紙の本
家族がすれ違ってしまう前に...読んでください
2001/03/10 17:29
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投稿者:なたね - この投稿者のレビュー一覧を見る
普通に生きているだけなのに、どうしてこんな目に会わなければならないの?という事件や、いやなやつが、これでもかと言わんばかりに出てきます。まるっきり、私達の普通の生の生活そのものかもしれません。
幼い子供3人を抱えた一家が引っ越してきたのは、アメリカ南部の田舎町。何の変哲もなく、モルモン教に助け支えられている一家にはすぐに慣れるはずだったのだが…。
夫のステップの新しい職場には、すごくいやなやつがいました。口先だけで、人を不愉快にさせるやつ。いますね〜、こんな人。底意地が悪くて誰にでも嫌われている人(私の周りにもいます)。おまけに、性変質者までいて、それがステップの末娘を狙っている雰囲気。
学校では長男をこれみよがしに仲間はずれにする女教師のせいで、長男には空想の友人しか出来ない。
心休まるはずの教会では、なにもかも仕切っている「でしゃばりおばさん」。これがまた、うっとおしいくらい意地悪です。住んでいる家に置いては、突然発生する「虫」の大群。
もう、一体なにがどうなって、こうなったのかわからない。
こうなると、夫婦や家族は互いに自分達のせいじゃないことで、怒り、いさかい、下手をすると家庭崩壊になってしまいそうな話ですが、そこがこの小説の素晴らしいところです。まず、ステップがいい。いかに相手のことを考えて立ち回るか、「それが愛情だ」と言い切って、決して無駄に怒ったりしない。奥さんは奥さんで、潔癖主義が邪魔をして、すぐに感情的になってしまうけど、次の瞬間、怒涛の後悔に襲われて、「やっぱり私が悪かったわ、ごめんなさい」と、なる。
本当に、普通のまっすぐに生活している一家です。ほとんど、このパターンで話が進んでいくので、まるっきり私小説みたいですけど、実はそうじゃないんです。
あっちこっちに隠されている、ラストに向けての伏線。どきっとします。悲しいです。家族はひとつです。でも、でも、ああ、もう取り返しのつかないことになっていたんだな、と思うと涙が出ます。
本当に名作ですので、是非読んでみてください。
紙の本
泣けます!子供を持つお父さん、お母さんへ
2000/09/06 17:09
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投稿者:ぐりぐら - この投稿者のレビュー一覧を見る
たまたま書店で見かけ、
「そういえば本の雑誌で90年代ベスト1に選ばれてたな」と軽い気持ちで読み始めました。
でも読み始めたらもう止まらない! 2日ほど、夜明けまでよんでしまいました。
泣けます。
ふだん映画やドラマではちょっとやそっとではもう、涙など出ないほどすれてしまった私ですが、泣けました。
最近夫婦の間で会話が減ったなとか、彼(彼女)と話題がずれちゃうなとか、
転職しちゃおうかなの人も、子供としっくりいかないわのお母さんにもお勧めです。
家族の絆、子供を信じることの大切さ、学校での教師と生徒の関係など、
ありとあらゆるテーマが盛り込まれていて、サスペンスもありです。
大好きな人といっしょに「いる」、ということのしあわせをかみしめてみてください。
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サスペンスであり、家族の愛のお話でもある。最初に読んだのは小学生で、多く出てくる宗教や父親の仕事などのシーンはとばして読んだんだけど(笑)最後は涙がぼろぼろでした。読み返してみると、上に書いたような部分が多すぎたりしてラストが短すぎたかも。でもこのお話の暖かく悲しい結末はやっぱり感動です。
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「主観的な事実もあると思うんですよ」
そうかもしれない、と 思う。
大勢に事実ではなくとも、個人では真実の場合もあるかもしれない。
しかしラストの展開はやすぎだろぅ。
それまでは淡々と家庭内の物語が続く。。。いつ核心になるのか、ミステリーとは忘れたころにどどどっと、
キターーーーーー
え、こんだけ引き伸ばしといて?!みたいな期待はずれなラスト。小学生向けみたい。
人間描写などはリアルでよかっただけに、残念。
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タイトルからミステリかサスペンスを想像してました。真面目で熱心なモルモン教徒の夫婦。子供のために良いことは何か、どうしたら子供を助けられるか。痛々しいほど真摯に考え、時に食い違いながらも必死です。懸命さが苦しく感じられるくらい。子供を育てるってこういうことなのか、どんなことでも心配で手を出したくて、でも本人に任せたいところもあって、いつもジレンマを抱えているような状態なのかと。モルモン教の教義に通じてる方、宗教に興味のある方はまた別の見方をするんでしょうが、家族愛を描いた作品だと思います。
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どう書いていいか? こんなことがあるのか? あっていいのか? という気持ちの持っていきようのない読後感……目下、我が読書歴の最高の傑作である。
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推理も楽しめるけど、ホラーもの。
本当はこういうものは結末を知らずに読むほうがいいのだろうけど、樓主は別の本でこの本の結末を知って読みたくてうずうずして図書館で探したのだった。
こんな分厚いというのに、久々に一気に読み干した。
内容は連続少年誘拐殺人鬼が出没する街にひっこしてきた家族の物語。長男(八歳)は学校で友達が作れず、空想の子供達と遊ぶようになってしまう。父親は転職したばかりで家にろくに帰れず、子供達をかまってやれない。
けれどその架空のはずの子供達の愛称をリストアップした母親は、それが近隣で行方知れずになっている子供達と一致することに気がつく・・・・・。しかも、行方不明になるのと同じ順に、彼の友達は増えていくのだ。
ラストには、クリスマス・イブに長男は友人たちを家に連れてくる。殺人鬼に殺された迷える魂を。
彼らの死体はその家族の足元に捨てられているということを父母はその日知る。
そして。
目の前にいる長男もまた、すでに殺されてそこに埋まっていることも。
結果として犯人は捕まるのだが。
長男も他の子供達も消えてしまう。
それぞれの家族に「さよなら」と伝えて。
長男が八歳とは思えないほど理性的で模範的なのは、作者自身の障害を持つ息子を投影しているためだという。
なかなか薄ら寒くなれるお話なので、夏にはいかが?
