紙の本
2000/3/1
2000/10/26 00:21
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日経情報ストラテジー - この投稿者のレビュー一覧を見る
ナレッジ・マネジメントで知られる野中郁次郎氏らによる本書は、ナレッジ・マネジメントとは単なるノウハウの共有ではなく、社内外の知を生かした「知識経営」を実践し、画期的な新商品を生むことにあると説く。
特に本書では欧米の先進事例を紹介しながら、知を活用して他社にはない新商品やサービスを創造している企業ほど、情報技術を駆使して経営を効率化していると指摘。知識経営こそが21世紀を制するグローバル企業の条件と見る。
ただし新しい知を創造するには、社員同士が対面でアイデアを交換し合う「場」が必要で、場を運営する指導力が欠かせないという。このため日本企業は、今まで無意識に備えていた対話の場を、戦略的かつグローバルに展開すべきと説く。長年、知識創造を追求してきた著者だけに論点は明確で、しかも知の創出につながる場の運営ノウハウにも触れており、ビジネスマンにも読みやすい。三田
Copyright (c)1998-2000 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.
紙の本
知識経営のすすめ
2003/04/16 21:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:五十棲達彦 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は「知識」が齎す経営的な意味について書かれている。情報が経営に必要な要素であることは誰しもが認めるところである。しかし情報と知識の違いが経営にとってどのように影響するのかは定義されてこなかった。本書はこの点も詳しい。また暗黙知と形式知について多くの紙面を割き、そのダイナミックスが今後は最も重要な経営資源となることを力説している。
野中郁次郎、竹内弘高共著の「知識創造企業」にも競争力としての知識がいかに大切な要素であるかが説かれている。本書は知識経営に関してさらに理論的に述べられていて読み応えがある。世界に通用する日本発の経営書である。
紙の本
ナレッジマネジメントの本質は知の創造にある
2000/09/29 20:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:dakara - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近、ナレッジマネジメントが大流行している。その関連の本もたくさん出ている。しかし、それらのほとんどは、情報技術を活用して既存の知識の効率的な利用を説くものがほとんどである。本書はナレッジブームを生んだ『知識創造企業』の著者によるもので、ナレッジマネジメントは知識の活用ではなく、新しい知識の創造を目指して行われるべきであることを提言している。本書に出てくる知識資産や場という概念はビジネスの世界に身を置いているものとしても説得力があり、興味深い。ナレッジマネジメントをはじめて学ぶときには、この本から入るべし。
投稿元:
レビューを見る
知識経営について理解を深めたい方にはいい一冊です。しかし、知識創造企業ぐらいを読まないと十分とは言えません。
投稿元:
レビューを見る
初めて読んだのは高校時代。
あれから大分たって今大学生の私だが
果たして野中先生、紺野先生の理論が理解
できるか。。。。。
多分これは今のところ私が読んだ本で一番
消化不足で、一番難しく、一番面白い本だと思う。
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
日本企業は、二度の石油ショック、ニクソン・ショック、円高などを克服し、強い競争力をつくりあげてきた。
日本企業に比較優位をもたらしたのは、年功制度・終身雇用という労働形態だけでなく、組織的知識創造をコアとする労働スタイルにあった。
それは個別的な直感=暗黙知を形式知化して組織全体のものにし、製品やサービス・業務システムに具体化するという組織の運動能力のことである。
トヨタやホンダ、花王、富士通、富士ゼロックスなど優良企業のケース・スタディをもとに、知識創造と知識資産活用の能力を軸として、大転換を迫られている日本的経営の未来を探る。
[ 目次 ]
第1章 情報から知識へ
第2章 21世紀の経営革命
第3章 第五の経営資源
