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駒猫を手懐けているという駒場の重鎮、野矢先生の無限論に関する一冊。生徒二人と先生だけという授業の様子が軽快に描かれている。「無限とは何か」そんな問いに哲学的に立ち向かっていく。自分もその教室の一室にいるような気持ちで楽しく読み終えることができた。本当にこんな授業があったらいいのにな。
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自宅で本を整理していた際に出てきて、気になったので再読。10年前に購入した本のようだが、内容は全く覚えていなかった。というより多分途中で挫折したんだと思う。ゲーテルの不完全性定理が理解できたわけではないが、久しぶりに受験数学以外の数学本(というか教養本でしょうか)を読めたのはよかったと思う。
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なんつーか、所々に現れる人名が面白かった。まず、大森荘蔵が野矢の大先生であり、そして野矢のほぼ同期にあたるのかな?が田島正樹なのだろう。個人的に中島義道の名前を期待したのだけれども、それはさすがに出てこなかったようだ。まあ、哲学者はどいつもこいつも偏屈なやろうばかりなのだけれども、野矢さんはまともな人なのだろうなと思った。比較的にだけれど。この人は、なんつーのかなそれだけ客観視できているからね、本著的に言えばメタ的にね。ほんものはメタ的な視点をもてないだろうね、ニーチェに然り。いや、持っているんだけれども、おそらくそれがどっかでよくわからなくなる。けれどそれでよくわからなくなってしまうような人には哲学をわかりやすく噛み砕くことはできはしないだろう、だからメタ的に捉えられることは野矢さんの才能だろうし、しかもそれでいながらしっかりと哲学できているのは、竹田や西とは違うのだろうなと思う。別に竹田は西を馬鹿にしているわけではないのだけれども、彼らは矛先みたいなのが哲学とは別の道へと進んでいる気がする。
本著の内容からはそれてしまっていることばかり書き連ねてきたが、本著はタイトルのとおり無限論について述べている、まあ、しかし、「可能性としての無限論はあるけれども、それはあくまで可能性でしかなく、ないのと一緒だ」という直観主義が披瀝されており、本著のタジマ先生はその考え方に則っているから、無限論を否定しているといってもいいような著書である。まあ、可能性としては認めているというのが基本スタンスだから、無限論そのものを否定しているというと語弊があるのだけれども。本著の流れとしては、まずは実無限という無限論が実在しているという考え方=カントールの流れをとり、それがラッセルによってしかし矛盾するという問題へと持ち込み、それを直観主義によって乗り超えることになる。だが、その直観主義へと反論が食らわせる(その理由は、直観主義を貫ければ排中律{A or notA}が成立しなくなるからである)。ヒルベルトである。そしてそのヒルベルトをゲーデルが不完全性定理によって打破する。だが、不完全性定理によってゲーデルが意図したのは、ヒルベルトのように直観主義にへりくだる必要がないということを示すことであって、直観主義の立場からヒルベルトプログラムを否定してたわけではないということである。そして最終的にはいまだに決着がついていないと言える。あとがきにもあったが、やはり頭をよぎるのはヴィトゲンシュタインである。とはいえヴィトゲンシュタインは背景みたいなものなのだけれども、直観主義によってそんなの意味がないという、あのラディカルな破壊性なんかにはそれとなくヴィトゲンシュタインが感じられるし、まあ、なんなのだろう、本著の締め方はよかったよね、後は読者にゆだねる、と。あなたはあなたの哲学を持ちなさい、とそういわれているようで少し安堵する。本著の内容は全てが抽象的で意味がないといわれてしまうかもしれないし、実際に自分もそう感じそうになったが、それは一つのわななのかもしれない。なぜなら本著の戦いは、具象と抽象との戦いだからである。可能無限は具象に近しいだろう。実無限は抽象���近しいだろう。具象は直観であり、抽象は形式とも言える。本著での最終的な争いは、直観主義と形式主義となっているがそれは換言すれば、具象と抽象との争いなのである。哲学者は誰も彼もが抽象的な戦いをしているのではなくて、むしろ抽象と戦うこともあるのである。とりわけ数学は抽象的な学問であるから(実はこのことはあまり実感されていないように思われるけれど)、だからこそ戦いは熾烈になる。どこまで言っても二つの相反する対立から逃れられないからこそそれを壊そうとするヴィトゲンシュタイン。メタ、超越、しかしそれが更に否定され再び二つの相反する対立へと引き戻される。ルサンチマンがそこここに感じられる。
※追記。タカムラさんかわいい。
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高校の時担任の薦めで買って、挫折した本を改めて読んでみました。
積み上げてぶっこわす感じがなぜか心地よく思われます。久々に頭の中掻き回された気がして楽しい。
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冒頭部が面白く、思わず購入。
結局、何を言っていたのかよくわからなかったが、それでもなんとなく最後まで楽しめた。
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場が主流で、でも著者は可能無限の立場であると述べています。
『無限の可能性が秘められている』と言われれば希望的観測が持てますが、『無限の可能性なんて実は無いんだよ』と言われれば何だかちょっと実も蓋もない感じがして肩を落としたくなります(笑)
数学を用いて無限の可能性を解いています。まず、そもそもその出発点が怪しいんじゃないのか、というのが率直な疑問です。数学以外でも、何か取っ掛かりがあるような『気がします』。
僕も可能無限派になるのかな?例えばリーマン問題やゴールドバッハの問題なんかも、何か法則性が見付かるんじゃないか、と淡い希望を持っています。
未来の事は分からないですが、大抵の事は、過去の出来事に依存しているので、それらを考えると、可能性としては、未来予測の精度は上がっていくだろうと思いますし。
