投稿元:
レビューを見る
第122回直木賞受賞。文句なく素敵な小説。2000年映画化もされていて愛八を吉永小百合が演じているらしい。芸者になった愛八は古賀先生と長崎の歌探しの旅に出る。愛八の凛とした生き方、愛八の淡い古賀先生への想い、そしてラストのお雪の文章では号泣間違いなし。
投稿元:
レビューを見る
思っていたよりハマってしまいました.愛八という人がなんとも言えず魅力的.ゼヒ本当の歌を聴いてみたいです.
投稿元:
レビューを見る
貧しい少女が芸者になり、49才までは紹介みたいなものでした。一途な恋をして惚れた相手と歌探しをする。実話の肉付けとして、突放した部分と浸らせる部分の対比がよかった。過剰ではなく、読者に任せようとしてるみたいです。花街が舞台なのに、色っぽい部分はほとんどありません。ちょっとしたエピソードも、昔はそうだったんだろうなぁと頷けます。さりげなく描写されてますが、かなり綿密に調べたのでしょう。それにしても主題はヒロインの一本気の魅力で、切なさと共に爽やかさがありました。
投稿元:
レビューを見る
舞台は明治末期から昭和初期にかけての長崎。
実在の人物である丸山の芸者、愛八と郷土史研究家の古賀十二郎が時代に埋もれてしまった長崎の歌を探し歩くという物語。
当時、長崎の丸山は日本でも有数な花街として知られ、大変な賑わいを見せていた。
ある日、町を上げての大宴会が催された。
その席で地元長崎の歌が一つとして歌われなかったことに落胆した古賀が翌朝、愛八にこう告げる。
「おいは長崎ば愛しとるけん、長崎の歌探しばやってみようと思うとっとたい。どうやろ、おいにつきおうてみんね。」
互いに惹かれあうようになっていた二人はこうして旅に出、ついに島原半島の温泉街・小浜で長崎ぶらぶら節と出会う。
愛八が歌うこの歌は、当時珍しかったレコードに吹き込まれて一躍有名になり、今ではおくんちの本踊りにも欠かすことのできない長崎を代表する歌になった。
作詞家、なかにし礼が歌と愛を主題に描いた長崎の街と人々。
当時の花街・丸山の持つ風情と人情が見事に表現された作品でした。
読み終わってネットで調べるまでは、フィクションだと思っていたが、どうやらほとんどが実在の人物で、内容もほぼノンフィクションのよう。
偶然とはいえ、長崎を舞台にした作品が続いたので、なんとなく縁を感じつつ、
長崎文学探訪なんてのもいいな。
長崎は一度だけ行ったことあるけど、平和公園しか行かなかったしな。
終章で、お雪が自分の病気のために愛八がすべてのお金を出したこと
、身代わり天神に百度お参りしたことを知らされるところなんかは、ぐっときて、
さらには、古賀十二郎が精進落しの宴会でみんなに言った描写は
古賀と愛八の深い絆を感じることができ、これまたぐっときた。
長崎ぶらぶら節。
一度長崎で聞いてみたいな。
投稿元:
レビューを見る
誰かのために生きていくてこと、誰かを助けること、支えること‥
実在した長崎の名妓、愛八さんの真っ直ぐな生き方に心打たれる。
ともすれば悲劇になりそうな愛八の生い立ちや境遇も
晩年にかけて達成した偉業によって帳消しになるのではないか?
