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キリスト教徒として知られる内村鑑三だが、日本人としての矜持も持ち合わせていた。欧米に傾斜するのではなく、日本人の持つ良さ、誇りを海外に知らしめたらんとする書。日本人である我々が忘れてしまったことを示唆してくれる。この本が100年以上も昔に日本人の手によって英語で出版されたというところに驚きを隠せなかった。
以下本文から抜粋。
・西郷隆盛編(政治家)
文明とは正義の広く行われることである、豪壮な邸宅、衣服の華美、外観の壮麗などではない。
真の機会は、時勢に応じ理にかなって我々の行動するときに訪れるものである。大事なときには機会は自らが作り出さなければならない。
・上杉鷹山編(領主)
封建制に立憲制度が劣っているところ。
→度心に頼ろうとせずに争いを解決するために文章に頼ろうとする。
→忠義、武士道、勇気や人情の欠如
民をいたわること自らの体の傷のごときとせよ
すべての学問は徳を修めることに通じている。
為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり
・二宮尊徳編(農業指導者)
自分の家を投げ出して初めて千軒の家を救うことができる。
なすべきことは結果を問わずしてなされなければならない。
金銭により多くのことが可能となるが、道徳はそれにまさることを可能にする。
一村を救いうる方法は全国を救いうる。その原理は同じである。
当面は一つの仕事に全力を尽くすがよい。それがいずれ全国を救うのに役立ちうる。
・中村藤樹編(教師)
修練を積めば生活費が稼げるようになるとの目的で学校に行かされたのではなく、真の人間になるためだった。それを真の人、君子と称す。