紙の本
東京怪異譚
2017/07/30 14:50
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京各所に伝わる膨大な怪異譚を収集した本で、読み応えのある内容でした。
6章のみが現代の怪異譚で、その他の章は、「暗闇」があった時代の怪異譚を中心に構成。本書を片手に妖怪・怨霊散策を楽しむも良し、妖怪の存在が身近だった時代に思いを馳せるも良しです。
あの寺田寅彦氏は「不思議を感じることに麻痺し、怪異に戦慄する心持ちがなくなれば、科学は死ぬ」と語ったそうです。昔からのしきたりは忘れられ、タブーも平気で破られてしまう現代。我々は、その内、大切なものが忘れられた代償を思い知らされるかもしれません。
ところで、本書では「学校の怪談」も8ページほど扱われています。夜の静まりかえった学校は、なぜ不気味なのでしょうか。小学校の夏休み、学校の運動場にテントを張って泊まるという企画がありました。飯盒炊飯でご飯を食べたり、講堂で映画を観たりとイベントの目白押し。その中で、皆が最も楽しみにしていたのが、夜の校舎の肝試しでした。単に決められたコースをグループに分かれて回るだけなのに、暗闇の中の教室や廊下は本当に恐かったです。先生達の負担が大きかったのか、1回限りのイベントでしたが、楽しかったです。
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日記では省略してますが、章内の各項目には<地域名/駅名>なども紹介されている親切設計。分かりやすい地図と写真が多数載っているので、近所の怪しげ地域にふらっと行く手引きとして丁度いい感じ。でも首塚の写真って・・・大丈夫なのかな?
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日露戦争には狸も参戦して闘ったという話が、わたしは狸が頑張るタイプだとは思っていなかったので不思議な感じがしてとくに面白かった。「……香川県高松市では、「じょうがん寺」の狸が総指揮をとり参戦。狸が兵隊に化けて山をつくり、その山にロシア兵が登ってきたら山をひっくり返したそうだ。凱旋のときは狸も提灯行列をしたという。愛媛では、伊予の喜左衛門狸が小豆に化けて大陸に渡り、上陸すると豆をまくようにパラパラと全軍に散って、赤い服を着て戦った、と伝えられる。……」。あまり注目していなかった近所の寺が妖怪系の宝の宝庫だとかいう話とか、いろいろ楽しかった。外国人の東京観光にもいい材料になると思う。
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読書録「伝説探訪東京妖怪地図」3
監修 荒俣宏
著者 田中聡
出版 祥伝社
p376より引用
“ 不思議を感じることに麻痺し、怪異に戦
慄する心持ちがなくなれば、科学は死ぬ。「頭
の頂上から足の爪先まで突き抜けるような鋭
い神秘の感じ」を知らずして、科学は出来な
い。科学教育は「化け物教育」のごとくある
べし、と寺田寅彦は言った。”
目次より抜粋引用
“大江戸怨霊列伝
こんなところも怪異ゾーン
怪異スポットを歩く
怨念の痕跡は残る
明治維新と妖怪”
博物学研究者監修による、現代に語り継が
れる東京の怪異を記した一冊。他社刊行作「怪
異東京戸板がえし」改題加筆版。
平将門公の首塚についてから怪異と科学の
関係についてまで、地図や浮世絵等の資料と
ともに解説されています。
上記の引用は、怪異と科学について書かれ
た項での一節。
センス・オブ・ワンダーというものでしょう
か、未知の物事に対する感覚は、世界共通な
ところがあるのかもしれませんね。
古くから語り継がれたり伝わっている事に
は、何か深いわけがあるでしょうから、ぞん
ざいに扱うのはよろしくなさそうです。
東京にしても京都にしても、人が多く集まる
ところには、怪異に関する話が付き物なよう
で、華やかであるほど暗い部分も多いのかも
しれません。
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都内に残る妖怪話、幽霊話をその街を散策しながら紹介する妖怪お散歩マップにオススメな本。23区内で39話掲載されている。メジャーな話がほとんどなので東京の人間には少し物足りない。私の住んでる街は岡本綺堂の書いた青蛙堂の近くで、柳田國男に遠野物語を語った佐々木喜善も見た白い女の顔が浮かぶイチョウの木や夜に声が聞こえる夜泣き石などが多く残り、幽霊坂が数箇所ある。そんな私は初心者向けでなくもっとマニアックなお散歩マップが読みたい。