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森信三を主軸にして中村天風との対比なども織り込んだ人間学の本。
フォトリーディング。バブル崩壊直後なのでバブルの反動的な人間回帰の色合いが濃いのかと思いつつ流した。実際はそうとも言い切れず、人の心のすさんだ時代への警鐘のような本に感じた。ただし森信三の全一教育をしていれば少年犯罪はなくなるのに・・・などとの著者の発言には疑問を持った。まだ「やればできる」的なバブル的な雰囲気があるのかもしれない。
高速リーディング。率直に面白かった。単に森信三についてまとめた本ではなく、著者が森信三らを通して学んだ人間学の本であった。
興味を引いた箇所を挙げると、森は平凡であることを良しとしたとのこと。また、この本には立腰教育と森が受けた座禅(正座)の効用が詳しく論理的に記されてあった。要するに外を整えると内側もシャンとするということなのだが、読んでいてなるほどと思った。安岡正篤についてはあまり知らなかったが、本書によって調べてみようと思わされた。本書では安岡氏と森氏を同列にはなされていた。かなり似た活躍をしたが政界財界に影響力があった人物らしい。p199には感動する条件があって面白かったので引用すると1)師をもとめる。2)書物を読み実践する。3)優れた芸術品に接する。の三つ。これもなるほどと思わされた。教育とは感動によって授受されるというのが森氏の考えだそうだ。就寝前のフォトリーディングという軽い気持ちで手にしたが、思わぬ大収穫であった。星は五つにする。