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本書は、企業がどうすれば、成長できるのか、経営者はどうあらねばならないのかを指し示す書です。
気になった言葉は以下です。
・成長組経営者の大部分の方の態度は、非常に謙虚である。ものすごく素直に相手の言い分をまず、聞くのである。そしてじっくり考える。
・当たり前のことを気軽に、という意味は、理論を理解したら、とにかく、”やってみる”ということである。
・謙虚なる成長組経営者は、つねに、理論的であり、理論の摂取と採用において素直であり勇敢なのだ。
・成長組経営者は、専門家を尊重する。
・成長企業の共通の戦略条件とは ①先制主義、②集中主義、③一番主義、④傾斜経営、⑤大衆商法
・言葉で”根性”を教えてもだめである。(⇒実行しろといっている)根性とは”どんなときでもへこたれない”ということだ。
・一人当たりの粗利益高をふやしたければ、まず人数を減らすことである。求人難なんてとんでもない。求人するより減らすほうが先決なのだ。
・錯覚は2つある。ひとつは、手順の原則についての無知だ。つねに、より重大な影響力の大きいものから着手するという手順の要領を知らないことである。ふたつは、自己の経営経験にこだわっていること。成長している、中規模、大規模の理論を学ばないことである。
・人員を増やさないで拡張しなければならぬ。すると、よほど仕事を合理的に能率的にやらなければならない。一人ひとりがフルに働かなければならない。それには、組織管理、労務管理、計数管理を今以上に徹底しなければならない
・見せる商品でも、売りたい商品でもなくて、売れる商品が店の主力のはずである。
・計数優先主義とは、”感じ”で議論してはいけない。数字でどれだけ利益が上がるか、純益が増えるか、粗利高がふえるか、客数がふえるかを表現し、つねにいい続けなければならない。
・トップはある程度計数がわからなくては困る。少なくとも資金繰り表はつくれなければだめである。これは最低の線である。
・店員教育と新入社員にブツときだけは、「店は客のためにある」といいながら、実際のトップとしての判断のときには、商人精神をつかっていない。”客のために”といいながら、本当に客のためになるような店になっていない。
・多数というのは、大衆をねらうか、大商圏をねらうかのどちらかである。大衆をねらうとは、消費量の一番多い人たちを対象とするということであり、大商圏をねらうとは、頻度の低い品物を扱うということであり、広い面積を必要とするということである。
・経営者としての活動とは、だれよりもまず真剣に考え、働く態度をとることである。経営者とは、決断業である。考え、明確に意識した行動をとることのみが経営者としての時間であり、活動である。
・企業というものは、つねに何かが変更され続けていなければならない。だから新知識や、新感覚は、実行するため入手するのではなく、変更するためなのだ。
・スタッフとは事務部門をいうのではない、トップの参謀のことである。何百もの場合を想定し、その中から2,3の���番的確と思われる案を拾い出して、その決裁をトップにもとめる。トップはこの案から、最良と思われるものをたった一つだけ選びだす。これを決定といい、私は、変更決定と表現する。
・スタッフは、①コントローラ 経営計画立案責任者 ②エデュケータ 教育人材育成責任者 ③システムデザイナー 制度改善責任者 の3つである
・職務や職位は企業の必要性に従って配置され任命されるもので、その人間のために用意されたポストではない。「努力しました。だから許してください。」というのは、道徳論であって組織論ではない。組織は分業によって成り立っている。その分業した部分を果たせなければ分業したことにはならないからだ。
・経営者とはもともと孤独なものだ。ただ独りきりになって思考のすべてを凝らすのが当然の職責なのだ。それには、自分の考えを、とにかく文字として文章に書いてみることだ。なんとなくわかっていることでも、文章にできないとは、その考えは妄想であるということだ。妄想を部下に納得させ、信頼させることはできない。
・直接の利害はほとんど経営者一人に集中してしまう。「二年で疑え。三年でやめよ。四年続いてできることを奇跡と思え」という事業常識を思い起こしてもらいたい。
・遠方でも買物の生きたいと思う小売店は、①商品が豊富、②気軽に自由に買える、③値段が安い
・何事であれ、徹底するということは、現実には、きわめて難しい。
・企業は自ら助けるものしか助けない。だれも助けてくれない。われわれが頑張らなければ誰も助けてくれいない。この企業がつぶれても自分に力がなければ路頭に迷う。そういう戦争状態が当たり前だという意識を持ち続けることが大切である。
・トップはたくさんの命令を出してはいけない。部下に出す命令は一つだけにすべきである。一つできれば、次に二つめの命令をだせば二つできる。同時に五つの命令をだせば一つもできないままだ。
・精鋭候補の選抜は、ひと言でいえば、「見切りをうまく、ざこは見捨てろ」だ。精鋭一人いれば10億うれる。そこでスカウトを活発にされることをお勧めする。
・仕入れ値を安くすることが問屋機能ではない。コンスタントに商品補給できることが問屋機能だ。このような点で問屋を見直すと、合格するところは、すごく小数になってくる。単品管理をやって初めて、問屋能力の査定ができるのである。
目次は以下の通りです。
序文
第1部 急速成長企業の条件
第1章 有力企業発展の特色
第2章 成長組経営者の共通態度
第3章 成長企業の共通欠陥
第4章 成長企業の共通戦略条件
第2部 停滞企業から学ぶ教訓
第1章 錯覚してはならない
第2章 商品回転率に遅速があってはならない
第3章 仕入れと計数とを無視してはならない
第4章 「客のため」を忘れてはならない
第5章 自己と闘わなければならない
第6章 時間を空費してはならない
第7章 ワンマン経営でなければならない
第8章 限界内での最高能率作成
第3部 大量販売への出発
第1章 時流に乗ることの意味
第2章 大量販売店の資格条件
第3章 大量販売のための仕入施策
第4章 ”安さ”の秘密とその技術
第4部 体質改善の方法
第1章 体質改善の方向
第2章 体質改善の準備基本対策
第3章 組織対策の方向
第4章 教育対策の方向
第5章 商品対策の報告
第5部 戦略経営の事例研究
第1章 先例の学び方
第2章 主婦の店ダイエー
第3章 シアーズ・ローバック
渥美俊一選集 シリーズの概要 5つの道
1 繁盛への道
2 成長への道
●3 戦略経営への道
4 科学的経営への道
5 チェーン化への道