紙の本
思考小説
2001/02/25 00:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る
某日、暇つぶしに読み始めたらついつい引き込まれてしまった。形式(というより作品構成の趣向)と内容がうまくかみあっていて面白い。もうひとひねりすれば、保坂和志の「思考小説」のポリフォニー版になる。ふとそんなことを思った。──以下、印象に残った話題を思いつくままに列記。
まず、可能無限の立場(有限主義)がこれほどに面白いものだとは、本書を読むまでうかつにも考えたことがなかった。(そういえばたしか、「実無限」対「可能無限」はウィトゲンシュタインに「哲学」を再起動させた問題だった。)──背理法もそうだけれど対角線論法は「時間」をはらんでいる、というか遡及効(今村仁司氏がいうバックワード・エフェクト)をもった論法だ。ところがトートロジーによる証明では時間が生じない。(有限と無限の質的差異を接続するものとしての時間=生命=意識?)──実在しないけれどリアルなもの(実無限の立場に立つ数学者にとって)としての無限。(本書の隠し味として、意識の問題と無限集合論の議論との関係が見え隠れしている。)
紙の本
無限についての哲学的な考察
2019/03/15 12:13
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投稿者:たかのり - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゼノンのパラドックスについて疑問をもち購入。実無限など、哲学的な無限に対する考察についての入門書といえます
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予備知識は仮定されていません。無限論は集合論なのだなぁと思いながら読みましたが、数学と数学の哲学と、両者の折り合いの付け方がどうにも分からなくなりました。
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無限って一体なんでしょう?
有名なパラドクスアキレスと亀から、実無限、可能無限の話へ。
対話形式ですすむので、ついつい一緒にゼミを受けている気になります。
ただ、愚劣とは言われたくないなぁ(笑)
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哲学の中の無限論を対話形式で展開する。とてもわかりやすく書いてあるしそこそこユーモアもあるのでオススメ。
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学生と先生との講義形式で話が進む。平易な文体ではあるが、内容は平易ではない。第6週に円周率のことを語った凄い英文がある。
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哲学や数学でたびたび話題になる「無限論」についての本です。
この名前を聞くと難しそうに思えますが、内容は変わり者の教授と普通の大学生男女との対話形式で読みやすく書かれています。
生徒の質問を「愚劣ですねぇ」の一言で切り捨てる教授に思わず笑ってしまうこともしばしば。
内容は有名なアキレスと亀のパラドックスからラッセルのパラドックス、ゲーデルの不完全性定理まで実に多彩。
順序良く解説がなされていくので難解な用語に悩まされることなく読み進めていくことができます。
これを読めばあなたも歩くたびに「論理的には目的地に決してたどり着けないのではないか?」といった不安から解放されることでしょう。
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初めて読んだ哲学本.理系でよかった〜,と思いましたw 数学を題材として,有名なパラドックスを紐解いたりして理論展開を行っていきます.電車で読んでいて,一番ページのすすみが悪い本だった気がします.内容は非常に面白いので,非常にオススメ.
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形式はちょっと変な教授、主人公の男子学生、優等生の女子学生の三人の対話形式ということになります。読みやすく、理解しやすいです。無限の不思議な世界を垣間見ることができる、非常にいい本だと思います。犬は犬ではない…?
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3月
何度も読んで、そのたびにわかった気になるものの、また読む頃にはすっかり忘れていて、新たな感動をもたらしてくれる本(要するに私の頭脳がお粗末なのだ)。
これを読むと、数学は最終的に哲学だという高校時代は逆説のように感じた言葉が、本当にそのとおりだよ、と納得できる。
「ポチ」は「犬」という集合の中に含まれる。「犬」は「犬」という集合の中には含まれないけれど(「犬」という集合は具体的な個々の犬の集まりであって、「犬」という概念はその中には含まれない)、「犬ならざるもの」は「犬ならざるもの」という集合の中に入ってしまう、とか。
(本当は「犬」という言葉を使って集合を作るとすると、ポチだのシロだのいう個々の犬のほかに「イヌ」という言葉で表される概念が入ってくると思うので(「幕府のイヌ」とか)、必ずしも吟味が完全とはいえないと思うけど)
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パラドックスとかが沢山でてきます。論理学っぽい話も出てきます。難しい論理が解る人はもちろん、解らない人にも楽しめると思います
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対話形式でサクサク読める「数学と哲学」とでも言いましょうかね。この対話形式は結構好きな方で、ユーモアありきで頭が悪い俺のような人間も理解できた「気になる」から面白い。実際はこの本の内容の1000分の一も理解してませんけどね。しかし無限と言う概念一つ取っても色々研究がなされているんだなぁ、と本当に感心しましたね。こういう本は俺にとっては稀有な本です。
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無限なんて別に知らなくても生きていけるのだが、なんとなく興味がある。この世界がどんなルールで成り立っているのかがきちんと証明することができなくて、それが少し気持ちよく感じてしまう。なんとなくそんな気にさせてくれる本でした。
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アキレスと亀のパラドクスから、ゲーデルの不完全性定理まで、一気だ!本当に一気に進める! 読んでない人は自分を恥ずかしいと思いなさい。
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目次:
第1週 学生が二人しかいなかったこと・教室変更
第2週 気まずい時間・アキレスと亀・自然数は数えつくせない
第3週 チョコレートケーキ・パラドクスへの解答・可能無限と実無限
第4週 全体と部分・キリンとカバ・次元の崩壊
第5週 実数・独身製作器としての対角線論法・喫茶店のネコ進法講義
第6週 実数とは何か・ピタゴラスと豆大福・余興
第7週 マジタ・ベキ集合と概念実在論・羊羹の思い出
第8週 一般対角線論法・無限の無限系列・カントールのパラドクス
第9週 土手の散歩・ラッセルのパラドクス・嘘つき・自己意識の幻想
第10週 直観主義・パラドクス断罪・虚構と排中律・ブラウアーの手袋
第11週 暑い部屋・形式主義はいかにして排中律を取り戻そうとしたか
第12週 ゲーデルの不完全性定理・G・インドのとら狩り