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作家 真保裕一さんのエッセイの中に出てきたので、読んでみた本。
一小節読み進めるごとに、有り触れた一家族の日々の描写の中に微かにほの暗く不安がつきまとい、読者の不安を煽る。素晴らしい文章だと思う。
ラストの一小節前のたった一言、たった数行のために、家族の日常が延々と描かれるのだ。
それが無駄だという意見もあるようだが、私には必要だと思える。
ごく普通の家族で、特別幸せでも不幸でもなく、転職や学校でのいじめや躾、近所づきあい、馴染めない環境、等々の中で描かれるからこそ、感動があると思うのだ。
個人的に自分はキリスト教に対して免疫があるが、一切ない一般の日本人読者には、中々理解しがたい部分があったのではないだろうか。主人公たちがモルモン教徒であり、日曜日は教会へ行き、ボランティアに勤しみ、物語のクライマックスをクリスマスに迎える、というような作りは、私は非常に納得がいった。が、そのような習慣に親しみが無い人々にとっては、彼らが教会へ通い、息子が先洗礼を受けることも物語の本筋には必要ないと思えるのではないだろうか。それが唯一、日本人読者がこの本に対しての評価を下げる要因ではないかと思う。
以降ネタバレ。
ザップが障害を持って生まれてきて、その障害がどうなったのか描かれないことも、信仰と大きく関わりがあるのではないか。
モルモン教は詳しくはないものの、プロテスタントでも堕胎は罪であり、障害も神の思し召しなのだから。
個人的には、ザップがどうなったのかが描かれなくても、子供たちが弟へ理解を示しているだけで十分ハッピーエンドを示しているように思える。
冒頭にある『ぼうず』が、スティーヴィでないと予想することは簡単だ。
その後、グラス、リー、シスター・ルスール、バッピー、様々な怪しい人間が出てきて、一体この中の誰なのか、はたまた誰でもないのか、と考えさせられる。
何故この理解があり、信心深い両親が、スティーヴィにはっきりと空想の友達のことを訊かないのか、それだけがずっと疑問だった。ことによると彼は類稀なる霊能力者で、殺された子供たちの霊が見えているのではないか?と思っていたからだ。
結果それは予想通りで、両親がそれを訊いて理解してしまっては全てが明らかになったときの衝撃が半減してしまうので描けない部分だったのだろう。
「家に戻ろうとしたんだ。でも、間に合わなかった」
その部分を読むまで、スティーヴィが既に殺されていたということには思い至れなかった。
残り数十ページという段階で突然種明かしがされ、ハイスピードで事実が語られ、その理由が少々ファンタジーで、しかも悲しい結果であるというのは、切ない。
最後までリアルな物語でいて欲しかった読者には、がっかりした部分であったと思う。
フレッチャー家に出てくる虫についても、子供たちの亡くなった日と関係があるという記述はあったものの、何故虫や蜘蛛である必要があったのか。単に不気味な印象を読者に与える為だけだったのではないかと思うので、理由付けとしてはやや安易か。
ゲームにしても、イマイチぴんとこない気がする。
それにしても、家族の愛、ほとんど描かれないが他の被害者の少年とその家族の愛を感じる。
クリスマスの夜、祝福の夜、家族で過ごす夜、失われていた息子が、ほんの束の間邂逅を果たす。
聖夜にふさわしい、素晴らしい奇跡だ。
誰にでも起こりうる、悲しいいくつもの事件、心に残る素晴らしい日々。
天国で先に待っているであろうスティーヴィ。きっとスコッティや他の7人と一緒に遊んで待っているのだろう。
家族が再び出会える日を、心から祈り祝福したいと思う。
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モルモン教に、興味のある方はどうぞ。
衝撃のラストとは聞いていたが、いやはや。
アメリカって病んでるよね…。
意地悪教師に父親が仕掛ける復讐はスカッとはするが、読み返すと後味悪い。でもやってやりたいわー。
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最後の最後に、「えっ?うそでしょ?うそ…(σω-)。о゚」と、なりました。
もし自分の子供が消えたら…と、置き換えたら怖くて震えます。もはや犯人が誰とか、そういう問題ではなく。
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「エンダーのゲーム」のスコットカードだが。宗教色強く家族の絆を書いた作品で、どんどん登場人物に感情移入させるテクニックは見事だが、尻のもってきどころがアレなので、最後に泣かせるために丁寧に書いただけ、という印象しか持てない。気になってどんどん読み進めてはしまうのだが。
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いったいいつから積読になっていたかと奥付を見てみたら、驚いたことに1999年1月発行でした。
なんで今まで読まなかったのか、というか、なんでこの本を買ったのかも思い出せない。
信仰を持つということ、信じる神がある生活というものを本当に理解することは、私にはきっとできないのだろうな。