紙の本
つながる人々
2002/02/04 12:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bookreader - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカのある片田舎の小さな貧しい町。ごみごみした住宅街の中に、ごみ捨て場のようになっていた小さな空き地があった。小さな女の子が、願いを込めてそこに種を植える。その瞬間、町には不思議な魔法がかかる。いろんな人が次々と現れ、空き地はいつの間にかみんなの畑となり、人々をつないでゆく。
スラムのような貧乏な住宅街に、ぽつんと取り残された小さな空き地。なんとなく目に浮かばないだろうか。そこにはありとあらゆるごみがうち捨てられているのだ。生ごみ、空き缶、古タイヤ、壊れたイスや、冷蔵庫が実に無秩序に放置される。人々はそこを通る時には、ごみを投げ入れることはあれ、立ち止まることなど、決してない。そこは人々にとって、あってもないような場所であったのだ。
ところがある日、一人の女の子がある願いを込め、日もろくにあたらないこのゴミ捨て場に、種を植える。そこから、この物語は始まる。そのあと、まるで魔法がかかったかのようにいろいろな人がここを訪れ、ゴミ捨て場だったこの空き地が、なんと畑となってしまう。もとあったゴミはどけられ、畑は次第に整えられ、共同の菜園となる。それまでなんとなくギスギスしていたこの街が、この畑でさまざまな人が、人種、年齢、などの境遇を超えて触れ合うことにより、活気を帯びてくる。
著者のポール・フライシュマンは、歴史、音楽、自然科学を愛し、さまざまな著作を持つ。温かいタッチの絵と、穏やかな語りで、心温まる一冊となっている。
紙の本
ひとりの女の子がまいたマメの種が、たくさんの人を結びつけていく
2002/03/08 16:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:金原瑞人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカの貧しい地区の一角に、生ゴミや古タイヤが捨てられた空き地がありました。春、ヴェトナム人の女の子キムがここにマメをまきます。キムの家族は、ヴェトナムから移住してきました。キムはお父さんに会ったことがありません。お父さんもキムのことを知りません。キムは、お父さんが死んで八ヶ月すぎてから生まれたのですから。お父さんの命日の夜、お母さんやお姉さんが泣いている声がきこえてきました。キムも涙が出てきましたが、泣いている理由は、お母さんたちとはちがうのです。だって、思い出して泣けるようなお父さんの思い出がキムにはないのですから。キムは思います。お父さんの霊がやってきても、あたしのこと、わからないんじゃないかな……。ヴェトナムにいたころ、お父さんがお百姓をしていたのは知っています。キムはいいことを思いつきました。家の前の空き地にマメをまいて上手に育てたら、お父さんはあたしが娘だって気づいてくれるんじゃないかな。
こうしてキムがまいたマメは、この地区に住む人種も年齢も境遇もさまざまな人々を、いつのまにか仲間にしてしまいます。やがてゴミは消え、みずみずしい菜園が出現しました。この菜園には、マメだけでなく、ナスやカボチャも実りました。でも、収穫は、目に見えるものだけではなかったことが、この物語を読めばわかります。
ひとつの種から始まった、全部で十三人の口から語られる、宝物にしたいような心温まるすてきなお話です。
投稿元:
レビューを見る
【一人の少女が種をまいた。種は芽を出し蔓を伸ばした。人々は振り向きだした。】
人は、何か一つの切欠でこんなにも変えてしまえる力があるんだなと、思った一冊。
投稿元:
レビューを見る
え〜まずはじめに断っておきますが
持ってません!!(死
ただ図書館で借りた時に心に残ったので…
感想はこちらhttp://d.hatena.ne.jp/NMFB/20051030/1132724703
投稿元:
レビューを見る
「良いことは連鎖する」。少女が空き地にマメの種を蒔いたことから地域コミュニティ("us"という意識)が生まれる話。
投稿元:
レビューを見る
クリーヴランドはいろいろな国の人が住む貧しい町。そこになる空き地はゴミ捨て場になっていた。
しかし、少女のまいたマメの種が、バラバラだった人たちを一つにする。
見覚えのある題名だったので、手にとってみました。言葉が通じなくても、大丈夫なんだと思いました。
投稿元:
レビューを見る
はじまりは小さな種だった。貧民街のゴミ溜めが生まれ変わる……人種、年齢の異なる13人のモノローグで綴る「天の楽園」創造の記。
投稿元:
レビューを見る
ここにレビューを書きました。
http://blog.goo.ne.jp/luar_28/e/be25ab27423610a4aba393b409270ced
投稿元:
レビューを見る
TOUCHING WORD for Future Generations : どうにもならないことを一日じゅう考えているより、畑をつくるほうがよっぽどましだ。
