投稿元:
レビューを見る
○森鴎外の長女、森茉莉さんのエッセイ。「贅沢貧乏」に続いて読みました。貧乏な暮らしのなかに自分だけの本当の贅沢を見出しているのが「贅沢貧乏」でしたが、もちろんその考えはこのエッセイ集でもしっかり芯を貫いています。
○ですが、贅沢貧乏よりも美味しそうな食がたくさん登場します。洗濯には四苦八苦し、掃除もろくにできないとまで自分を面白おかしく描いておいて、料理だけはすごいのだという自信というか、贅沢をしているのだという自負みたいなものが感じられます。
○また、この本はなんといっても有名な「饅頭茶漬け」が登場します。饅頭茶漬けとは森鴎外が好んだという料理(?)で、もらってきた白い葬式饅頭を四つに分けてご飯の上に乗せ、煎茶をかけるというもの。また、砂糖で煮た杏をご飯の上にかけるとか。
○そんなきわどい料理はせいぜいこの2つだけ(刺身を醤油と酒で煮るというのは私の祖母もやるので驚きません)で、ほかは読んでいるだけで食卓が浮かび上がってきて、「ぼくも作れるのではないか」と思ったりする素敵な内容になっています。
○読みづらいという人をよく見かけるのですが、やはりこれは思いついたことをそのまま書き足しているような文章だからなのではないかと思います。僕にとってはむしろ、その文体のおかげであたかも森茉莉さんが語りかけているように感じられます。
投稿元:
レビューを見る
森茉莉の食べ物エッセイからよりすぐりのものを集めた本。森茉莉の贅沢貧乏の心意気、父親や欧州に関する様々なうっとりするようなエピソード、そして読んでいるだけで食べたくなる料理の描写。でれをとっても素敵。
投稿元:
レビューを見る
また読み返さなくては。出てきた馬鈴薯スープは何度も作った。意外とあっさりしている。とても簡単で美味しい。
投稿元:
レビューを見る
実際に会ったら相当大変な人だろうな、と思われる森茉莉。
その価値観には深く共感してしまう。食べ物への執着やこだわりや、毒舌が他人事と思えない。
森茉莉が現在も生きていたら、30過ぎて自分のことを女子とのたまう人々をばっさり一刀両断であろうな、とにやりとした。
自分のことを森茉莉とかいう変なばあさん、と自称するあたりに美意識を感じる。
作中に、父である鴎外や、室生犀星やその他交流のあった文豪の素顔が描かれていて読み物としてとても面白いのはもちろん、食べ物の描写が素晴らしい。
森鴎外の著作権がきれて、食うのに困って文筆家業を始めたというが、DNAというか才能なんだろうなあ。
食べ物の描写になるとひときわみずみずしく、鮮烈な印象を残す。すごい。
投稿元:
レビューを見る
生い立ちゆえに肥えてしまった舌。年老いて、もはや豊かではないけれど気まま。一人で、狭いアパートで暮らす。夜の間つけっぱなしの蛍光灯。素敵。
投稿元:
レビューを見る
品を備えた人が書く文章というのは、いじけてもサマになる。好奇心旺盛な人も、どんな状況に置かれてもそれを楽しんでしまうところがある。そんな感じの人。
どくとるマンボウの北さんもそういう感じがあってなんか似てるかも。共に偉大な医者作家の子だし。
最後のほうで、友人知人に宛てた書簡もあるけど、必ず食べ物の話になるほどの食いしん坊さん。
サヴァランも、作家の名前というだけじゃなくてお菓子のサヴァランの意味と響きのよさで、貧乏サヴァランと自称しているのかと思います。
投稿元:
レビューを見る
―――西洋式と日本式のおかずが自分で素敵に造れる私なんかは天下の幸福ものである―――
わたしのすきな文章を書く何人かがお薦めしていたのでいつか読みたいと寝かせつづけてやっとこ読了。
言葉を選ばぬ率直な感想は
たべものの表現がお上手でお上品な食レポ。
森さんにかかれば、シュークリームの上の粉砂糖は春の淡雪よりも早く溶けてしまう。
シュークリーム(シュウアラクレェム)がクリームの入ったキャベツという意味なのもシャレオツである。
