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紙の本
沈黙の余情
2003/11/03 21:11
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ろこのすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
そろそろ花やさんの店頭にシクラメンの花が並ぶ頃となった。
赤いシクラメンの花をみるたびに思い出すのが「いわさき ちひろ」さんの詩と絵「赤いシクラメンの花」。
シクラメンの花びらのひとひらに子供の顔が悲しげに描かれているのが印象的。
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赤いシクラメンの花
(前部省略)
ひとつひとついつとはなしにひらいては
仕事中のわたしとひとみをかわす
去年もおととしもその前の年も
ベトナムのこどもの頭の上に
爆弾はふった
赤いシクラメンの
その透き通った花びらのなかから
死んで行ったその子たちの
ひとみがささやく
あたしたちの一生は
ずっと戦争の中だけだったのよ
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ちひろさんは声高に戦争反対などとは言わない。だけれども、戦争で傷つき死んで行った子供と母の目から詩を紡いだ。
この詩ができたベトナム戦争の惨禍からさらにまた、別の戦争が次々と起きている。そして対岸の火事のように安穏としていた日本が今、自衛隊を戦火の渦中に送り出そうとしている。
赤いシクラメンの花がほころびるとき
その花びらのひとひらに、ほほえみがこぼれるような、そんなひとときがいつの世にもあることを祈らないではいられない。
ちひろさんの絵は、背景を描かず余白がとても多くとられている。
それは見る者の心にそれぞれの考えを喚起する余白。
ちひろさんの沈黙の余情。
この「ちひろの詩」は、ちひろさんのうつくしくやさしいもの、素朴だけれど大切なものたちで溢れている絵と詩の本です。
この本を読んだ後、ちひろさんの余白、沈黙の余情に、あなたの心を投影してみてください。
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