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紙の本
終末論と小説
2008/06/19 10:07
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
岩波の「作家の方法」叢書の一冊として1987年に刊行されたものを、後記を加え1998年に小沢書店から再刊した本。トルストイ、フォークナー、エレミア書、イザヤ書、平家物語、コリント前書(パウロ)、ドストエフスキー、万葉集、暗夜行路、セザンヌ、ゴッホ、黙示録、ダンテを通して、人が歴史の中で圧迫され「正しい裁き」を求めるところから終末の観念が生まれ、さまざまなヴィジョンや問題が発生するのではないか、という問いと思考を重ねて行く連続講演。ほんの薄い本だが、小川国夫の小説観がよく出た好著。未来へ向けて死を背後に逃走(脱出)する生とか、小説における「列車」の機能とか、キリスト教の土壌における「自由」の観念とか、とても面白い。文庫化復刊希望。
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