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1998年刊行。著者は滋賀県立大学人間文化学部教授兼国立民族学博物館共同研究員。
タイトルどおりの書。
具体的には、キムチ・唐辛子・ニンニク・塩辛・肉・飲料(茶文化の消滅)・匙文化・調味料で、最後に酒である。
ただ、日朝の共通性と差異とを比較しつつ論じるとあった割には、半島料理の解説に終始しており、日朝間の共通性と差異と、それが生まれた理由にフォーカスしきっていたかというと若干疑問符をつけざるを得ない。
とはいえ、①モンゴルの支配下にあったことが肉食タブーを払拭したこと。②唐辛子は15世紀後半、南蛮貿易で受け入れることとなった日本を経由し流入した。③しかし、唐辛子がキムチや調味料として庶民に定着するには、その流入から150年くらい時間を要したこと。④仏教の衰退、儒教化に伴い、茶の愛好が薄れ消滅していったこと。⑤麺好きは日朝で共通であるばかりか、所謂インスタントラーメンの消費量は日本と比較しても多いこと。これらはなかなか面白い。
もちろん、半島料理の文化史的説明としては、研究者でもない限り、ここまで知っていれば御の字と感じられるほど詳しい。