紙の本
編集部コメント
2003/06/09 18:20
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投稿者:東京創元社編集部 - この投稿者のレビュー一覧を見る
紅薔薇の香りに惹かれて迷い込んだ洋館で、花梨は亡父の面影をうつす館の主、苑田俊春に出会う。やがて俊春の後添いに迎えられた花梨だったが、義理の妹や使用人たちが口々に褒めそやす最初の妻雪子の影にさいなまれていく。花梨の心を蝕む雪子の影は、やがて脅迫状という実体を伴って……。一度読んだら忘れられない、華麗にして残酷無比な本格推理。
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これは面白かった。正直何も考えないでこの文に酔いながら読んでいたので気にしてなかったんだけどぱっと見明らかに日記が怪しいので勘ぐろうと思えばトリック自体はすぐに分かると思う。ただそれに考えがいたるまでのサスペンスはかなり秀逸。さすが。さらにすべてが明かされた後にさらにもう一個衝撃が待ち受けてる。
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薔薇の館で繰り広げられる、愛憎劇と殺人劇。
なんだか2時間のミステリドラマか、と言うような安易でベタな設定なんですが、これがなかなか秀逸。
文章にくせがなくて幅広い世代や男女関係なく読みやすく、展開も緩すぎず早すぎず足並みそろって整然としていて、確認や整理のため二度読みする必要のないすっきりまとまった構成で、もちろんミステリとしての謎解きもおもしろくて、ミステリのお手本のような作品。
難を言うならばあまりにも欠点がない作品なので、インパクトに欠けて記憶に残りづらいところです。難点がないので、さらさらっと読めて面白いせいで、パーフェクト過ぎて損をしている作品。
ミステリマニアには物足りないかもですが、普通にミステリ楽しみたい人にはバッチリ楽しめます。
しかし、館の主の勝手で浮気者なところはどうかと思う。
女性から見たら、なんて勝手な言い草かと言うことを堂々と言ってます。
でも、へタレな大学の先生、しかも華奢で美人な中年とか、どんなおいしいBL設定か、と思いました。
あ、だから女性の扱いが下手くそ設定なのか。
なるほど!(ナルホドじゃないですよ)
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今邑彩の「ブラッディ・ローズ」を読む。
っていうか、読みかけてる途中に、建築探偵が入ってきちゃってたの。
デュ・モーリアの「レベッカ」を髣髴させる内容だけど、結末は意外だった。
しかし、綺麗な薔薇の中で、ただ醜いのは人間なのか。
でも、読後には一種の透明感があった。
それは、内容が現実離れしているからというより、作者の力量なんだと思う。
今邑彩を読んだのは、これが始めてだったのだけど、いいもの見つけた感じです。
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ああ、「レベッカ」をイメージするあの感じ。
ありですよー。
周りの人たちの引きずられる意識というか。
ヒロインが好感度高くて、不幸になってほしくないなあ、という感じ。
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「ルームメイト」でちょっと気になったので、この方の作品を又読んでみた。多少先が読めそうだなと思わせつつもそれ自体がミスディレクションになっていて、予想を裏切るストーリー展開で面白かった。他の作品も読んでみようっと。
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相澤花梨が嫁いだ薔薇で包まれた邸には,主の苑田俊春のほか,足の悪い妹,家政婦,お手伝い,園丁が住む。その邸の人物達は,「雪子」という「最初の妻」に心酔している。花梨の前の妻である「良江」は,投身自殺をしていた。花梨に「あなたも雪子に捧げる二人目の供物。良江と同じ運命を辿るのよ…」という内容の脅迫状が届く。
真相は,雪子という女性は本当は存在しなかったというもの。そして,花梨に送る脅迫状を書いていたのは,良江だった。良江は,花梨を恐怖に陥れるために,自分の日記を花梨に読ませるために書き換え,脅迫状を作成し,お手伝いである有美に花梨に渡すように命じた上で,投身自殺をしていた。良枝の計画どおりに日記を読み,脅迫状を読んだ花梨は,良枝に脅迫状を送っていたものと同じ人物が,自分にも脅迫状を送っていると思い込み,一度は邸を出るが,真相に気付く。
ラストシーンは,妊娠をした花梨がカーテンを掛け替えようとし,窓から墜落することを示唆するような形で終わる。
今邑彩らしい女性描写とひんやりとした雰囲気の作品だが,プロットはシンプル。花梨を殺そうとしていたのは良枝だったという点と,雪子という女性は存在しなかったという点,どんでん返しをこの二点に絞ったシンプルな構成である。意外性はやや弱め。サスペンスもやや弱く,今邑彩作品らしい安定感はあるが,突き抜けた面白さはない。★3で。