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新年早々素晴らしい本と出逢いました。
多くの方が、「キリスト教はヨーロッパから受け継いだ教えであり日本人に馴染まない」と考えておられると思いますが、日本の神社やお寺に馴染んできた私も全く同感であり、このことは10代からの私のテーマでした。よく神社の参拝や参禅、また四国遍路をして真言や般若心経を何回も唱えたものでした。
そして、この道は、「寄り道」でも「間違った道」でも「異教への傾倒」でもなんでもなくて、むしろ欠かせないものであったと安心した次第です。
故門脇佳吉先生はお会いしたことはありませんが、もし同時代に学生であれば、確実に弟子入りしていたかもしれません。
若い時は参禅の修行をなされ、そこからキリストの道(彼は「キリスト教」とは言わない。私もそれに従っている)に歩まれた方であり、それゆえに、日本の霊性の深いところにまで到達している感は大きいです。
単なる傍目から研究した比較宗教学ではなく、(もちろんいいとこ取りでもない)
本当の宗教体験→宗教経験を歩み生きる方だから書ける内容で、
古神道、日蓮、親鸞、道元、老子、(別の本では芭蕉)の道の真髄に触れていらっしゃる。
そして、真にキリストの教えが日本の地に根付くには、古神道を土台に据える必要があるとまで言い、「それはかなり普遍的なもので、あらゆる宗教の基礎を形成していたものと同類かと思われます」とまで述べています。
そして、古神道の心、日蓮や道元、親鸞の心で聖書を読み直すと、全く新しく生き生きとしたメッセージが浮かび上がってくるとまで言います。
とはいえ、彼は遠藤周作とは違い、日本的なキリストの教えを打ち立てるというよりは、むしろもっと広く普遍的なキリストの教え、しかも今まで西欧で忘れられてしまった本来あるべきキリストの教えのあり方を再発見しながら、未来に向けて模索しています。
その上で、キリストの道との共通点と相違点、学ぶべきところ、また課題も公平な視点から述べておられる。
特に、私も神道の本を読んでミサ聖祭と直会の共通点に驚くばかりでしたが、門脇先生も同じ洞察でありました。
多くの日本人は、キリスト教を植民地や戦争ばかり起こしているくらいの西洋の異質なものとしか捉えていないし、一方でキリスト教の側も日本人の霊性や宗教に触れて対話をしている動きはまだまだという気がしています。
お互いのことをよく知らないまま、レッテルを貼って、相手の悪いところをディスり、自分を持ち上げる宗教者は正直哀しいとしか言いようがないのですが、、、。
是非是非、クリスチャンの方は、日本の伝統的な霊性に触れ、
一般的な神社大好き日本人の皆さんも、やまとごころでもって聖書を読んでみてほしいのです。