紙の本
夢とは……
2001/09/08 05:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1回ファンタジーノベル大賞で好成績を収め、1990年に新潮社ファンタジー文庫の一冊として出され、その後絶版になっていた幻の本の再版である。多くの人々がほめていたため、大変期待して今回の再版を読んだのだが、残念ながら、わたしは高く評価することができなかった。
まず小道具の類がいけない。「第5世代コンピュータ」とか「プロローグ」とか(ふつう「プロログ」でょ…)、出てくる小道具の類が恥ずかしくて、床の上をのた打ち回ってしまった。おまけにこれらは、(一般向け入門書の受け売りなのだろうか)「なんか凄いらしいもの」という扱いでしかない。そして宇宙飛行士を志望することが恥ずかしいことだというこの設定はなんなのだろうか? 宇宙飛行士が募集されるこの世の中で、なぜそのような不自然な設定が必要なのか。このあたりでもう、物語に入り込めなくなってしまった。この作品世界が、ストーリーのために逆算されて構築された人工物であることを念頭から消すことができなくなってしまった。
さらに、この作品がもともと持っていたと思われるインターネットなしの世界と、再版にあたって書き加えられたと思われる「一般のエンドユーザから見たインターネット」ありの世界がチグハグで、プレハブの貧相さを露呈してしまっている。こんなことしかできないのなら、なにもしなければ良かったのにと思う。
そのような末梢を別に置いたとしても、いろいろと引っかかる部分があった。「夢をかなえるには行動が必要」とかいいつつ、その夢方向に何があるかというと、この宇宙は自分の夢が必然である世界だったということが棚からボタモチで判明したということ、自分の前方に誰かがレールを敷いてくれたということ、願書の提出先を誰かが作ってくれたということ、やりたいことをやる制度をだれかが作ってくれたということだという。これではまるで「夢とはだれかがそれを叶えるための下準備をしてくれるもの」ではないか。
夢を実現する上で本当に困難な箇所を、思い切り逃げてしまっている。なんという他力本願。そしていかにも学校に通っていて将来の進路について悩んでいる青少年が喜びそうな構造でもある。中高生の頃に読んで感動したという人が多いのはこのあたりが理由かと思ったりしてしまうのはうがちすぎか。
読み終わってから、SFの逃避文学としての側面について考えさせられてしまった本だった。SFなんか読んでいていいのだろうかとひさびさに考えてしまった。
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後から知ったのだけれど、
この作品が一番有名どころでした。一番最初の作品。
(ただしリメーク版)
夢に向かって突っ走る主人公が
まぶしかったです。星虫ほしい。
鵺姫真話が一番大好きなので
最後にちょろっと出てくる
彼女たちに大興奮でした。
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最初に購入したのは、新潮版なんですが…。第1回ファンタジーノベル大賞候補作で、この時に大賞だったのは「後宮物語」だったと記憶しています。 私はこの「星虫」の方が面白いと思いますが…。 この後「イーシャの船」が出てからすっかりと新作が出てなく、非常に作品数の少ない作家さんです。去年ぐらいから新作が出るはずだったんですが…いやぁ、何年先になることだか(w
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コレを読んで涙を流さないヤツを、私は同じ人間だとは認めない。ソノラマ文庫だと思って莫迦にしたり、マンガチックなカバーに負けたりせずに、素直に楽しむこと。
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空から降ってきた謎の生命体(?)星虫を巡る物語です。人類の味方なのか、敵なのか? 世界的に広がる「星虫騒動」の中、主人公友美の選んだ道は……。
ひたむきな人って、格好いいなぁと思ったお話でした。
本命は元祖新潮版なのですが、無い物ねだりになるのでこちらを。
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人生が変わる読書というものが本当にあるとするならば、ぜひこの作品を少年少女へ。 もともと新潮社のファンタジーノベル・シリーズの一冊として世に出て、読者たちの熱い要望に応えた朝日ソノラマにて復刊。
宇宙に憧れ、将来は宇宙飛行士としてスペースシャトルを操縦することを夢見る高校生・氷室友美。そんな彼女が夏休み最後の夜に目にしたのは、無数の光る物体が空から降ってくる幻想的な光景だった。後に"星虫"と呼ばれるこの物体は、人間の額に吸着することで宿主の感覚を増幅させる能力を持った宇宙生物で、友美もすっかり星虫に夢中になってしまう。ところが、やがて人々の額で星虫が驚くべき変化を始めて―。
夢を追いかけるストイックな努力と決して諦める事のない意思の大切さを教えてくれます。
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続きがあれば読みたい1冊。と思っていたけど、あら、続きのようなものがあるんですね。手元にあるものとは表紙も変わってしまっていてなんだかおいてけぼり気分です。
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爽やかな感動が残るファンタジー。
例えると、宮崎アニメ(というか、ジブリアニメか)がいちばん近いか。夢とか信じる心、とかはじめてナウシカ観たときのキュンとした感じを味わえる。