酔いたいときにちゃんと酔わせてくれる綺麗なママ、というかんじ。
場末感はないのだけれど。文章に包容力。
投稿元:
レビューを見る
聞いてはいたけど予想以上に自意識凄かった。でもまあうわあ自意識ババアwwwつって動物園の檻の中を見る感覚で読んでいけば大丈夫だった。くっそ笑った。周りでよく「吐き気がした」「殺してやりたい」「この世で一番醜いBBA」とかの感想を聞いてたのでかなり緊張して読んだんだけど、その自意識部分が笑える人なら大丈夫だと思う。
レシピとか懐古厨なところはそれなりに感心して読んだ。結構いいこと言ってる。こんど作ってみようと思う。
投稿元:
レビューを見る
自己陶酔型文章、または言いたいことがいっぱいありすぎるからかとても読みにくい文章。しかし、読み進むうちに作者の文章のリズムに慣れた。美食家ブリア・サヴァランを知らない私は、題名にあるサヴァランはてっきりケーキのサヴァランだと思っていたが、読んでこの題名にやっと納得した。かなり独特な食へのこだわりを持っていると思われるが、各人それぞれだから、そう思うとおもしろい。食べ物の見方、接し方が変わりそう。
投稿元:
レビューを見る
とても好き。オモロイ。
日常のどうって事のない出来事が、ひたすら美しく書き尽くされている。自称マリア。生業は文筆業。美味しいものと美しいものに目がない世間知らずの痛い女。自分の行いにチョコチョコ突っ込みを入れている所が可愛いです。殆どコメディ。読んでいる間ずーっとニヤニヤしてしまった。全然貧乏ではない現代の手塚治虫、森鷗外の娘である。マリアごっこしたい。だがしかし、悲しい哉、語彙が無さ過ぎて出来ないわ。流石マリア様ね。
三谷幸喜のしょーもないエッセイを最後まで読める方。若しくは、嶽本野ばらの怒涛の一人称お耽美作品が好きな方にはお勧めします。繁忙期に読むとイライラすること間違いなし!元気な時にだけ会いたい友達ですね。居る居る、こういう子。私は嫌いではないです。毎日は疲れますが。ハイ。
投稿元:
レビューを見る
毒舌が面白い。
貧乏でも美味しいものを!というこだわりが感じられます。
自分のやり方を貫く、かっこいいけど駄目なチャーミング頑固おばあさん。
投稿元:
レビューを見る
何不自由なく蝶よ花よと育てられたお嬢様。
時代は移り自身は年老いて没落しても、なおその感覚が抜けない哀れで可愛らしいお婆ちゃん。
投稿元:
レビューを見る
森茉莉さんの著作は初めて読んだのだけどすっかりファンになってしまった。贅沢とは高価なものを持っているということではなくて贅沢な精神を持っていることであるという筆者は食いしん坊\(^o^)/親近感湧くのー。私は卵料理あまり得意じゃないのだけど、本書を読んで研究したくなってしまった(笑)サーディンと胡瓜のサンドイッチも美味しそう♡ブリア・サヴァランの美味礼賛も読みたいのだが、住んでるところで見つからず、、、
投稿元:
レビューを見る
20170817読了
1998年出版。没後に編まれたもの。鷗外の娘で、食エッセイというので、森家の食卓をのぞいてみたくて手に取る。鷗外に関する他のエッセイ本も読んでみたい。 ●P116 二人の悪妻 ●父親のこと、婚家のことなど、記憶を掘り返して書きつける部分はいいのだが、己の好きな食べ物へのこだわりを延々と語る風のセクションは読みにくく、相性があわなかった。人となりを知っていれば入り込めるのかもしれないけど・・・。
投稿元:
レビューを見る
面白かったです。本物のお嬢様で、食いしん坊な茉莉さん、自分の好きなものがはっきりしていて、すぐぐらぐらしてしまうわたしは彼女がとても羨ましいです。料理は得意だという茉莉さんの食べ物の描写が美味しそうで…白身魚と野菜のサラダは他のエッセイでも度々でてくるのですが、一番気になる料理です。贅沢って気持ちの持ち様なのですね。料理も、お菓子も、お酒もうっとりでした。茉莉さんはいつまでも少女のような人だな。