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投稿者:Chocolat - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミネット・ウォルターズの作品には、強い女性が登場することが多く、いつも、読後、爽快感を感じるが、自分としては、この『氷の家』に登場する3人の女性たちが、一番面白いと感じる
物語は、性格も境遇も違う3人の女友達が同居している大きな屋敷で、身元不明の遺体が発見されるところから展開する
無知と偏見に囚われたイギリスの片田舎の住民たち
そして、いささか強引な捜査をする警察の圧力
そんな中で、孤軍奮闘する女性たちの戦い振りがそれぞれ見事で、常に緊張をはらんだ会話や駆け引き…真実を語っているのは誰なのか?と、最後まで迷わされ、飽きずに楽しめた
古典となる可能性を秘めた新しいミステリ
2002/02/27 23:02
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投稿者:キイスミアキ - この投稿者のレビュー一覧を見る
高い評価を耳にして以来、ずっと楽しみにしていた作品。とうとう読み終えてしまって残念。別のウォルターズ作品が、楽しみでしょうがない。
冒頭に登場する謎は、死体は誰のものなのか? 過去の失踪事件はどういうものだったのか? といった、素晴らしく古典的な感じがするもの。
ウォルターズの作品を読み、思いだされたのが同じ英国の作家であるセイヤーズ、そして彼女の作品『誰の死体?』だった。良く出来たパズルのように、無駄が無い推理小説もいいが、パズルのピースや台座が、凝りに凝った英国様式の装飾で彩られているのも悪くない。それがセイヤーズの本格ミステリである。
ウォルターズの作風は、その暗さこそ違えど、ミステリの女王セイヤーズが描いた《ピーター卿シリーズ》の流れを汲んでいると思われる。ただのパズルとしてのミステリではなく小説としてのミステリ、とでもいえばいいのだろうか。
巽昌章氏の書いた解説も改心の出来。この作品の存在感は、今後も古典として長く愛される可能性を感じさせるほど強く、解説者にとっても特別な思い入れを感じることができたのだろう。
ではいったい、なにが存在してるのか。小さな村に住む人々の生活や、その風景、警官や疑わしい人達、差別や古い習慣などを描ききったことで、架空の世界でありながら、探偵役を楽しみ世界に没頭する読者にとっては、読了するまでは本当の世界であり続けるリアルな小説の世界が存在しているのだろう。
なかなかの拾い物♪
2002/02/04 02:03
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投稿者:marikun - この投稿者のレビュー一覧を見る
92年度CWA最優秀新人賞受賞作。評価は3ですけど、なかなか良かったです。マイナスの要因はラスト近くになって登場人物が大量に増えて、「え?」「え?」と何度も前を読み直さなくてはならなかったため。まあ、ちょっと強引なラストといえばラストなんですが…(^^;
イギリスの静かな田舎町のお屋敷の氷室で発見された腐乱死体。あまりにも状態がひどいため、身元の確認が難航します。はたして死体は10年前から行方不明になっている屋敷の主人なのか? 残された妻と一緒に暮らす2人の女性たちを、村人は『3人の魔女』と呼ぶ…。
正統派イギリスミステリに現代的なスパイスを振りかけた佳作です。
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ミネット・ウォルターズのデビュー作。彼女らしい味わいは既に十分、出ています。完成度は後の作品ほどではありませんが。
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発表作のどれを読んでも安定して面白いミステリ作家さんです。
なんていうかカバーイラストもどれも好き。
これが1作目かな?
どの作品にも共通して張り詰めた空気と湿度を感じます。
救いのない終わり方が多くてつらい時もある…。
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事件はさほど派手じゃなく、そう驚きの結末が! というわけでもなかったけど。悪意だの嫉妬だののどろどろした心理を描きながらもあまりどぎつくない、スタイリッシュな雰囲気の作品でした。ところどころの軽妙な語り口も読みやすいです。
彼女たちがそこに住み続ける理由はやっぱりか、という感じだけれど。なんだかそう恐ろしい感じはしませんね。むしろ女友達の団結力が温かくて。やはり友達というのはいいものなんだなあ、と。
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以前読んだときはもっと怖いと思っていたんだけど、私がそうとう図太い人間に変わっちゃったんだろうな…。
最後まで二転三転する犯人の正体にはさすがストーリーテラーとしか言いようがない。でも、これより「黒い薔薇」の方が万華鏡みたいにくるくると視点が変わって読後の騙された感が強かったような気がする。
「黒い薔薇」も購入済み。
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ウォルターズ作品では、3番目に読みました。最初は主人公3人が嫌な感じの人かと思ったり、刑事さんも誰が中心になるのか分かりにくくて、読みずらかったのですが、途中からとても面白くなり、一気に読みました。いつもながら、意外な展開がよかったです。
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キャラクターの造型や、結末の意外性と伏線の張り方はなかなか。ちょいと読みにくく、展開が遅いのが難。でもまた幼児虐待か...。
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登場人物がみんな混乱している。
読んでて疲れた。
主人公?の部長刑事に全然感情移入できなかった。
終わりもイマイチ。
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面白いー!!
