紙の本
木曜日の子供達、それぞれの遠き道
2004/02/18 14:57
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投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「いいよねぇ、上に生まれた子は。何でも一番最初に出来て、服だってお下がりなんか着た事ないでしょう?」
「えー、それを言うなら下の子の方がいいよぉ。何てったって初めての子っていうのは、親が慎重になるし。二度目だと親も慣れるし、下の子は上の子を真似して育つから、要領よくなるし。」
どっちが得か? 議論しても結論は出ない。
上の子である私は、ちょっぴり下に生まれた妹が羨ましい。
やっぱり手先が器用だし、この子は私がした失敗をしないで育つ。
それって近道を知ってるってことだ。何だか、ずるいなぁ。
その感情を「嫉妬」というのだと知る前から、そんな思いを抱いていた。母と同じ道を歩もうと決めた妹とは、違う職業を選んだのも、同じ道なら妹にかなわない。そんな思いがほんの少しでもなかったろうか。
本編の原題「木曜日の子供達」はマザーグースの一節から取られている。Thursday's child has far to go. 木曜日の子供達は遠回りをするのだそうだ。
主人公の姉弟二人は「芸術」というゴールが見えない遠い道を走り出す。スタート時点は母の期待、恵まれた容姿、優れた才能を持つ姉のクリスタルがリード。でも、弟デューンもまた、家族以外の人達のサポートを受けてスロースタートをきる。
ヒットした映画『リトル・ダンサー』でも最初に主人公の才能に気付いたのは家族以外の人だった。一番わかって欲しい人の理解や経済的援助を得られない点で、本書はこの映画とよく似ている。異なるのは、天才の弟デューンを持つ姉クリスタルを登場させた事。天才をまわりで見ている他人ならば、褒めそやし、感動し、その場を離れればすむ。でも家族は一生つきあわなければならない。望んで生まれてきたわけではないのに、「天才のきょうだい」として、絶えず比較される運命を背負う。そのプレッシャーたるや、私の想像を遥かに越える重さだ。天才チェリストの妹とその姉の関係を描いた映画『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』では、妹から逃れるために姉は結婚を選択し、普通である事を強みにした発言で妹をパニックに陥れるのだから。
しかしクリスタルはそうしない。才能を伸ばしてゆく弟という
現実から逃げようとせず、ダメージをばねとして葛藤を乗り越え、人間的成長を遂げてゆく。そんな彼女の存在があったおかげで、この作品の読後感は、とてもさわやかだ。
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大人も楽しめる
2016/04/04 15:27
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投稿者:kobugi - この投稿者のレビュー一覧を見る
バレエと無縁でも、デューンとクリスタル、両親の気持ちがうまく描かれていて楽しめる。単なる児童対象の「物語」ではなく、人間心理の機微まで見事に表現されている。当時のイギリスの様子、世相、価値観が一端なりとも理解できる一作。
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バレエが大好き
2016/07/19 22:30
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投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
バレエが大好きな少年デューンがひたむきでよかったです。
才能あるのに家族は協力的でなくてかわいそうだなー。
姉は姉で気になりました。
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「木曜日の子どもの道は
遠く…」というマザーグースの一節とが妙に気に入っている。
バレエの魅力に取り付かれた二人の姉弟の物語。
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何年も前に話題になったYAモノ。今、読んでもおもしろかったですよ、充分。わかりやすいストーリーによくいるキャラクターたち。構ってくれない父母に、いじわるな兄姉。そして優しいのは弱者で、主人公は頑張る・才能は溢れんばかり。そういうのが、嫌にならないのがよいところ。子供向けだからってバカにしちゃダメ。やっぱり、かわいい主人公をいつの間にか応援してる自分がいる。続きを早く読みたい。
