紙の本
中国の隋唐の約300年間の歴史を詳細に解説します!
2020/04/08 11:29
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、中国の隋と唐の時代、およそ300年間の歴史を詳細に論述した歴史書です。隋は、秦漢帝国の滅亡後に約380年も続いた分裂時代に終わりを告げ、南北を統一した一大王朝であり、その後の唐は、高句麗を滅ぼして、西はイスラム帝国と衝突するまで領土を拡張したことで知られる大帝国を築きました。そして、内政においては、律令制の確立、科挙制度が浸透し、文化面では李白や杜甫といった人物が活躍しました。同書では、こうした栄華に飾られた隋と唐の時代を詳細に見ていきます。内容構成は、「第1章 隋の南北統一」、「第2章 唐王朝の創業と貞観の治」、「第3章 則天武后―女帝の出現」、「第4章 玄宗の開元・天宝時代」、「第5章 律令制」、「第6章 大唐の文化」、「第7章 律令制支配の破綻―盛唐の終焉」、「第8章 両税法の成立」、「第9章 中央と藩鎮」、「第10章 世界帝国的性格の後退」、「第11章 黄巣の大乱」として話が進行し、非常に読み易くなっています。
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この本は1974年に講談社から出版された『中国の歴史4、隋唐帝国』を加筆・修正をし文庫化されたものです。隋(581-618)の南北統一や煬帝の大運河建設に始まり、唐(618-907)の貞観の治、則天武后の登場、安史の乱(755-763)、楊炎の両税法の導入(780)、黄巣の乱(875-884)などを中心に書かれています。
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晋まで入ってくるけど。唐の部分しかつぶさに見ていないがかなり概説的に多くの情報を取り入れてくれていると思われ◎
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布目潮風、栗原益男・著 講談社 1997年
ちょっと古めだけど、やっぱ概説書としては十分すぎる内容です。
まさしく豪華絢爛な時代!(まぁそれだけじゃないですけどね)
中国だけでなく様々な民族が入り乱れるグローバルな王朝。
やっと日本も出てきますよ~
中国史の中では珍しく、女性の活躍頻度が高いのでは?
唐詩やら仏教道教などの文化面でも大注目。
悪帝と名高い煬帝や、中国三大悪女の一人である則天武后ちゃんも歴史的、客観的にちゃんと評価しています。概説書なんだからそりゃそーか。
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現代ではやや古さも感じる、隋唐期の概説書。この時代がどのような方向性をもって流れていったのかを把握するにはなお有用な本であろうと思う。筆者も巻末に付している通り、90年代に出てきた研究成果は取り入れ切れていないので、この本を足がかりとして新しい本へ進むのがよいだろう。
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講談社学術文庫 「 隋唐帝国 」
隋唐時代の歴史的事件と時代背景をわかりやすく説明。流れを重視した通史と異なり、重要性なキーワードは細かく論考している。日本や朝鮮三国との関係史も同時並行で進み、面白い
隋唐は 文帝ら鮮卑系支配集団の台頭により南北が統一され、国として 律令体制=貴族政治 が強化されるが、律令体制の衰退と農民の乱により滅亡したとする構成
英雄豪傑の戦いの時代から 律令体制の時代を経て、民主主義の時代へ進みそうな気配を感じるが、なぜそうならなかったのかに興味を持つ
日本は 隋唐から律令体制と文化を吸収するだけして、自ら 大化の改新を行い、唐の律令体制が衰退するや 遣使船を停止するって なかなか 計算高い。あやうく冊封体制に組込まれるところだった
隋唐時代のキーワード
*文帝、煬帝、高祖、太宗、則天武后、玄宗らの支配集団と支配原理
*朝鮮三国や日本との関係史
*律令体制と貴族政治の盛衰、節度使による安史の乱
*両税法〜租庸調の破棄、戸等的な支配原理
*農民による黄巣の大乱、唐朝の滅亡
隋唐律令の特色
*良賤制〜良人と賤人に身分秩序を分け、良人には軽い刑罰、賤人には重い刑罰を課す
*尊卑長幼制〜家の中において 尊卑長幼の秩序を 律令制を通じて刑罰により強制した
*官僚制〜中央集権的一元支配
隋唐時代は貴族政治の時代
*律令制度による人民支配が貴族政治を支えていた
*直接人民を支配していた律令制は均田租庸調制、府兵制
安史の乱は 律令体制の矛盾による集中的表現
*節度使とその傭兵集団の乱
*律令体制の破綻〜貴族と科挙官僚の相克
*周辺民族の新しい民族的結集の動き〜羈縻政策から藩鎮防衛体制へ
*小農民による律令国家負担の否定、徴兵忌避