第4章 「場」をデザインする
第5章 成長戦略エンジン
第6章 創造パラダイムの経営
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
1回生夏季休暇の課題図書として先生が複数の書籍を紹介した中から、タイトルに惹かれ選択。
近年叫ばれる「知識経営」についての著作。勉強している方にとっては当たり前のことばかり書かれているのかもしれませんが、読んだ当時の私にとっては学ぶことの多い本でした。この本で得た知識は、他の経済論やマーケティングの授業でも役に立っています。
「知識経営」と言われると何だか仰々しく聞こえますが、無形の知識を商品にする、あるいは知識を組み込んだ商品を提供することで収益を得る経済・企業の話(コンサルティング業など)で、これはまさに現在の経済の姿です。よって、是非知っておくべき内容です。
一番重要なのは、やはり人であり、そのリーダーシップや行動力、コミュニケーション。
投稿元:
レビューを見る
陰と陽、その一方を極めて行くと、必ず次の展開のときには、その反対の中に芽が出てくる。今一度知の組織的創造を自らで見直してみる、自らの有り様を徹底的に反省してみる必要がある。
投稿元:
レビューを見る
本書はナレッジ・マネジメントの導入書である(といってよいと思う)。ナレッジ・マネジメントは、この本の著者の1人である野中郁次郎が提唱した企業マネジメントの方法論であるが、この本では、ナレッジ・マネジメントの胆となる概念である「知識」と、組織の成員が集まって知識を創出する「場」の重要性を説いている。
私自身が本書を読んで重要だと感じた点は、以下の3点である。
(1) 「知識」と「情報」は、曖昧な形ではあるが、ある程度は区別することができる概念である(著者はあまりこのことを重要視していないようではあるが)。「知識」は「個人や組織(集団)が認識・行動するための、道理にかなった秩序(体系・手順)」(101-102ページ)である。その際、知識を用いる人がその知識内容を正当なものとして認識していることがポイントとなる。一方で「情報」は、(一般的には)「データから構成された意味や意義」(103ページ)のことを指し、「情報」は「知識」の形成に寄与するものである。
(2) 「知識」はさらに、「形式知」と「暗黙知」に区別されて考えられる。「形式知」とは言語化が容易な知識のことを指す。例としては、マニュアルや文書情報などが挙げられる。こうした形式知は、言語を媒体として共有や編集が可能である。
一方で、「暗黙知」とは言語化しえない、あるいは言語化しにくい知識のことを指す。例としては、熟練の職人の技術などが挙げられる。暗黙知は言語化の難しい知識であるが、身体経験によって個人に取り込むことができる知識である。
知識の創出の際には、形式知を暗黙知へ変換したり、逆に暗黙知を形式知へと変換する作業などを通じて、組織に所属する人々の間で形式知や暗黙知を共有するプロセスを構築し、分析することが肝要である。ちなみにこのプロセスは「SECIプロセス」と呼ばれている(cf. 111-115ページ)。SECIプロセスは繰り返されることが重要であり、それによってこのプロセスにかかわる人々の成長が期待できるのだという。
(3) 「場」は、組織に属する人々が知識(形式知・暗黙知の両方)の共有や創出を行う結節点となるために、重視されるものである。そしてまた、「場」の様態は、SECIプロセスに沿って分類し分析することができる。
「知識が重要だ」と指摘すること自体は簡単である。しかし、実際には現場の知識を持つ人々(組織に所属する人々)の参加意識が必要であり、知識共有に人々が貢献することで人々にメリットが感じられなければならない。そのため、知識共有に対して人々が自発的に取り組んでくれるような状態とすることが重要となる。
本書は、ナレッジ・マネジメントという方法の要点を整理しており、それゆえに私はこの本をナレッジ・マネジメントの「導入書」であると見なした。しかし、本書の内容だけでは、組織の中での具体的な実践へと結び付けることは難しいだろう。ナレッジ・マネジメントは魅力的な方法論のひとつであると思うが、当然ながら、組織の状態をよくふまえた上で用いることが肝要となる(本書の著者は、ナレッジ・マネジメントが短期的に成果をもたらすような方法���もなければ、体系的に商品化されたような「便利な経営手法」でもないことをきちんと記している)。このマネジメント手法についてさらに深く知りたい方は、『知識創造企業』も併せて読むとよいかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
