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サバの詩はどこかカサカサしている。想像していたよりもずっと強く逞しい文体に戸惑い、そしてわたしは思い知る。人生は驚きに満ちていることに。
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「万人に勧めたい。なかでも恋をする人には本当にお勧めします。
恋の詩ばかりではありませんが、私が思うにとても本質的な詩なんですね。
だからこそ、恋愛の本質を知っている人にはすごくよく「分かる」と思う。
表面のドラマや美辞麗句が強くないので、詩としては地味かもしれませんが、実はものすごく過激です。
恋愛というものに精神的に破壊されたことがある人には、すごくドキドキしちゃうような言葉がたくさんあります。」
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装丁がなんとも言えぬ親しみを感じさせ、思わず手に取ってみた。
パラパラめくると、街に題を求めた詩が多く、好きだなと直感して読んでみる。
冒頭の方に掲載されているサバ氏の写真がなんとも言えずいい。
寒い、けれどその寒さを楽しむ術を知っているよ、というような風情。
詩と言うのは心に直結していると思うから、引き込まれるかられないかはそれぞれだと思うのだけれど、いくつかの詩は私の心にぴったりと寄り添ってくれて、世界に対して自分をじわりと溶け出させていくことを手伝ってくれた。
けれど、いくつかは直感的に良く分からないなーという感じ。
本来なら借りるとかじゃなくて、手元において、歳を経るごとに読み返すのが、この詩集との付き合い方なのかもしれない。
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初秋の青い空に、家や野畑。世界全体がいま創られたばかりのような、昼下がりの光景。そのあまりの美しさに、むしろ悲しみを見いだす詩的感性(「昼さがり」)。トリエステの坂道しかり、孤独な詩人は景色を詠むのがうまい。
でも一方で、愛されているのにみずから離れ、幸せになるためでなく悲哀に寄りそうために外に出て町を歩く男の詩を、奥さんはどんな思いで読んでいただろう。喪失の感覚は、詩行をひとり紙に彫りつけることでそっと救われていたかもしれない。ただ、その上質な淋しさをそばで支えてくれていたはずの人たちの思いも気になった。