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どれもいいのだけれど、「風の中の蝶」の前半の集う若者たちの姿に、胸がきゅんとなりました。ソフィアコッポラの「マリーアントワネット」を観た時にも感じた、ほんの一瞬の青春のきらめき。こんなに瑞瑞しく青春群像を描けるなんて、さすがです。
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短編集。どの話も珠玉といって差支えない完成度ですが、
『巴里に雪の降るごとく』は、全て読み終わってハっとする、天才的なタイトルのつけ方です。天才。
全てが異常に面白い明治シリーズの中でも、飛び抜けてキラキラしている上下巻です。
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収録作・・・「それからの咸臨丸」「風の中の蝶」「からゆき草紙」
いやはや、とても面白かった。大満足。
この巻では、「波濤歌」というタイトル通り、どの短編でもいずれ日本を離れ海の向こうへと旅立っていく人々が登場する。それらの人生は、まさに波に揉まれる怒涛の人生である。
それぞれの登場人物の描かれ方がとてもよい。いきいきしている。
自分の信念を持ちながらも、時代に翻弄され、あるいはその信念ゆえに苦悩する登場人物たち。それでも彼らはひたむきに何かを見つめ、自分が自分であることに誇りを持とうとしている。
特に樋口一葉のキャラクターが素晴らしかった。
なんという心意気の美しさであろう。読んでいて、私は彼女の心意気にほれ込んでしまった。本当の美しさ、本当の強さ、そして本当の謙虚さとは、こういう女性に宿るのだと思った。
上巻では、どちらかというとストーリーよりも登場人物それぞれの印象が強く残った。登場人物たちの「それから」が、あまり明るいものではなかったから、同情して少ししんみりしてしまったのかもしれない。