紙の本
閉じた悪意
2001/02/14 15:57
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投稿者:松内ききょう - この投稿者のレビュー一覧を見る
さらり流れる日常、あるいは、ほのぼのとさえしている日常の中に、一瞬針で突いたような悪意。もうぎらぎらぐつぐつと悪意が煮立っていて、終盤まで手に汗握る醜悪さ、という社会派ミステリも結構好きなのですが、若竹さんが描くこの「振り返れば悪意」的な残酷さは、やはりこの方の本でなければ見られないものですからね。何度読み返しても、そのときその年齢の気持ちで、セリフ一つ、行動一つ、社会一つの残酷さが違った形で見えてくるという恐ろしい本です。この動機に共感できないという方も結構いらっしゃるらしいのですが、この動機をここまで共感できるように描ける作者の技に感動しました。
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新国市にある地元の作家の文学記念館、その新米学芸員とその妹のミステリ作家が遭遇する放火事件と殺人事件、一見のんきそうな資料館をめぐる思惑とは、ちょっと社会派かな
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夭折した天才作家の文学記念館で次々と起こる放火騒ぎ。
それは惨劇の序曲に過ぎなかった・・・。
旅行に出たはずの同僚が死体となって発見されて・・・。
謎を追う若き学芸員とミステリ作家の兄妹が導き出す驚愕の真実とは?
作品の出来その物としては素晴しいのですが、読み終わった後の物悲しさが勝っています。
「何故?」
とやりきれなさを隠せない・・・と書くとその作品の良さも解るのでは無いでしょうか?
昨今のやりきれない事件の数々と照らし合わせてしまった作品です。
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・「この夏、僕等はかけがえのない何かを失う」。学芸員の主人公と作家の妹、兄妹が遭遇する殺人事件。地元の作家と絡んだ事件の真相が明らかになっていく様はなかなか見事でした。
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序盤は穏やかな雰囲気だけれど、事件が起こってから後半にかけてがやっぱりどろどろ。まあ若竹さんの作品はそういう部分をうまく書いてくれるのがいいところなんだけれどな、と思っていたら。
「嫌いだろうがなんだろうが、ややこしいこともどろどろしたことも、他人の感情に巻き込まれないですむような、そんな場所も、どこ探したってないんだよ」
ってな言葉が出てきて。これにはやられましたね。これはそれこそ、現実についても言えることでしょう。深いなあ。
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「絶対に、か。才蔵は苦く思った。それがどんなに意味のない言葉であるか、今日俺たちは知り尽くしてしまったじゃないか」という文章が本書の内容を端的に表している。序盤のほのぼのした雰囲気が、人間関係が、事件をきっかけにすこしずつ軋んでいく。そのさまがまるで真綿で首を絞められるようで、読んでいて息苦しくなった。心にこびりつく作品。
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あんまり、文章が上手くない。
登場人物の呼び方にミスがあったりするし。
なにげに、大筋が読めた。
本当の真相の部分だけ、すごく深い気がした。
あとのはそれほどでも。
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加速度がついて面白くなる作品。序盤の人間模様の謎が後半に入り次々に明らかにされる流れには爽快感すらあるが、結末は少し辛い。