紙の本
信じられない…
2000/12/06 15:22
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:dakara - この投稿者のレビュー一覧を見る
『美人論』や『つくられた桂離宮神話』で知られる井上章一さんの本です。建築史が専門の先生ですが、毎回とりあげるテーマは非常にユニークです。今回のテーマは、日本人の性愛空間はどのように変化してきたかということです。本書によれば、日本人のふつうのカップルが室内で性交渉をするようになったのはここ50年くらいのことだ、ということです。それ以前は、野外での性交が一般的だったというのです。
本書は日本人の性交渉の場が屋外から屋内へと移っていく変化のプロセスを膨大な文献や史料、小説などを題材に描いています。
たいへんおもしろい1冊です。
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ラブホテルの文化史、のようなもの。こういうことって誰もやらないので貴重な仕事だと思います。しかも遊びでやってるんじゃなくて、本気で文献を漁り論考している。建築史のオルタナティブ。
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江戸時代の待合から現代のラブホテルまで、日本の性愛空間の変遷を綴った怪著。下世話な話が好きならとりあえず読んどけ!!
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[ 内容 ]
終戦直後には「皇居前広場」という言葉が性交を連想させるほどに、かつては野外性交が一般的だった。
しかし、待合、ソバ屋、円宿、ラブホテルなどの施設がうまれ、人々はもっぱら屋内で愛し合うようになる。
それらの性愛空間は日本独特の意匠をこしらえ、ついにはディズニーランド風の建築に発展するのだった…。
日本人の男女が愛し合う場所の移り変わりを探る、性愛空間の建築史。
[ 目次 ]
第1章 森の恋人たち
第2章 芸者たちと、待合と
第3章 ソバ屋のできごと
第4章 円宿時代
第5章 鏡と風呂
第6章 ラブホテルの時代
第7章 意匠、風俗、そして警察
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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愛を確かめ合う場所
皇居前広場 ソバヤノニカイ
寝@食&淫
ディズニー宮殿 クリスタルホテル
という変遷
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昔はどこで致したか、という興味深いテーマ。子供の数も多い長屋生活でプライベート空間はどこに。どうやら、野外の場合が当たり前にあったらしく、それが当然のように行われる時代は戦後まで続く。皇居前広場と言うと敗戦後は多くのカップルにとって野外で性行為をするための場所だった。そして、その場所を最初に利用し始めたのは米兵と商売婦。やがて日本人カップルに引き継がれる。女性の背中に落ち葉がついていると勘繰られるから、紳士的に払う。なんとも風流である。
曖昧屋、木賃宿、円タク、円本など聞き慣れない言葉が多い。曖昧屋とは、表向きは料理屋・宿屋に見えながら実は売春婦を置いている、いかがわしい稼業の家という意味。何だか普通に人に対して使ってしまいそうな言葉だ。
日本人の性愛空間を探る面白い本。誰にでもオススメできるものでもないが、そこから見えて来る世界も、あるかも知れない。