身元のわからない朽ちて食われた死体が一つ。
見つかったのは10年前の夫殺しの噂のある屋敷。
人殺しのレッテルのした、毅然と見えるフィービと
心優しいダイアナ、頭脳明晰の皮肉屋アン。
同性愛者だ、魔女だ、人殺しだと警察からさえ信用されない
不遇の女たち、
そして妻に逃げられたアル中寸前のようなマクロクリン部長刑事、昔にこだわりすぎる首席警部。
むせかえる悪意のなか、
清涼飲料水のようなプレイボーイたち。
オッサンパディと、愛すべき単細胞(性根もよい)エディ。
ラスト、エディが好きになった。
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この作者さんの本は二冊目。なんかなぁ、終息の仕方が好きではないかも。どんどん登場人物が増えるのが好みじゃないのか??
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多くの小説では、物語の中心となる人物やその性格というのがだいたい定まっていて、読者はその人物の視線、気持ちに寄り添いながら物語を理解していくというのが一般的な流れなのではないかと思いますが、本書は、そう言った意味ではちょっと普通ではない変わった構成をとっています。
例えば、次々に別の登場人物へと視点が切り替わっていくので、誰を中心に物語を理解すればいいのかわからない。しかも、出てくる登場人物がみなアクの強い性格付けがなされているうえ、視点が変われば印象もガラッと変わる始末で安易な感情移入すら拒絶されます。寄り添うべき視線が定まらないとういのがこれほど不安感を煽るものだとは思いもよりませんでした。そして、そのことが物語に息苦しいような緊迫感を与えて、先の読めない展開にもう夢中になってしまいました。
ただ、少し残念に思うのが、中盤以降にその緊張感がやや途切れてしまったように感じられることです。ストーリーは面白いし、後半も読みどころは多いのですが、前半のインパクトがあまりにも大きかっただけに、一気に読んだにもかかわらず、数日開けて続きを読んだ時のような少し醒めた印象を受けてしまいました。正直、謎と謎解きに拘らなければもっと面白くなったのでは?などと思ってしまいましたが、それじゃあミステリにならないですね (^_^;)
この物語は、無責任な噂や偏見といったものがテーマの一つになっているように感じられます。感想の最初に「視点が変われば印象もガラッと変わる始末で安易な感情移入すら拒絶されます」、などと書きましたが、そもそも安易な感情移入、表面的な印象や先入観に基づく勝手な理解こそ偏見そのものなのかもしれません。私の場合、最初は結構好きかもと勝手に肩入れしていた人物が、実はかなり非道い一面を持っている人間だとわかってちょっとショックでした。
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図書館で。
警察側が悪意の塊な感じで色々とイライラしましたが…今でもあんな感じの尋問方法なんでしょうかねえ?段々と部長刑事氏が感じよくなってきて助かりました。閉鎖的な地方独特の偏見と集団いじめみたいなものって怖い。それが嘘でも本当でも人々の意識が一つになってしまうとそれがそこでの常識になってしまうんだろうなあ。
でも結局最後、まだましな警察官は警察を辞めてしまうのだろうか?…色々な意味でお先真っ暗だなあ(笑)
初めて読む作家さんなのでどんな最後にするのかハラハラしておりましたがバッドエンドではなかったので良かったです。うん。
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ネットで見かけて。
「フレッド・フィリプスが走ってる」
すごい始まりだ。
思わせぶりなところはなにも無く、ただ事実を述べているだけなのに、
それがわざわざ語られなければならないところに、インパクトがある。
あっという間に作品に引き込まれる。
行方不明者と身元不明死体。
田舎の村とスキャンダル。
守るべき秘密と明かされるべき感情。
それは面白くならないはずがない。
結局語られなかった、
主席警部と部長刑事の過去の関係性が気になり過ぎる嫌いはあったが、
ミステリーとしては面白かった。
恋愛ものとしては、どうかな。