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紙の本

衝撃的(!)なプラトン論

2001/02/15 23:44

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は実に刺激に満ちていて、簡単な言葉ではとても要約し尽くせない豊穰な可能性をもった論考である。ここでは、イデア論の誕生に深く関係すると思われる点を紹介しておこう。

 ハヴロックによれば、ソクラテスに特有なものとされる対話法とは、「詩的一体化の習慣に挑戦し、人びとをその習慣から引き離すための一般的な装置」であり、「意識を夢の言語から目覚めさせ、抽象的な思考へと意識を鼓舞するための武器」であった。

 まずハヴロックは、古代ギリシアにおいて「遠い昔から口誦という方法が集団的伝統の保存[記憶]を支配してきたのだとすれば、自己意識なるものはいったいどのようにしてつくりだされえたのか」と問いをたてる。そしてこれに対する解答は、コミュニケーション技術の変化にあるという。

《聴覚による記録は感情的一体化によってしか確実に想起されなかったが、書かれた文字によって記憶が新たにされるようになると、読者はそうした感情的一体化のほとんどを必要としなくなった。これによって心的エネルギーは解放され、いまや書きとめられたものを、つまり、ただ聞き取られ感じ取られただけのものではなく、一つの対象として眼に見えるものを、再検討したり再配列したりするために使われるようになった。》
 紀元前五世紀のギリシアで対話法が使用されるようになったのは、「記憶されたものからのこうした分離」が原因である。

 「それはどういう意味ですか、もう一度言ってください」と問うことは、韻律と定型表現と物語の連続によって聴く者を催眠的な昏睡状態に置く記憶装置としての詩(叙事詩)を中断させ(話の腰を折り)、散文的な、計算的反省を伴うことばにかえてしまう。これが、「プラトンの対話篇にみられるような論理的な論証の連鎖というあの発達した形態」に先立つところの「もっとも単純な形態の原初的な装置[対話法]」である。

 こうした対話法を通して、意識が夢の言語から目覚め、同時にそのような(自己)意識による抽象的思考の対象としての客観が、ひいては「そのものそれ自体」としてのイデアが導き出される。

 ハヴロックによれば、イデアとは「概念」にほかならず、それは「イメージ」に対置される言葉である。「プラトンの思想とは実のところ、イメージ的な言説に替えて概念的な言説を採用しようという呼びかけだと言うのが正しい」。

 そして、ホメロス的なイメージ思考からプラトン的な概念的思考へ、叙事詩的言語から形式的・抽象的言語へのこの「革命」は、「ギリシア精神ばかりか、ヨーロッパ精神の発展におけるまったく新たな段階の到来を告げるもの」であった。

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