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みんなに注目されて、愛されて育つ姉の影で、あまり省みられずに育った少年デューンがバレエと出会い、その才能を目覚めさせていく物語。
デューンのまっすぐさがまぶしい。
映画「バレエ・ダンサー」と少し重なる雰囲気。
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設定はありきたり。けれどそのありきたいな雰囲気を持ったまま、魅力的な作品へ変わった作品だと思う。
バレエとピアノ以外に才がないデューン。だけどそれこそ最大の才であって、ひた向きに愛されようと、自分の好きなように生きようとする姿は鮮烈で心惹かれるものがある。
上巻ではあまり良い所の出ない印象だった姉、クリスタルも読み返してみれば、最初のあどけなさや、純粋さは非常に愛らしい。
上巻故のここからどう展開していくのかと期待させる終わり方である。
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小学生の時に読んだ本。
当時は私もバレエをやっていて、だけど男の子がやってるのは全然見たことがなくて。確かそういう意味で興味を持った本だと思う。
読み返したくなって図書館で借りてきた。
借りてきてよかったと思った。下巻が楽しみ♪
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上下巻あり。久しぶりに良かった!やっぱり。ルーマー・ゴッテン好きです。兄弟の育てられ方に疑問はあるが、だからこその設定ですし、下巻で大きくなったお姉さんのクリスタルの心理描写とか、乗り越え方なんかが思春期の子にはとても読んでおいて欲しいように思います。
表紙の絵がほわっと柔らかすぎるのが、内容に合っていない気がして残念。中のイラストは武田美穂さんですが、ますだくんとは違うタッチで良かったです。
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舞踊の天才なのに両親に認めてもらえない、みそっかすな男の子とダンサーを目指すお姉さんの物語。物語はさくさく読めて、「小さな子供の手でショパンのノクターンはないだろ?」とは思いましたが;;人生や舞踏について、要所に意味深い言葉が出てくるので、お気に入り図書になりました。下巻も読みます(^^*)
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3回目再読。ゴッデンは大人になってから出会った貴重な作家、なかでも「台所のマリアさま」と「すももの夏」は私にとって宝物のような作品。今回は先日読んだばかりの「シンデレラはどこへ行ったのか」で取り上げられていたのでまた読みたくなった。2度目に読んでからなんと16年の歳月が…
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図書館の区分けが「児童書」であり、しかも本を開けるとすべての漢字にルビが振られている上文字も大きく、これは失敗したかな?と思ったのもつかの間、古典的な”醜いアヒルの子"なストーリーながらも表現も豊かでついのめり込んで読んでしまった。
オープニングがいきなりすぎて、なになに?ってついていけなかったが、あーなるほどと、つかみが良い。
下巻が楽しみだ
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家族の関わり方やピアノへのアプローチなど丁寧に描かれていて,デューンの才能が花開いていくのがわくわく物でずっと応援しながら読んだ.
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岩波のシンデレラは・・・という本で解説されていた本である。ただし原題の木曜日の子どもたちというタイトルであった。どの程度の人が読んでベストセラーになっていたかがよくわからないが、初めて読んだ気がする。
バレエダンサーとして母親の期待を受けて教育された姉のクリスタルに対して、まったく顧みられなかったディーンがバレエ専門学校の試験に合格するという場面で終わる。
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英国生まれの少年、主人公デューン13歳王立バレエ学校の生徒。ロンドン、ロイヤル劇場でのガラ公演の幕が上がるシーンから物語は始まる。
あらすじは…姉クリスタルのバレエレッスンについていくうちにバレエに惹かれていくデューン。当時男性のバレエダンサーの少ない時代、偏見と誤解にさらされながらもデューンは才能を発揮していく…
なんでこの話が好きかと考えると…デューンのひたむきさが周りの人を巻き込んでいくところかな。「バレエが好き!音楽が好き!芝居が好き!」という一途な気持ちを持ってる人のことを応援したくなるんですよね。弟の才能に対する姉クリスタルの屈折した気持ちにも共感します。下巻も楽しみに♪