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紙の本

図書館で本を借りるということ(『ウンベルト・サバ詩集』を読んで)

2009/04/03 14:50

9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:石曽根康一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ここ最近、低調な日々が続いている。
春だ。桜も咲き始めている。風もだんだんと暖かくなってきた。そして僕の心は沈んでいる。
行くべきところがない。会うべき人がいない。
仕方なく、僕はほとんど毎日、図書館に足を運ぶ。
図書館は、家から歩いて十分くらいのところにある。これは、僕にとっては幸運なのだ。
図書館ができたのは、僕が予備校のころか、大学一、二年のころだったと思う。
それまでは、僕にとって図書館といえば、学校の図書室であり、大学の図書館だった。
たしかにそのころは、一週間のほとんどを学校あるいは大学に通っていたのだから、家の近所に図書館がなくても、困らなかったのだ。それに予備校のときは、ほとんど勉強以外の本は読まなかったし。
しかし大学を卒業して、たまに短期のアルバイトをする以外に行くべき場所もない僕にとって、いつのまにか近所に図書館ができていたことはラッキーとしかいいようがないことだ。
図書館で本を借りるということには、いい面とあまりよくない面がある。
それは、コインの裏と表のようなものなのだが、借りて、つまらなかったら、すぐに返せばいいし、逆に言えば、何ヶ月もあるいは一年くらい時間をかけてじっくりと一冊の本と向き合うことができない、ということだ。
たとえば、僕にとってはジョイスの『ユリシーズ』。集英社ヘリテイジシリーズの『ユリシーズ1』を読み終わったのは、去年の五月。しかし、今、しおりが挟んであるのは、『ユリシーズ3』の三分の二を終えたくらいの場所。つまり、集英社ヘリテイジシリーズでは『ユリシーズ』は全部で四巻だから、このペースで行けば、たぶん『ユリシーズ』という一冊の書物を読み終えるのに、一年以上はかかるだろう。これは、毎日少しずつ読む、ということではなく、少し読んでは、他の読みやすい小説を読む、ということを意味している。つまり、だいたい僕は月に十冊前後は本を読むのだが、それら十冊の合間、合間に『ユリシーズ』を少しずつ、鍾乳洞ができるくらいのスピードで読んでいる、ということだ。
図書館で本を借りる場合、こういったことはできない。しかし、書架をぶらぶらと歩いて、なんとなく気になった本が、自分にとってすごく大切な本になることもある。
この、『ウンベルト・サバ詩集』がたとえば、そうだ。この本は図書館で何気なく手に取った。そう、何気なく。ぱらぱらとページをめくってみて、なかなかよさそうだったので、借りた。そして、家に帰って読み進めるうちに、これは、自分にとって大切な本だということが分かった。
この詩集の中で、トリエステという町が一つの大切なポイントだと思う。トリエステ、といえば、一時期、ジョイスも滞在していた場所だ。僕はパソコンの電源を入れ、グーグルマップで、トリエステの場所を確認した。
思うのだが、僕の「書評」は自分のことについてばかり書いていて、本についての紹介にちっともなっていない気がする。それもまた、ゆううつなことだ。しかし、この詩集について、少し説明を加えるならば、現代日本の「現代詩」の陥穽からはひどく遠ざかった、平明で誰にでも分かる言葉で書かれた詩だ、ということはつけ加えるべきだろう。僕はトイレに行くとき、村上春樹翻訳ライブラリーの中のカーヴァーの詩集を手に持って行く。そして、トイレの中で詩を一つ、二つ、読む。カーヴァーの詩のファンはたくさんいると思うが、あなたが、もしそうであるならば、この『ウンベルト・サバ詩集』も読んでみることをおすすめする。カーヴァーの詩の言葉の平明さ、とかなり近い平明さで書かれている。それは、現代日本の頭で作ったような「現代詩」とはまったく違って、もっと一人一人の個人によりそった、愛の詩、喪失の詩、嘆きの詩、郷愁の詩、そして、矜持としての詩である。
図書館から借りて、すごく気に入った本はできるだけ、bk1で買うことにしている。
この『ウンベルト・サバ詩集』が僕の中でそのリストの一位になった、ということで、僕のこの詩集に対する思いが伝わるだろうか。春はゆううつな季節だ。その心情にサバの詩はそっと寄り添う。

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2010/05/07 18:10

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2011/01/23 00:15

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2011/04/26 23:52

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2022/10/17 18:49

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