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紙の本
美意識とことばの万華鏡
2002/07/30 07:33
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投稿者:ダーナ - この投稿者のレビュー一覧を見る
2002年5月29日自死。衝撃であった。本書収録の一作品を捜し求めている矢先。
「事後」に、本のしずかな重みを掌に受けつつ、きまじめでどこかユーモアただよう署名「Scoppe, Y.」{編集の方へ/アクセント記号つきのeです。}を何度も見返しながら本書を読めば、そこここから、読者への(おそらくは無意識のうちの?)遺言ともとれる文章がたちのぼってくる。深い深い美意識と豊かなことばの女性であった。「幽明境を異にする彼方へ、みずから求め、宣言して立ち去ってゆく—— これをこの世のありきたりのことばで自殺と名づけてよいものかどうか。」
作品中に、読者がすべてを事実と理解しては困る、というような物言いが幾多みられるが、繰り返し語られる「ある原型」は、どうしても作者そのものとしか思えない。アリスでありかぐやでありうさぎであり、「美に飢え、美に焦がれ、美に渇えて」いた魂。
享年71歳。「兎の神さま」、谷川雁氏のそれと同じ年を選んだことが、偶然ではないような気がする。遺されたことばたちは、我々に永久の謎と歓びを与えてくれるだろう。
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