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お手軽暗殺—あなたも一度、どうですか?
2002/10/20 12:04
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ユイ - この投稿者のレビュー一覧を見る
他愛のない会話、他愛のない行動、他愛のない殺し。
この小説を読んで、唖然とした。それから一人、大笑いした。
あなたは殺し屋と聞いて、どんな存在を想像しますか?
私はまず、凄腕の、それ専門に訓練を積んだようなプロフェッショナルを想像します。不可能と言われるような、護衛を大勢侍らせた人間をいとも簡単に殺す。
でも、この小説の殺し屋は私の想像を見事に裏切ってくれました。
三流ゴシック誌に殺しの依頼、対象は冴えない印刷屋の主人、殺し屋はというと……ここまで話してしまうと、読む楽しみがなくなってしまいますね。
こちらの想像を見事に裏切り、新しい世界を開拓してくれました。心が温まるようなあっさりとした殺しの味です。ありそうでなかった斬新な小説。ローレンス・ブロックはこの手の小説の天才でしょう。
あなたもお手軽暗殺をお楽しみ下さい。
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ブロックと言えばスカダー・シリーズですが、あえてこちらを推します。殺し屋が主人公の連作シリーズ。淡々と進行する物語がプロらしさを醸し出します。
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殺し屋ケラーの短編が10作!楽しい。最初なので、まだ、趣味である切手蒐集に辿りつく前。何に興味を持てばいいのか…と、犬だったり、女だったり、精神科のセラピーだったり…試していく様が、また楽しい。
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殺し屋ケラーのシリーズ。4巻完結の1巻だが、短編集なので気楽に読める。
何ということはない筋立ての筈なのに、不思議と引き込まれてぐいぐいと読んでしまう。そんなこともありそう、とか思ってしまう。
人を殺す、ということを職業にするとはどんなことなのか。
悪役である筈がなんとなし悪役と思いにくい男、ケラー。
ちょっと変わった切り口の本を読みたければお勧め。
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読みやすいです。
著者と主人公の仕事に関するスタンスが、全く同じように思えます。
殺し屋は殺しに、作家は著作に、同じように行動しているのでしょう。
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ローレンス・ブロックは好きな作家だし、マシュー・スタガーのシリーズなどは全て読んでいる。
が、この「殺し屋ケラー」のシリーズは、どうしても、あまり好きになれない。ストーリーに、直接は関係のないエピソードや会話やケラーの思考を説明した部分が多く、冗長に感じてしまっているのだと思う。テンポが悪い、と感じてしまうのだ。「直接は」関係がないのだけれども、これらのエピソードなどは、ストーリーに全く関係がない、というわけではなく、それらが話に深みを与えているとも思われるし、そういったエピソードが好きな人も多いだろうので、これは、単純に「好み」の問題だとは思う。
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ハードボイルの伝説的古典と言えば飾りを極力排したものと、華麗なるレトリックを駆使した両極端がある。両作甲乙は付け難いが本作は前者に属する。又、文章は形容詞から腐るという言葉もあるが、このジャンルで多用される商品名等、世相を表す固有名詞が腐らないのは何故だろう?真実が何処にあるのかは分らないが、本作が秀作であり、当面、陳腐化することがないことだけは断言できる。簡潔な短文が続くきびきびした文体。さすがミステリ界の匠の技。精密機械ゴルゴ13に比べるとミス・ショットが多いが、これも生身の人間らしくて好感が持てる。
先程読了した『グラスホッパー』の著者である伊坂幸太郎が本書の帯で「ローレンス・ブロックからはあからさまに影響を受けていますし、『殺し屋ケラー』シリーズは僕が書きたいものの到達点であるような気すらします。」と絶賛している。同じ殺し屋モノ、その影響とやらをじっくり味わってみるつもり。 2013年02月01日
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タイトル通りの職業(殺し屋)をニヒルにこなしている男、ケラーが主人公の短編連作集です。タイトルは一見、ハードですが、中味はブラックユーモアっぽい、飄々としていて、淡々としたお話ばかり。独り身のニューヨーカーであるケラーは自分なりのセンスと哲学をもって、「ヒット・マン(殺し屋)」として与えられた仕事をこなしつつも、ターゲットを「ヒット」する為に訪れた町に、つい住みたくなってしまったりして、どこか、憎めないキャラクター。そんな彼の性格が、読み進めていくうちに、少しずつ見えてきて、次第に、彼が愛すべき殺し屋に思えてくるのが不思議な所です。それも、ブロックがストーリーテラーたる、ゆえんでしょうか。私の大好きなマット・スカダー・シリーズとは全く違う、少しコミカルでさえある話なのに、存分に楽しませてくれるのも、また、さすがブロック!なのです。