一つの事を長く続けていた者こそ、人の心に残っていくのだろう。
長崎独特の言葉や祭りや歌を盛り込むことで、はんなりとした情緒のある作品になっている。
中盤、やや説明的だが作詞家なかにし礼氏の、作詞業で培った蓄積を感じる。
《平成11年下期 直木賞受賞作》
投稿元:
レビューを見る
これも友達に薦められて読んだ本。
長崎の古い歌を集めて記録するという仕事は意味のあることだと思うが、この本の(たぶん)テーマ、男女の間の無償の愛というのにはちょっと「?」。
映画にもなったけど、ヒロイン役の吉永小百合は原作とかなりイメージが違うと思う。
原作はかなり不細工の設定だから。
後でTVドラマになった時の市原悦子の方が原作に近い感じがしたなぁ。
投稿元:
レビューを見る
≪内容覚書≫
忘れ去られていた「長崎ぶらぶら節」を、
現代によみがえらせた学者と芸者の史実をもとにした小説。
≪感想≫
とりあえず「長崎ぶらぶら節」を聞きたくなった。
投稿元:
レビューを見る
女性としてある面では、孤独で幸せな人生とはいえないかもしれない。
でも、私はとても素敵な人生を送った人だと思う。
真っ直ぐで一生懸命な愛八はとても愛らしい人に感じた。
長崎に行ってみたい、愛八が生きた街を歩いてみたくなった。
投稿元:
レビューを見る
大学助教授である知的な女性の満たされぬ気持と動物的な大胆な行動、この落差がなんともいえず衝撃的な標題作。女性の立場から書いた短編ですが、迫力があります。その他4作は今一つピンときませんでした。
投稿元:
レビューを見る
1999年下期:第122回直木賞受賞作品。
面白かったです。主人公の愛八さんが愛おしくてなりません。
長崎ぶらぶら節は、長崎の市井に歌い継がれる民謡のひとつ。明確な楽譜も記録もない長崎の埋もれた歌を発掘しようとする長崎の大学者・古賀十二郎に、謡い手として協力することになるベテラン芸者・愛八の物語。
愛八さんこと松尾サダさんは実在の人物で、本作は史実に取材した創作だそうです。
愛八さんの、弱い者子どもを放っておけない優しい気風のよさ、芸に対する一途な姿勢、相撲好きでおちゃめな姉御っぷり。
愛八さんの人生の物語で、その後もずっと話は続くのですが、私はやっぱり古賀十二郎への想いのせつなさにぐっときました。
著者のなかにし礼さんは大変著名な作詞家です。
また読み返して、歌に対する視点なんかも楽しみたいなと思う小説でした。
投稿元:
レビューを見る
長崎に興味があり読みました。長崎にも丸山という遊郭があったこと。おくんちの意味も分かり、隠れキリシタンの事など興味深く読みました。愛八さんの心意気にも感動しました。
投稿元:
レビューを見る
筆者が亡くなったからこそ胸を打つ。永遠に語り継がれる歌そして創作への思い。
歌には作り手の思いと歌い手の思いがある。構成に継がれる歌もあれば、いつの間に消えていく歌も多い。本書は消えかけていた長崎の名歌長崎ぶらぶら節を探し記録した丸山芸者愛八と身上を潰しながら長崎学を残した古賀十次郎の生涯を描く。
筆者の歌にかけた思いが随所に表れる。ワシントン軍縮条約で廃棄の決定した完成間際の戦艦土佐。長崎の三菱造船所から呉へ回航される。造船所と海軍の宴会で愛八は十八番の土俵入りと共に即興の歌を歌う。
「土佐は良い子じゃ この子を連れて
薩摩 大隅 富士が曳く
鶴の港に 朝日はさせど
わたしゃ涙に 呉港」
みんなの気持ちが乗り移り知らぬ間に歌をこしらえていたという愛八に古賀は言う。
「そうやって生まれた歌が幾十幾百と長崎の町や村に眠っている。それを探しにいくとたい。おいとおうちは。歌ば眠らせたまま死なせてはいかん。歌には多くの人の夢と祈りがあり、そこには歴史が刻まれているとだから。」
二人の探索か始まる。古賀が詞を記録し愛八が節を覚える。妻子持ちの古賀への愛八の仄かな思い。
三年をかけて二人が出会ったのが長崎ぶらぶら節。嘉永年間に流行ったという幻の歌。91歳の老妓から歌を引き継ぐ。名歌は愛八を通じてレコード化もされ現在まで歌い継がれるが、愛八の恋は実らなかった。
愛八の生涯。長崎の風俗と丸山芸者の意地が感動を持って描かれている。
時代を超えて歌い継がれるべき名歌、名作詞家の強い思いが詰まった感動の作品。。
なかにし礼、2020年12月23日心筋梗塞のため死去。享年82歳。