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すごいいい!とかって薦められて期待が大きすぎたのか私としては普通かなーと思うのですが…宇宙飛行士になりたい女の子の話。
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未来のノスタルジィ。ジュブナイルという本気が感じられます。ヒロインが優等生っぽくもありますが、人間にはりつく「星虫」というアイデアが秀逸。自分も星虫を育ててみたくなります…かなり危険ですが(笑)
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岩本隆雄進化計画シリーズの第1作。第1回日本ファンタジーノベル大賞の最終選考作品として刊行された本。大賞作品が「後宮小説」で、確かに作家の力量、小説としての完成度は完敗しているが、個人的に好きな本という意味ではこちらの方が評価が高い。宇宙への夢とロマン、そして地球への愛で満たされた一冊。
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ジュブナイルと呼ぶほうがしっくり来る。宇宙から来た星虫との共生生活をする女子高生の物語。
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地上に星が降りそそぎ、落ちてきた星が額にあたった翌日。朝目覚めたら宝石のような虫のような物体が全人類の約60%の額に張り付いていた。後に星虫と呼ばれるようになった物体に驚き戸惑う人々。虫みたいで気持ち悪いし、なにより得体が知れない。しかし人体には無害らしいということがすぐに発表される。それどころか、星虫がついたおかげで視力が良くなったりと、人間の感覚を増幅してくれるらしいことがわかった。つまり星虫は共生生物らしいのだ。おまけにイヤだと拒絶するだけであっさり死んで額からポロッとはずれる。人間の額に張り付いた星虫は、日々成長していった。星虫の成長につれ赤外線やラジオ電波、テレビ電波、宇宙線やニュートリノまで見えるようになってゆく。最初は二センチぐらいの「!」型だったのに、数日のうちに体長10センチになり、触覚まで生えた。さらに一日経つと大声で鳴くようになった。ここまで来るとほとんどの人が星虫を拒絶してしまった。
スペースシャトルのパイロットを夢見る女子高生、氷室友美は周りの人の反対を押し切って星虫との共生を続ける。宇宙にあこがれる友美は、星虫を育てて宇宙に帰してあげたいと考える。だがついに星虫は友美の顔を覆いつくすまで成長し・・・。
1990年に発表された星虫が2000年にリメイクされたわけだが、なんとなく懐かしい感じのする作風なんだな。・・・ふと思ったけど新井素子の星に行く船シリーズとなんか雰囲気が似ている気がしなくもない。
それにしても星虫いいな。一匹欲しい。赤外線が見てみたい。テレビを頭で受信したい。
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「プロローグ」を読んで、しばらく日を置いて。
一章を読み出したら、毎日一章ずつ。
でも、6日目だけは、止まらずに一気に「エピローグ」まで。
あぁ、十数年前も、確かこんな読み方で、この物語を読んだなぁと。
ジュブナイル小説は、眉村卓の学園SFシリーズとか、筒井康隆の「時をかける少女」なんかを読んでいたのですが、あのあたりは、どっちかというと、大人が書いた子ども向きの小説みたいな感じがありました。
「星虫」は、そんななかで、なんというか、大人ではない人が書いた「切実さ」みたいなものがあったのが、印象に残っていました。
だから、ものすごくおもしろかった覚えがあります。
今、こうやって読んでみても、おもしろさはやっぱり変わっていません。
ただ、自分のなかの「切実さ」は、確実に年とともに減ってきている気がします。
そして、この物語のいろんな荒さも、ちょっとみえる気がします。
例えば、友美と秋緒の関係。いつの間に、秋緒は、あんなに友美のことを認めたんだというところとか…。
それでも、充分におもしろく、ストーリーを知っているにもかかわらず、ドキドキしました。
あの時代の自分の感受性は、やっぱり、今より敏感だったようです。
メガネの女の子が、星虫をとってしまって、泣き崩れてしまうシーンがあったのですが、このシーン、星虫が落ちた瞬間に、女の子の視力がガタッと落ちた(元にもどった)という描写があったはずだと記憶していたのですが、まったくの記憶違いでした。
気になって、元の新潮社版の方を見てみても、同じ描写でした。
むかしは、わたしもそういう書いてないところまで想像して、読んでたんだなぁということ、今は、けっこう考えずに、感じずに読んでるところがあるなぁと、よくわかりました。
まあ、だからといって、あの時みたいな読み方に戻れるわけではないんですけどね。
それはそれで、辛いことも多いので、わたしは、今の感性も好きです(笑)
まあ、もっとも、もうすでに1冊持っている本ですから、普通は、これだけでは、購入して読もうとは思わなかったはずです。
買ったのは、「イーシャの船」が、続けて刊行されたからです。
「星虫」は、「おもしろい」。だけど、「イーシャの船」は、「好き」なのです。
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この本も好きだけれど、やはり私は鵺姫の方が好き
ポジティブで夢にまっしぐらな知美は
まぶしくて、まぶしくて。
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高校の頃に図書室で出会ってから、もう何度読み返したかわからないくらい大好きな大好きな物語。
久しぶりに読み返して、また世界観に浸りました。
続編も大好きだけど、やっぱりナンバー1はこの作品。