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非常に好きな作品で中学生の頃何度も読んでいた。5、6年の時を経て再読。やっぱり面白くてすげー、と。殺し屋という非日常的な存在を、それが日常になっちゃってる主人公ケラーを通して描く。彼にとって殺し自体はもうルーチンなので、それを語る口調に情熱は全くない。銃砲店の主人に話を合わせて拳銃を手にいれるなんて、お役人が判子を押す作業と同じなのだ。彼が目を向けるのは、テレビで流れてるフットボールとか、レストランのウェイトレスの結婚生活を妄想するとかいう、めちゃくちゃどーでもいいことだ。そりゃ、そうなるよね。慣れきったことを繰り返す日々の中ではどーでもいいことが頭の中で主張し始めたりする。つまり、ケラーはただの乾ききった生活を送るおっさんで、僕らがそこに共感するやいなや、乾ききった口調で殺しを語り始めて、僕らを突き放す。ケラーを見ていると日常を感じながら、非日常を見ることができる。彼は共感できる殺し屋っつー稀有な生き物なのだ。
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スカダーを読み終わったので、次は殺し屋シリーズ。
原題は”HIT MAN”。
殺し屋の話の割に、彼の仕事の扱いは結構軽い。
仕事ではなく彼の普段の日常をメインにしているのだろう。
スカダーの時もそうだったが、
ブロックは話の本筋よりも人物同士の掛け合いや、
ちょっとした心情の描写がやはり上手いなぁと思う。
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書店で平積みされてて何故か猛烈に気になったので購入。
『殺し屋』なんてズバリなタイトルだけど、殺しの部分はすごくあっさり。
日常のルーチンワークをただ単にこなしました、くらいのもの。
だから、映画みたいな派手なアクションだったり殺し方だったりを求めてる人には物足りないと思う。
この本は殺し自体ではなくて、殺し屋の日常だったり心情だったりを描いたものだと思う。
殺し屋ももちろん四六時中殺しのことを考えてるわけでもなくてこういう日常を送ってたりするんだろうなと妙に納得。
本物の殺し屋の生活なんて知らないからあってるかはもちろんわからないけど。
ただ、これが書かれた時点ではどうだったか知らないけど、こんなにいろんなとこに顔出してると防犯カメラにもガンガン映るだろうし今ならすぐ捕まっちゃうのでは…?なんて思ったり。
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短編集。
主人公の殺し屋が、いかにもな感じじゃ無くて、どこにでもいるサラリーマン的な人物というのが特徴でしょうか。
内面も殺人ができるということ以外は、特に異常性がありませんね。
(いや、そこで十分に異常かもしれないけれど、物語上はってことで。)
犬がらみの話もいいけれど、「ケラーの責任」が一番好み。
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図書館で。
伊坂幸太郎推薦!みたいな文章をどこかの本屋で見かけたので借りてみたのですが。ん~。面白くない訳でも取り立てて面白いってほどもないお話でした。というか殺人請負業が結構うかつじゃない?と思う所もしばしば。
ホワイトフリントじゃなくて…どこぞに住んでいる親父さんはともあれドットは本当に大丈夫なんだろうか?簡単な手紙で騙されちゃったり。それを言ったらケラーもだけど。愛国心という言葉は利用されやすいんだなあということがなんとなくわかるお話でしたけれども。結局なんでネルソンのご主人を殺したんだかよくわからなかったし、ガールフレンドも結局ネルソン目当てだったのかなあと考えるとちょっと人間不信になりそうなお話でした。
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血と硝煙の臭いを漂わせるハードボイルドな装幀さながらの内容をイメージすると確実に面食らうであろう【殺し屋】らしくない主人公・ケラーの仕事記録を収めた連作短編集。ささやかな生活を営みながら、依頼の都度【出張】へと赴くケラーは殺しのプロフェッショナルながら、独特の人生哲学を持ち、人間味に溢れた不思議なキャラクター。斡旋業者の受付嬢・ドットとの小気味好い掛け合いも魅力のひとつ。帯紹介を書く伊坂幸太郎氏も影響を受けたらしく、確かに氏の作品に登場する殺し屋や泥棒の飄々とした様にはどことなくケラーの面影があるような。
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古本屋で何気なく手に取った一冊。最初のページは固有名詞が多くて面食らったが、数ページも読むと、どっぷり惹き込まれた。派手なアクションもトリックもないけど、なぜか面白い。殺し屋シリーズにはまり、ローレンス・ブロックにはまりました。