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紙の本

侵略SFの原点

2001/08/25 04:07

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る

 20世紀の初めのある日、火星表面での白熱光を発するガスの大爆発が観測された。そしてある夜、夜空を切り裂いてイギリス上空を流星が駆け抜け、ロンドン郊外に落下する。だがそれは隕石ではなかった。落下した巨大な円筒状物体の中から現れたのは奇怪な形態を持つ火星人。彼らは集まった群衆を強力な熱線で殺戮、かくして火星人の地球侵略の火蓋が切って落とされた。

 知らぬもののいない古典中の古典であり、侵略テーマSFの原点である。この作品においてH・G・ウェルズが創造した巨大な頭部と多数の触手からなる火星人の姿はあまりにもポピュラーであり、ウェルズの『宇宙戦争』を知らなくても、多くの人が火星人といえばウェルズの火星人を思い浮かべるくらいである。さらに映画化作品も傑作であった。

 執筆されてから100年以上経つ作品であり、侵略SFの最初の作品であるにもかかわらず、その完成度の高さには驚かされる。火星人襲来という非日常の中にあっても何事もなかったかのように続く日常の異様さ、逃げ惑う群衆が引き起こすパニックによる惨事、勇猛な戦い。今読んでも少しも古びてはいない。

 のちに書かれた侵略SF類は、アクション中心だったり、どのように撃退するのかといったような娯楽的な要素を前面に押し出していたりする。しかし原点であるこの作品は、主としておごりたかぶった人類への批判として書かれたようで、非常にシリアスな内容である。

 まだ読んでいないSF者はすぐに読みましょう。

 この名作には、『シャーロック・ホームズの宇宙戦争』や『スペース・マシン』など、いくつものパスティーシュが存在する。こちらも読むと、ひとつの事件をいくつもの視点から体験するという面白い読書体験ができる。

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2004/11/28 21:32

投稿元:ブクログ

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2010/08/31 00:02

投稿元:ブクログ

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