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紙の本

アウシュヴィッツから生還し、フロイディズム・ニヒリズムと闘争した人の人生。

2001/04/06 11:49

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 原題が「一心理学者の強制収容所体験」という著者の代表作は、『夜と霧』という美しい邦題を与えられた世界的名著である。「20世紀の100冊」を選定する企画があれば、多くの識者、オピニオンリーダーが1票を投じることになるかと思う。
 私はこの本を精読していないが、身体の頑強な者よりもむしろ、中肉中背のごく普通の体つきの人で、ジョークを言って目の前の現実から想像の世界へ飛翔することができた人の方が生き残った…というようなニュアンスの記述が印象に残っている。

 フランクルの著書の翻訳者である山田邦男先生の詳しい解説が本書の最後に付されている。彼は三つのイズムと闘って生きた。ナチズム、フロイディズム、そしてニヒリズムである。

 「支配者にとっての幸福とは、民衆が考えないことだ」と明言したヒトラーの全体主義は、人間性の特徴たる自由意思を否定するものである。収容所に送られる前に勤務した病院で、フランクルは精神的に追い込まれ自殺を図ったウィーンのユダヤ人たちに脳手術を施し、彼らが自己実現するチャンスをつないだ。また、ナチが勧奨した精神病患者の安楽死を、診断書の書きかえで避けて、全体主義と闘った。この経緯は本文に詳しく、収容所以前の業務について触れていることは本書の特徴となっている。

 フロイト主義批判は、実はあらゆる科学的還元主義に向けられていた。20世紀の主なイデオロギーは資本主義と共産主義であるが、いずれも科学的合理性に支えられる。人間までも要素に還元し説明しようという姿勢に反発し、精神の優位性を重んじ主体性や自立性の回復を訴えたのである。
 責任の伴う自由を呼び起こすための実存分析(ロゴセラピー)が精神医学者としての彼の治療の方法だった。

 そのロゴセラピーの体系は、ニーチェが予言したニヒリズムの社会への蔓延への対抗手段ともなっている。人生の無常さが人生の意味を無きものにしてしまう危険に対し、フランクルは人生の意味は自分たちが問うものではなく、自分たちが問われて回答を出すべきものなのだ、究極的な意味は人間の理解を超えたものである、つまり「超意味」という認識を持つべきなのだと考えた。
 その思想は、まさしくフランクル自身が診療として、あるいは講演や著書を通して人に働き続けたという行動を伴った。

 幼年時代の発想や性格から書き起こされ、若き医学生時代、ロゴセラピーの模索と、完全主義者としての卓越した資質には目をみはるものの、回想録なので読みやすい。
 注目すべきは、『夜と霧』にも書かれなかったアウシュヴィッツ駅で行われた最初の選別のエピソードである。
 右が生き延びられる人の列、左がガス室行きの人の列に分かれていた。左に知り合いがいなかったので、著者は若い同僚がいる右の列に回ったということである。
 ガス室送りになった人のコートを受け継ぐと、ポケットにユダヤの祈祷文が入っており、それをずっと隠し持っていたことも明らかにされている。

 偶然によって生かされた人が、それゆえに強い意思の力で生き続けた。そんな人生がすごい重みでのしかかってくる本である。
 

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2010/07/12 19:48

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2014/03/17 21:58

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2023/04/12 20:12

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