永劫回帰とか輪廻転生とか、仏教では実無限派の立場にあり、宗教によって無限についての見解も考えると面白いかと思います。確か、ダンテの神曲では、死後、地獄・煉獄行きの人間は永久の責め苦を受ける……だったかな?折角、哲学的に「無限」を考えるなら、様々な見地からアプローチすればいいのに……なんて思いました。
僕の評価はA-にします。
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笑える文章で楽しく読めますが、理解が難しかったので2回読みました。
実無限派と可能無限派のせめぎ合い。結局勝ち負けはつかないのだけど、
無限の捉えどころのなさというのを実感できました。
√2やπ(パイ)は数字ではなく、その数を導き出すための法則である。
すべての偶数を足したものは偶数ではない、自然数でもない。
カントール的な考えでは人間が概念を作るのではなく、すでに存在している概念を発見することになってしまう。とか面白い。
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無限と哲学の話。
タジマ先生が簡潔に無限とは、を教えてくれます。
でも、後半は少々ついていけませんでした…
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先生と学生2人、合計3人の問答で話が進んでいく本。
もう一冊野矢さんの本は持ってるけど、それも3人芝居だったな。好きなんだろうな。
読むの二回目ですが、やっぱり難しいです。
対角線引いて”えいや!!”とするところは爽快です。
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もう最高。センス抜群。
無限がなにかなんて「聞かれる前はわかってたけど聞かれた瞬間わからなくなる」ような例のアレ的なものだけど、突き詰めて考えていけばそれこそ話題としてもどこまでも広がっていく。
自然数論自体魅力的なだけに、一つ一つのトピックスが面白く、けっこう頭を使ったりしてとても心地よい。しかも、田jおっとタジマ先生のどこかひねくれた立場が、いや全くもって健全だとは思いますが、分かったつもりになっているコチラの常識的ななにかを尽く粉砕してくれるのがとても良い。対角線論法に文句言う辺りちょっとハラハラしたりします。
更には、3人の登場人物が妙に魅力的なんだよなあ。下手な小説なんかよりずっと面白いんじゃないかと思える。しかも随所に笑いが散りばめられていて、なんかすごく読むのが楽しい。すごいなあ。
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本好きらしいmixiユーザの方がおすすめしていたので、飲み会が始まるまで、カフェに陣取って読んでみました。
微分を習ったとき。
数学に対して、今までとはちょっと違って興味を持ったのを覚えてる。
「限りなく0に近づける」とかってよくよく考えてみたらすごく微妙じゃない?数学にしては。
無限って数Ⅲで出てくるみたいで、残念ながら私は習えなかったんだけど、この本では哲学数学みたいなアプローチでその辺のことを教えてくれる。
はずなんだけど、エクセルシオールカフェのコーヒーがもうほとんどないのに、ページは進まず…
すっっっごいがんばって理解しようとしたんだけどほとんど頭に入らず。
こりゃ哲学じゃなくて数学です。
でも、哲学と科学(数学も科学だね)の融合がありえてよかった。
「1次元すなわち直線と、2次元すなわち平面、この点の集合は濃度が等しい。さらに言えば、2次元と3次元すなわち空間ともまた、濃度が等しい」
うーーーーーーーーー
あ。
ちなみにこの人の文体とっても好きです!
「タジマ先生は椅子に戻り、√2秒ほど煎餅をみつめた。」
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新書にしては珍しく物語調。控えめなライトノベルといった趣のある良書。
意図的なのか、先生のキャラがやや陰険で素っ頓狂なのが徐々にツボに入った。『数学ガール』よりも読みやすくてコストパフォーマンスが高い。
アキレスと亀、ゼノンのパラドクスを取っかかりとした「実無限」と「可能無限」の話は、示唆に富んでいる。
本が好きな人ならば、読むことと書くことのあいだにも、「無限」を見つけるのではないだろうか。
授業1コマが1話という形式で、全12話。この授業はぜひ受けておくべき。
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ひと癖もふた癖もあるタジマ先生に導かれて、無限論の世界へ。
大学時代、哲学の授業の教科書がわりになった本。
無限論ってなにさ!?って遠い世界のことのように思っていた人でも、
物語に引き込まれてしっかり楽しく学べる一冊。
この授業、受けなきゃ損。
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「可能無限」か「実無限」かをめぐる無限論。かなり、数学的には高度な話題だが、学生二人に講師の三人の対話形式で進み、なんだか分かったような気にはなれる。まぁ、まさに大学の講義でその議論の「さわり」を学んだというような感じだろうか。「可能無限」、「実無限」の議論を歴史的な感じで追っていき、最後は、ゲーデルで一応の落ちがつく。
本書の形式としては、多分、『数学ガール』なんかが近いのだろう(といいつつ、こっちは読んでないが)。それが楽しめたひとなら、本書も楽しんで読めると思う。
ところで、なぜ、ぼくは、そもそもこの本を手に取ったかが謎だ。数学には縁遠く、ちょっとした数学ネタ本ならまだしも、対話形式の新書とはいえ無限論などという高度なものを扱っているのに。「無限」という言葉の深遠な響きに導かれてしまったのかもしれない。その意味では、その期待には応えてくれる本である。
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哲学的な話題で始まるがかなり数学的。タジマ先生が現代数学の常識とされる実無限を否定するところから論旨を始めるのが刺激的だった。結局可能無限か実無限かは読者の判断に委ねる形となるが、そこまでたどり着くのに、無限集合の濃度、ラッセルのパラドックス、ゲーデルの不完全性定理を通過するのでかなり難しい。その分読みごたえがある。
どう考えても本の展開には関係ない、タジマ先生と男女二人の学生の雑談が本をなじみやすいものにしている。さすが今年度(2012年冬学期)単位がこない座禅の授業をやろうとした野矢先生らしい。