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芥川賞受賞作としては割とクラシカルな作品。
性と聖、神様、罪諸々。
主人公の動きが何かを透過するようで、読んでいて楽しい。個人的に好きなので王国記も読んでみよう。
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読み始めてしばらくして、ちょっとバイオレンスな描写が多いことについていけず、一度本を置きました。
けれど結局続きが気になって、また手に取ってしまう。
「罪」を重ねる少年が、物語が終わるまでにどれだけ更生するのか見届けようじゃないか、という心持ちで。
そうして最後まで読んだわけですが。
ううーん、すごく考えさせられる。
子どもたちにとっての楽園は、この世にちゃんと用意されているのだろうか、と疑問に思う。
それを用意するのはもちろん大人の義務なのだけれど。
悪いことが当たり前の環境(日常的に暴力を見たり、受けたり)で生きてきたのなら、悪いことをしてしまうのも当然の流れなんじゃないか。
主人公も、関係を持つ修道女も、懐いてくる少年も、みんな一人で戦っているように見えた。頼れる大人が見つからなくて。罪を罪だと、大人に教えてもらえなくて。
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内容紹介
人を殺し、修道院兼教護院に逃げ戻った青年・朧。冒涜の限りを尽くすことこそ、現代では神に最も近く在る道なのか。戦慄の問題作
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結構キツかったです。ほぼエロ小説です。途中、残虐描写に吐気が込み上げてきました。芥川賞って残酷な描写をしたら獲れるんじゃないか、選考委員がそういう描写が真実だとか真理に迫るとか斬新だとか深いとか思っているんじゃなかろうか、と疑ってしまいます。
レビューは良いものが多いし、作家の巧さも本質の伝えたい事もよく分かります。ただ、私は根本的にこういう描写を受け付けないので評価が低くなってしまいます。
私は残虐描写という発想や想像がそもそも不必要だと思っているので耐えられませんでした。暴力的な残虐表現はこの世に必要ないと思うし、見たくないです。私は皆が人を思いやり、優しさの想像を持てば犯罪はなくなると信じているから、文学という名のもとにあっても(というか文学だからこそ)残虐描写を出来るだけ避けて欲しいと願います。汚い言葉が溢れたら、そういう世界になるような気がします。言葉の力は強大だから。
半分くらい読んだ時点では、キリスト教、神の存在、人間の行為、命についてがテーマかと思ったのですが、3篇目はテーマが異なり、全体としての感想が難しいです。キリスト教の神の存在というテーマだったら青来有一さんの『人間のしわざ』を多くの人に読んで欲しいです。似たテーマでも主人公の年齢がこちらは熟年なので全く違う趣きです。『人間のしわざ』は、戦争という残虐な描写は少しありますが、胸が締め付けられるほど主人公の苦悩が伝わり、切なく、感動すら覚える素晴らしい作品です。
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再読。エロスとタナトス、聖と俗、理性と本能、それぞれのコントラストがこれでもかというほどの露悪的な言葉で表現されている。今となってはやや定型化されているキライもあるが、最初に読んだときは衝撃だった。結局、ここから『王国記』にはまだ進んでいない。
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存在なんて、語るものではありません。僕は、どうやら、在るようなんですが、証明しようがない。問題は、人が露見した罪を裁くのと同様に、神は神で、なんらかの処置をする義務があるんじゃないかってことです。自分を信じろというならば、それくらいの責務は果たさなければ。沈黙している場合じゃない。僕は、神様、あなたを試しているんだ。(p.102)
僕は自尊心ゆえに、この奴隷の境遇に馴れはじめていた。自らを否定しないためには、情況に対して頷いてやらなければならない。ねじ伏せられているのではなく、自らすすんで行っているのだと自分に言いきかせ、それを信じ込むのだ。いま思い返せば、それが宗教の発生ではないだろうか。単純な言い方で気がひけるが、苛烈な現実の肯定が宗教だ。(p.181)
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この本が芥川賞を取って話題になっていたので、手に取った本。
まだまだ読書スタートしたばかりに読んだ、駆け出しの読書好きにはテーマが重すぎた。ただただ難しい、読みにくいなぁという印象で、内容はうすら覚えしかない。
また機会があれば読んでみたい。
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修道院兼教護院(少年院予備校?)における、甘さを剥がした青春&宗教の物語。過激なシーンの連続だが読み出すと止まらなくなる。主人公をはじめ登場人物の描写が秀逸。1998年上半期芥川賞。
花村さんは凄い作家です。25年も前の作品ですが、いま読んでも色褪せていません。ただ、過激なエロスとバイオレンスが苦手な方には非推奨です。