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絵本百物語 桃山人夜話 みんなのレビュー
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紙の本
日本妖怪画の基本フォーマットの一つ。
2006/09/05 09:27
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
鳥山石燕の画図百鬼夜行と並び、日本の妖怪を描いた古典として語られる一冊である。 カラー大判の画面に紹介されるものたちは時におどろおどろしく、時に美しく、時には微笑ましい。京極夏彦さんの「妖怪は反復再生産する。」で始まる巻頭の文章も、石燕との違いやこの画集の特徴などをよく紹介してくれて楽しい。確かに「画図百鬼夜行」と本書「絵本百物語」は後の日本妖怪画の基本フォーマットであろう。
誰かに似ているような「山男」、小雨振る夜の「豆狸」は「八畳敷」の実用価値が微笑ましく、怖いという感じはしない。私的には一番怖そうに感じたのは「夜の楽屋」である。操り人形が、首だけ転がっていたりぶら下がっていたりするのは、勝手に動かなくてもきっと「怖い」。
由来などきちんとお話のように書き込まれていたものなので、「昔話」や「お国話」を読むような楽しみもある。「葛の葉」や「小豆洗い」などの話を今一度読んでみるのも面白い。 惜しむらくは、この「お話」の字だけの頁が、原版は薄墨色の背景にされてそのうえに活字になって書かれてしまったことである。解説を後ろにかなりの頁を使ってつけていることでもあるから、本文も全部、画と同じように復刻し(読めないかもしれないが)、活字は後ろに付けるなどしてくれたほうがより雰囲気は伝わったのに、と思う。
画集はやはり、ある程度の大きさがあった方が満足度が高いかもしれない。この画集も最近文庫版になったが、残念ながら迫力の点ではこちらに軍配を上げたい。石燕の画図百鬼夜行にも文庫版があるが、あちらは「これでもか」と沢山の妖怪をみるのにコンパクトにまとめた良さも感じた。むこうはほとんど画、こちらの方は「お話も読みながらゆったり読みたいじっくり見たい」と思うせいだろうか。
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