが盛り上がってくるあたりで、ちょっとがっかりさせたれました。
なくてもよかったのかなっても思いました。
結局最後まで、犯人はわからずじまい。
ちょこっとあたってた部分もありましたけど。
勧めてくれた友人はこれ以外にも読んでいて、面白いといっていたので、読んでみたいと思いますね。
かなり厚い本だったけど、スラスラいけます。
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「沈黙の教室」と担任が名づけたクラスの同窓会が卒業から20年後開かれることになった。それは、新たな悲劇の幕開けだった。
多重構造なので、章によって主観がかわる。
時間軸も交錯してる。
なので、全てが見えているような錯覚におちいる。が、肝心なところは曖昧で見えない。
この見えてる、見えてないという部分のバランスが絶妙。
なので、なんとなく先がわかってきていても、展開に驚く。
にしても、中学生のころってあんなにも視野が狭くて、それも皆が皆で、妙だよな、って思う。
やっぱ、中二病っていうのはあるのかもしれんねww
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20年前に卒業した田舎の中学の同窓会が開かれる。「粛清」という言葉とともに、「恐怖新聞」が発行され、陰湿ないじめ、自殺や退学者が出、何かに脅えるように教室は静寂する。そして、同窓会の関係者が死んでいく。忌まわしい記憶を手繰りながら、復讐しているのは誰なのか・・・。
いじめた方は忘れても、いじめられた方は20年が過ぎようとも、時が経つにつれて憎しみが増していく。ホント有りえそうな話だからこわい。最初から、20年前のいじめは、誰か頭のいい子がやっていると思ってたから、その犯人を知っても納得はいったけど、あとは色々と複雑だった。少しハッピーエンドかな、とも思ったけど、そうでもしないと読み終わった時にやってられなかったかも。
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内容(「BOOK」データベースより)
青葉ヶ丘中学3年A組―悪魔のようなこのクラスを、担任教師が名づけて「沈黙の教室」。何者かが不気味な恐怖新聞を発行し、つぎつぎと粛清の対象を指名していく。そして行なわれる残酷ないじめ。やがて20年がたち、クラスの同窓会の告知が新聞に載った時、報復を誓う者による大量殺人計画がひそやかに進行しはじめた!めくるめく多重構造の謎と、じわじわと忍びよる恐怖。日本推理作家協会賞長篇賞に輝くサスペンス。
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青葉ヶ丘中学3年A組―悪魔のようなこのクラスを、担任教師が名づけて「沈黙の教室」。何者かが不気味な恐怖新聞を発行し、つぎつぎと粛清の対象を指名していく。そして行なわれる残酷ないじめ。やがて20年がたち、クラスの同窓会の告知が新聞に載った時、報復を誓う者による大量殺人計画がひそやかに進行しはじめた!めくるめく多重構造の謎と、じわじわと忍びよる恐怖。日本推理作家協会賞長篇賞に輝くサスペンス。
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記憶を失った男性の持っていた手帳に書かれた殺人計画…
20年前、中学の教室内で「粛清」という、名指しでの陰湿ないじめ…
物語最初から謎の部分が多く、どんどん読み進めていけます。