http://www.touchingword.net/detail.php?id=1083
投稿元:
レビューを見る
前年の落ち葉は、読みかけの本にはさんでおいたしおりのようなものですね。(p.91)
「ブックマーク」てな題をつけたミニコミを作ってるせいか、こんな一文が心に残る。
ヴェトナム出身の「キムの話」に始まり、「フローレンスの話」まで、十数人の「話」を通じて、それぞれの視点から見た地域の空き地の風景が描かれる。その空き地に、それぞれが種をまき、あるいは水をやり、何かを育てていくなかで、年齢も人種も民族もさまざまな人たちが、顔見知りになり、言葉を交わし、知恵をかりあい、採れた野菜や花をゆずりあいながら、同じ場でともに時間をすごしていく。
そうやって一つの場が、日々生い育つものに同じように心をかたむける人たちの間につながりをつくっていく。
たとえばミスター・マイルズをできるだけ外につれだそうとしているヘルパー、ノーラの話。
車椅子のミスター・マイルズが畑仕事をできる工夫をノーラは考え、ミスター・マイルズは種をまき、花を育てはじめた。ある日、夕立がやってきて、畑に来ていた他の人たちと一緒に近くの軒先まで走ったミスター・マイルズとノーラは、たちまち皆と知り合いになった。
▼…言葉は通じなくても、共通のものがたくさんありました。まずお天気。それから、害虫。それに、そもそも同じ場所で仕事をしているわけですし、なんといっても最大の共通点は、野菜の育ちぐあいを気にかける「親心」だったと思います。
その夕立の日以来、たまに二、三日畑に行けない日が続いて、そのあとようやく出かけていくと、いろんな人から、「どうしました? だいじょうぶですか?」などと、声をかけていただくようになりました。種のように、わたしたちも、この畑に根を下ろしたんですね。(pp.68-69、「ノーラの話」)
投稿元:
レビューを見る
この本を出しているのは児童書の出版社で、よく児童書でもおすすめの本に上がるのだけど、この本の世界が分かるのは少なくとも高校生ぐらいからかなあ・・・。ある1人の女の子が埋めたライマメの種。そこから人や想いがつながってつながって。
投稿元:
レビューを見る
高校生の頃に読んだ思い出の本。図書室で適当に本を選んでたら、この本が自分を呼んでいるような気がして手にとった。
一人の少女がゴミだらけの空き地でマメを育て始め、それが色々な人に影響を与え、連鎖していく。
内容の素晴らしさもさることながら、自分にとっては思い入れの深い本なのです。いつか絶対に買おう。
投稿元:
レビューを見る
アメリカ、クリーブランドのある貧民街の片隅のゴミ捨て場となっていた空き地に4月のある日、一人のベトナム人の少女が種をまいた。彼女が種をまいたのは父親の死んだ後に生まれた彼女には思い出して悲しむ父親との思いでもない、そんな父親がしていたように種をまいた父親と通じるものがあるかもしれないと思ったから。様々な人種のそれぞれがちょっと悲しい境遇にある人たちがそれぞれの思いでそこに種をまく。やがてゴミが片付けられたそこには世界の縮図のようにいろんな畑ができていく。いつかお互いに助け合い語り合うようになった人々。癒されたり希望を持ったり理解しあうようになったり。畑作りがみんなを変えていく。それぞれの事情が悲しくって、アメリカという国の問題がそこにはある。それが畑に種をまき作物を育てることで変っていく人々。泣きたくなるような過去をそれぞれがそれぞれの思いをこめた作物を作りながら乗り越えていく。・・・花作りには、サスペンスも、悲劇も、予想外の展開もあります。大地から生まれた長編連続ドラマと言ってもいいくらい・・・本当に短いお話で、なのに希望がある話。心が温まる。なのに、最後に書かれた訳者のあとがきで私は打ちのめされてしまう。・・・このお話の舞台クリーブランド市以外は全て作者の創作です。・・・そうか、そんな畑は存在しないのか。そんなふうに人が癒され救われ、みんなが繋がりあうことが出来る畑は想像の中にしかないのか。でも、私は種をまきたくなった。世界が変わることはないかもしれないけれど、気持ちは豊かになる。私の小さな家庭菜園や花畑では今ようやく芽が出始めたばかりだけど、私はもうわくわくしている。そのわくわく感をもっと誰かと分け合えるかもしれない。この物語を読んだ多くの人も、そんな気分になってくれたら嬉しいのに。
投稿元:
レビューを見る
1年くらい前から読みたかった本。
でも、実際にページを開くまでその内容は知らなかった。
一人の人物に対してたった数ページしか割いていないのに、多くの登場人物に語らせてある地域の1年の流れが描かれている。
この本と似た内容の平和絵本を昨年読んだ。本屋での立ち読みだったかな?
最近はガーデニングに続いて家庭菜園が流行っているみたいだし、種の持つセラピー力に感嘆。
投稿元:
レビューを見る
街の片隅のゴミ捨て場が、いろんな人によって少しずつ変身するのが、ワクワクします。
実際に何も使われてない身近な空き地もこうなっていけばいいのに。