知識経営のすすめという表題に胡散臭さを感じた。
第4章が、場をデザインするという題目になっているので、逆に、親しみを感じた。
知識では役に立たないが、場が共有できれば、役にたつかもしれないからだ。
内容が、やや抽象的すぎて、現地、現物の地から強さが感じられない点が、読み終わった不安感をかきたてている。
結局、経営は不安との戦いなのだろう。
投稿元:
レビューを見る
すっかり経済の低成長が定着し新商品の上市のペースも鈍ったこと、あるいはリストラやアウト・ソーシングによって現場の実務知識が流出してしまったことなどを背景に、最近は日本でもソリューション・ビジネスやナレッジ・マネイジメントという言葉だけはかなり浸透した感がありますが、本書は、そのナレッジ・マネイジメント、そして知識経営がどのような思想のもとで、どのように推進されるべき概念のものか、実際にどのように活用されているか、などを概述しています。
前半は、観念哲学の概念論張りの説明で難しく感じるかもしれませんが、言語哲学のロゴス/パトスのような循環関係を持つSECIモデル、形式知/暗黙知をキータームを使っての説明は分かりやすく、知識経営とは何か、それを実践する為のプロセスや組織はどうあるべきか、などを全体的に見通すには最適の入門書です。
投稿元:
レビューを見る
p.21 優良事例を分析して取り入れることによって成果を上げることに慣れてしまうと、自分で考え、挑戦、失敗する風土がなくなってしまう。
p.66, 84 個々人の持っている知識は個人が組織の中で認められるための財産なので、それを同僚と分かち合おうという呼び掛けには必ず心理的抵抗が生まれる。でも個人が抱え込んでいるのは知識資産を腐らせているようなものだし、こういう知識は組織の仕事を通じて得たものなので「公共財」としての性格ももっている。
共有しよう、という組織文化がないといけないが、これにはトップダウンの強力なイニシアチブが求められる。
p.89 古い組織に新しい技術を導入しても、複雑さを増すだけ。組織変革をともなわないとダメ。
p.103 データ-情報-インテリジェンス-知識-知恵 というピラミッド構造。
データは記号、数値。情報はデータから構成された意味や意義。知識は情報を認識し行動に至らしめる秩序。知恵は知識を現実に適応させて得られた成功事例集。
p.105, 106 暗黙知はそれを持っている本人がなかなか体系的に理解できない、場合によってはそうした知識をもっていることを知らない。こうした七気を得たり、伝えるには時間がかかる。そこではマニュアルなどの形式知が意味を持ってくる。
p.124 個人の暗黙知が体系的な知識として組織で客観化・正当化され、ふたたび実践に向けて個に向かう。この螺旋的サイクルによって個も組織も新たに創造された知識を得て拡張していく。
投稿元:
レビューを見る
ナレッジマネジメントの草分けが日本にいらしたとは、驚きました。暗黙知と形式知の利用サイクルがとってもためになりました。外資IT業界で育ってきましたが、ユーザーにツールを乱暴に与えて、使えないのはリテラシーが足りないと嘆くのは、そろそろ終わりにしたいと思っています。本書のように知識の循環までデザインして、初めて使用者側も「なぜ」使わなくてはいけない納得するのだと思います。知識を会社の中でどのように生かしていくのかを知るのに、とてもよいスタートになりました。
投稿元:
レビューを見る
ちくま新書らしい学術書の入口って感じ。
ナレッジマネジメント、知識経営については野中先生のお話を何度か聞いていた上での読破だったので腹落ちしやすかったが、一般的にはけっこうタフな内容だったような気もする。
いずれにしてもブレなく同じ論理をきちんと説明できるってことでやっぱり権威なんでしょうね。この道の。
投稿元:
レビューを見る
1999年当時の「ナレッジマネジメント」に関する著書である。
初版当時は、Lotus Notesが企業を席巻していかに会社の中にある「知」をソフト上に集積するかが重要なテーマだったように思う。一方、ナレッジマネジメントの動きに当時はデータの流量やそのもの量の保管に充分にインフラが充分なソリューションを提供でなかったことや、「暗黙知」の集積の先のその利用にまで手が回らなかった。
テキストマイニングやデータマイニングが充分に発達したのは21世紀にはいってからである。
本書は、その背景にあった理論の書である。理論はソリューションを伴って、始めて活きるということであろうか。