紙の本
プールの中と外の青春
2002/06/19 20:31
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投稿者:ふーにゃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作「最後の息子」もサイコーだが、「water」もとてもとても良い。
主人公凌雲は水泳部の部長。だが、えらぶったところがなく、後輩に愛されおちょくられる彼は、高校最後の大会を目前とし、がむしゃらに泳ぐ日々を送っている。
そんな彼や彼と組んでメドレーリレーに参加する仲間たちにはそれぞれ悩みがある。凌雲には水泳でも目標とする兄がいたが、バイクで急死した。それから母が精神的に不安定になり、凌雲も辛い立場に立たされることとなる。
だが、彼や仲間たちはそんな中でも泳ぎ続ける。何かを得て、現在の辛い現在を乗り越え、未来に進むために。もう素晴らしい宝=チームワークは得ているのだが、それだけでは満足せず、勝利を手に入れるために。
その若さに感動を覚えずにはいられない。そこまで夢中になれることは大人になればなるほどなくなっていく。だが、彼らの熱さを感じるうちに、自分の中の何かも熱くなっていく。自分も何かを見つけようと熱くなれる一冊だ。
紙の本
伝えたいことが切実
2002/06/04 07:40
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投稿者:もくもく - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作他2作収録されていますが、青春ものがお好きな方向け、水泳に燃える青年の姿を描いた「Water」もオススメです。がむしゃらな青春ものに久々に感動しました!!
この人の場合、あまり筋書きを紹介することに意味がないと思うので、とにかく読んでほしい。先に「青春」と描きましたが、それだけではないということが読めば分かると思います。これにグッとこない人はいないのではないか、とちょっと泣きながら読みました。
今後もこの人をチェックしなくては…と思わせる力のある書き手です。
紙の本
埋もれちゃ駄目
2002/04/09 19:58
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投稿者:りんばら - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひとを見る目が冷たくひねくれていて、それ以上に優しい。この作品に限らずその目線は一貫していると思う。ひとの行動ばっかりに目がいって毒を吐いたりしてみるけども、そんな自分にも嫌気がさしてるようなひとに読んで欲しい。会話の面白さには映像が浮かんで映画でも見てみたいです。名前の地味さに埋もれてしまわないで欲しい。もっともっと読みたいです!
紙の本
人間ってやつは…。
2002/06/17 03:56
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投稿者:アセローラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「最後の息子」「破片」「Water」の3作品が収められています。私のイチオシは「破片」です。子供のときに事故で母親を亡くしてから、女の人に対して異様なほど執着してしまう岳志。ストーカーと思えなくもないのですが、何故か嫌いになれない感じが全体に漂っているんです。人間の弱いところとか、どうしようもないところを憎めない感じに書き上げてしまう。すごい作家です。
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映像を大事にする方だなぁというのが第一印象です。「パレード」然り。「東京湾景」然り。表題作「最後の息子」の語り手がひねくれつつも自分を冷静に、素直に受け止めてるのが好感触でした。見栄っ張りで臆病で、だけど閻魔ちゃんが言うとおり優しい子だと思います。各段落の最後の一文がそれぞれ深みをもち、読む手がとまり、ふと考えてみる瞬間がありました。閻魔ちゃんの名前を塗り替えていくとき、語り手の心の中に覚悟があったんだといいなぁと思います。他「破片」「water」収録。waterのラストの余韻の残し方が綺麗でした。
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オカマの「閻魔」ちゃんと同棲するぼく。投げやりにもなりきれなくて、シュール。いっしょに収録されてる「Water」もおもしろかった。
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【メモ】短編3作・「最後の息子」おかまの閻魔ちゃん、そのヒモの主人公、大統領、ホモ狩り、ビデオ日記、愛され続ける為に、諦め・「破片」田舎に残った弟と東京に出た兄、酒屋、母の死、愛しすぎる弟と握り続けられない兄・「Water」水泳、諦めの香り、死んだ兄と狂った母、最高記録を破る為生きる
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ビデオ日記?着眼点がおもしろい。
20代の若者が主人公のストーリーが多い中、「Water」は高校生だあっすごい青春してる。
吉田さんの小説に登場する人たちに、いつも憧れてしまう。こんな風に生きたかったと思う。(すでに過去形な時点でオワッテル)私には何が足りんのかね。
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「最後の息子」「破片」「Water」が収録。作風はバラバラ。長崎という共通点はあるけれど。ダントツで表題作が面白かった!主人公が閻魔ちゃんをいつか絶対決定的に傷つける、と思うとなんか胸が苦しくなって、ヒヤヒヤしながら読んだ。本当に「ぼく」という男の言動は読んでいてイラつきを覚える。長崎から両親が出てくるというので、元恋人を会わせ、母親がオカマを見たいといえば同棲している閻魔ちゃんを会わそうとする。最低。でも、この最低なことを平気でやろうとする「ぼく」が悲しい。ビデオテープを間に挟むというのも、カサカサ乾いた空気を作品に漂わす。
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短編3作。前半2作は含みのある終わり方で読者に解釈を委ねる感じ。3作目は典型的な青春モノ←こっちのが好き。
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『Water』がすごく好きです。
高校時代に、部活をがんばっていた時を思い出します。
暑苦しくなくて押し付けがましくなくて、でも青春!って感じがする。
何ヶ月かしたら、もう一回読もう。
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吉田さんも今まではあんまりよんだことが
なかったので、継続して読む。
人間の汚いとことか、
隠したいことを書くような傾向。
文章はとてもキレイ。
やるせない気持ちになりました。
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読み終わったときに心に残るのは空っぽの気持ち。この本を読んで何も残らないとかそういうことではなく、ただただ空っぽな気持ちになる。あ、こういうのを虚無というのかも?
表題作の「最後の息子」の他、2編の短編小説が収録されています。
この人の本は、登場人物の心理描写がいつもきめ細やかですごく読みやすいんだけど、どうしていつもこう、「え、そっち?」みたいな方向に話が転がっていくのかなあ。
無気力というか、怠惰というか、なんかどっかに漂ってく感じ。
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最後2話の長崎弁と坂の町の酒屋さんという設定がいい。特にwater。オカマちゃんと同棲とかバーの女を囲うとか現実に感じられない話に比べて、水泳部の話にはまだ幼さとさわやかさがあって素直に感動できるというか。そう、たぶん彼らが大きくなっちゃうと、やる気のない、おかしな大人になってしまうのかもしれないけれど。
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「最後の息子」「破片」「Water」の3篇の中篇からなる。
さすが吉田氏。
なかなか理解しがたい世界の話もあるが、本当に才能を感じさせる作品群だと思う。ほんとにデビュー作?と思ってしまうほど。
作者が伝えたい人物設定や情景、ストーリーの背景を、しゃべりすぎにならず必要なだけ、これだけ巧みに読者に伝えることができる作家もそうはいないのでは。
ある物悲しさを必ず含んでいるのは、デビュー当初から変わらないんだなあ。