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組合せ最適化の諸問題について短編物語仕立てで紹介してある.専門的な知識がなくても読めるように書かれてあり,最後の章以外はサクッと読める.
この本を読めば組合せ最適化が現実の問題に対する幅広い応用を持っていることが分かるだろう.厳密な最適解を得ることが困難な現実の問題に対して,出来るだけ良い解を得る手法がメタヒューリスティクスである.メタヒューリスティクスは最適性が保証されないので,一般向けの数学書を読む人にもあまり馴染みがないだろうが実用上重要である.
この本で一番面白いのは最後の章だ.この章だけはC/C++の短いプログラムコードが並ぶので少し読むのが辛いかもしれないが,まずメタヒューリスティクスである貪欲法,タブーサーチを使ってnクイーン問題を解き,そこから実験を繰り返してアルゴリズムをチューニングしていくプロセスが分かる.
ややニッチな分野だが,分かりやすく紹介してくれた著者には感謝したい.数学やプログラミングに興味があって,組合せ最適化の概要について知りたい人にはオススメである.