紙の本
作家の強さを感じる
2001/03/29 23:46
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投稿者:すの - この投稿者のレビュー一覧を見る
柳 美里の「家族シネマ」と同時期に読んだのだが、柳 美里が自分の感性に合わない分だけ筒井氏の強さを感じた。テーマが同じで、短編集で、この差は凄い。とてもお面白かった。自分的には「天の一角」がおすすめ。
覚悟と自覚のある差別は、覚悟も自覚もなく善意で差別する(される)人々にも必要だと思う。
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SFの巨匠、筒井康隆氏の著作。短編が数本収録されていたが、中でも「九月の渇き」「天の一角」「猿のことゆえご勘弁」おもしろかった。
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気がつくと石川五右衛門であった表題作「家族場面」は、ページをめくるという行為がこれほど興奮させる行為だったのだということを我々に再認識させる。
死刑制度について深くえぐった作品である「天の一角」、妻の反乱をユーモラスに描いた「妻の惑星」、「猿のことゆえご勘弁」など7つの短編集どれも筒井康隆らしいユーモア、シュールさが織り込められている。読んだことのない作家は短編集を読むと、自分好みかどうかわかる。
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「九月の渇き」「天の一角」「猿のことゆえご勘弁」「大官公庁時代」「十二市場オデッセイ」「妻の惑星」「家族場面」
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・5/19 思い出したように読み始める筒井だった.それにしてものっけからエグい.
・5/20 と思ったらあっという間に終わってしまった.どれも初めて読む作品ばかりだったけど、やはり一種独特な面白さがなんとも言えない.結構私小説染みてるのが比較的多かったかな.
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2011.11.24(木)¥73。
2011.12.1(木)。
重複購入
2015.4.2(木)¥130+税。(-2割引き)
2015.4.2(木)。
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笑どころはありつつもシリアスな短編集でした。文学色強め。
死刑執行の行く先を描いた「天の一角」は今まで読んだ筒井の短編の中でかなり好きな作品になった。
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筒井らしいスラップスティックな狂気に満ちた短編集である。本作のテーマは狂気ではないかと思うぐらいに狂った短篇が多い。
「九月の渇き」はスカトロ趣味が混在した異様な短篇である。特に大便がうず高く積まれて期限切れのアップルパイのように層をなしている便所の描写や、液体を欲するあまり、他人の小便に打たれてアンモニア臭で赤く目を腫らした赤目こと「能客派」などの怪人など、静かに狂ってしまった世界の描写がとにかく生々しい。
「大官公庁時代」は今となっては時代性を感じるが、それが言い訳にならないぐらいに露悪趣味に溢れた短篇である。組織の仕事の全容を把握している人間は誰一人としておらず、末端の不始末が全てを狂わせていくという描写もさることながら、小悪人が奸計を働かせ、どうしようもなく狂った世界の中で欲望のままに行動するという人間のあさましさが出ていて非常に良い。はしたない、あられもない嬌声をあげるから橋内アラレという名前も悪意に満ちていてひどいが、さんざん慰みものにした後、翌日会社にやってきたら混乱はよりひどくなっており、日報課長が馬になっていたというトボケ具合も中々である。狂騒的かつ、不条理ではあるものの、狂った理由が意外にちゃんと説明付けされていたのには驚いた。この短篇集の中ではこれが一番好きである。
筒井康隆の短篇集の面白いところは、明確なオチが予想できず、オチすらも投げっぱなしになる予測不可能さである。当初想定していた話が思いもよらない方向へ転がり始める様がとにかく楽しい。巧みな描写力に裏打ちされた自由自在な発想力と露悪趣味こそが筒井文学の真骨頂だろう。