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七ひきのねずみ みんなのレビュー
- エド・ヤング (作), 藤本 朝巳 (訳)
- 税込価格:2,090円(19pt)
- 出版社:古今社
- 発行年月:1999.9
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紙の本
ことわざの言葉そのままにさわって確かめる世界を表現した絵本
2011/05/26 23:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
国際児童図書評議会(International Board on Books for Young People : IBBY)の障害児図書資料センターでは、
隔年で世界各国から集めた資料の中から40タイトルを選び、
IBBY障害児図書推薦リスト(Outstanding Books for Young People with Disabilities)を作成している。
本書は、2005年の推薦リストに「さわる絵本」として選ばれた作品である。
といっても、日本語版の絵本はさわる絵本にはなっていない。
フランス語版と英語版にさわる絵本があるようだ。
著者のエド・ヤングは、1992年に本書でコルデコット・オーナー賞を受賞している。
興味を持って読んでみたところ、さわる絵本になる以前の作品としてもおもしろみを感じた。
中表紙のタイトルを書いてあるページは、黒地である。
そこに、青、白、赤、橙、木、紫、緑の線(左から右に見た順)が1本ずつ見える。
次のページも本文が始まるが、まだ色とりどりの線しか見えない。
その次のページで、緑、黄、紫、赤、青、白のねずみ達(上から下に見た順)の全身が見える。
今まで見えていた線がねずみの体のどこだったのかはじめて全体がわかるのだ。
池に出かけた七匹のねずみは、不思議なものに出会い、一目散に逃げ帰ってきたところ。
それから一匹一匹が不思議なものを調べに行く。
「げつようび 一ばんめ あかねずみが しらべに いきました。」
という具合に、曜日毎に1匹ずつ調べに行くのだが、不思議なものの一部だけ見て、決めてかかって帰ってくる。
「あれは がっしりはしらだよ」。
当然、他のねずみは信じない。
次の日は違う色のねずみが調べに行くのだが、違うところを見て、違う決めつけをして帰ってくる。
それを6度まで繰り返す。
6つの意見は当然ばらばらで、言い合いになってしまう。
「にちようび 七ばんめに しろねずみが たしかめに いきました。」
しろねずみはどうしたのかというと・・・。
本書は、中国の古いことわざ、「群盲、象を撫ず」をそのまま絵本にしたような作品である。
このことわざは、「思慮の浅い人は、全体をよく見ないで、あれこれ愚かに評す」の意味で使われる。
「幼い子どもに、全体を見ることがいかに大切であるか、
ユーモアをまじえて絵と文章で分かりやすく教えています」と訳者は解説している。
それだけではない。
本書は、見て確かめること、さわって確かめることの本質を表現してもいる。
見るときは、全体をきちんと見れば全部が見えるが、一部分しか見ないと全体は見えない。
さわるときは、さわっている部分しか見えないが、すべてさわれば全体が見える。
読了した時に、視覚と触覚の違いを表現しているところもある本書が
さわる絵本の題材として選ばれた理由がわかるように思えた。
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